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タイトルから、純粋な文学だと思っていたが、何と作者は2013年の「このミス」受賞者。「虚偽記憶」をテーマにどんな本格的な推理が繰り広げられるのだろう?と期待と不安にページを手繰っていくと、そこにはとてつもない愛情と優しさが…3人に虚偽の記憶を植え付けたタケシ。絵画教室で一緒だった優希と淳之介が大学で10年ぶりに再会したことにより、タケシがなぜ嘘の記憶を作らなければならなかったのかが明らかにされていく。この謎は本当に解かなければいけなかったのか…解かないことも優しさなのではないか…すごく深く人を思いやる気持ちが描かれていて、涙をこらえるのがやっとだった。自分もタケシのように、愛する人を思いやれる人間になりたいと思った。
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初出の記載なく、書き下ろしか。
昨年デビューしたばかりの3作目とはとても思えない筆力と構成力。東大法学部恐るべし。芥川賞とってもいいんじゃないでしょうか?
高知から東京の大学に入学した優希は、サークルの勧誘で2年先輩だった淳之介と再会するが、思い出を語るうちに一緒に通っていた絵画教室の先生の息子で、よく遊んでくれた「タケシ」についてのそれぞれの記憶が全く違っていることに気づく。その謎を追い始め、タケシの幼なじみの京香に出会い、心理カウンセラーの晴川あかりを訪ねる。
虚偽の記憶が作られ得るという話は知っていたが、心理学を深く学んだカウンセラー晴川あかりによって、作為的に作られた虚偽記憶の正体が次第に明らかになっていく過程には引き込まれ、深い知識と鮮やかな推理にうなずいてしまう。
あかり先生のキャラクターは魅力的なので、続編というかシリーズ化を期待したい。
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面白い題材なんだけど、全体的にイマイチ。
タケシと京香のつながりがわかりにくいし、タケシの両親が京香に対してよすぎるというか、少しはうらみつらみがあったほうがリアルなんじゃないかな…。
優希と淳之介の使い方も微妙。こっちが主人公かとおもったし!
京香が主人公感がない。
晴川先生に謎解きandストーリー持っていかれすぎ!
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扱っている題材は興味深いものの真新しくはないですし、真相もある程度想定内。色々なところで上手く行き過ぎているのも気になり不満が残ります。
ただ、ラストは切なく、且つ人間の記憶は曖昧なものだと考えさせられるので、読後感は悪くないです。
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今回の感想は長い
結論から言うと、とてもおもしろい。
でも、これほどまでに美味しい料理なのに、なぜ皿に凝るのかなという疑問もある。魅力的な30過ぎのカウンセラーをが安楽椅子探偵になって、多重どんでん返しがビシバシ決まるのに、なんか装飾が多すぎる気がする。もったいない。
人物が平坦だからイメージできない。それが嫌になるのかと言うとそんなことはないんだが、読み手があまり中に入りこめない。他人事感がある。
記憶をモチーフにした極めて斬新で、しかもこれほどまでにまで多重どんでん返しがある作品は稀有なのに、そこに至るまでが長すぎるのかな。本筋に関係しないと思う物語が多すぎるのかも。
半分までの段階で筋が読めた珍しい作品。それだけ伏線がフェアなんだな。どう進めるのかについては古典的なみんな集まってってシーン。全てに説明がつき、エンディングも素晴らしいんだけど、最後まで第三者視点で終わった。なぜかなぁ。登場人物が平坦だから?それとも余分な筋が多いから?
ま、一気読みできる素晴らしい作品であることはまぎれもない事実なので、次の作品も楽しみにしよう!
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やー切ない。久々に泣いた。
「いなくなった私へ」と同じく冒頭から謎が魅力的で、のめり込む様にして一気読みしてしまった。
虚偽記憶は誰に対しても成功する訳じゃないと思うけど、作り上げる方法はなるほどなあと。
本文中に文字としては書かれてないタケシの心情考えると胸が痛い…。
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京香は、タケシに会って、どういう結論を出すのだろうな。やっぱり、2番目に好きな人なのだろうか・・・。タケシの傍にいてあげて欲しいと思ってしまうけれど、お互いがつらくなることもあるだろうしな・・・。最後まで読むと、タケシの切ない思いが、ただただ心に残るお話だった。
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タケシに絡む吉江京香,新見優希,岡本淳之介がお互いに違った記憶を持っていることを主題にした話だが,高知弁が楽しめた.絵画教室に学んでいた優希と淳之介はそれぞれチェスとバレーボールをタケシに教えてもらっていた.京香はタケシと幼馴染で一緒によく遊んでいた.絵画教室の火事でタケシ一家は東京に移動し,3人も進学で東京に移った.優希と淳之介はたまたま同じ大学でお互いの記憶の違いを認識した.京香はタケシに会うことを希望するが,簡単なメールしか返事をもらえない.虚偽記憶や権威効果という心理学の言葉をうまく使うカウンセラーの晴川あかりが真相を語るP255からの記述が圧巻だ.タケシの状態が最後で明らかになるが,京香のふるまいが良かった.
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切なかったし、なかなか興味深いストーリーだった。
確かに記憶って塗り替えられるよね。
ただ、京香の最後の行動はエゴだしこの先誰かが幸せになる感じがしないので、いらなかったなぁ。
タケシの気持ちを汲んであげて欲しかったなぁ。
会って満足する京香と会って思いを募らせるタケシが目に浮かんでよけいにやるせない
2017.9.24
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優希と淳之介はタケシの記憶が互いに違うことに気づき、彼の幼馴染と共に疑問解消の為奔走し、酷な現実と直面する。
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人の記憶ほど曖昧な物はないと常々思って来ました。でも、完全に忘れてしまえたりするのかな。そういえばいたな、って人ならともかく、一緒にチェスして、お見舞いにも行って、その上秘密の共有までしたのに。というのが率直な感想です。終始ゆるやかだったストーリーが、終盤にかけて加速する辺りが一番面白かったです。個人的には真相を解明する晴川と映画「万能鑑定士Q」の綾瀬はるかが、かぶりっぱなしでした(笑)
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大学で数年ぶりに偶然出会った二人の子供時代の記憶が食い違う。タイトル通り、いたはずの人の記憶がなくなっていた謎を解く大学生の話と思いきや、記憶改竄の目的は別にあった。カウンセラーによる記憶の講釈は興味深かったが、最後は悲しい。
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大学で約十年振りに再会した男女が絵画教室の息子のタケシについて絵本の登場人物と有名スポーツ選手と勘違いしていた事に気付き、タケシの幼馴染の京香に連れられ心理学の若き女性専門家のもとを訪れ、虚偽記憶について探る。タケシの決意や、恋人のいる京香の、世界で一番大切な人で、でも前進する様子が眩しくも切ない。
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前に読んだ「いなくなった私へ」が面白かったので読んでみました。
これも凄く良かった!お勧めの1冊です。
初めは「いなくなった私へ」みたいなSFっぽい話かと思いましたが、全く違いました。最後まで結末が読めず楽しめました。
またこの作家さん作品読んでみたいです(^^♪
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なかなか全貌が見えず、だらだらと話が進んでいるような気がしてもやもやしながら読んでいたが、ラスト40ページから怒涛の勢いで物語が展開していく。切ないし辛い。こういう物語だったのか、、心理学ばっかりやんと思って読んでいて、ラスト40ページまでは⭐︎3だったけど、それ以降は切なく苦しい。京香のおばあちゃんの話。そうなんだよなぁああと昔好きだった人を夫への罪悪感とともに思い出しながら。