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氏の、「有頂天家族」や、「聖なる怠け者の冒険」とは趣きの大分異なる、SFのような連作短編集。読み進めていく毎にぞっとした。最後に光があるようで、でも理解が及ばずもどかしい。
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森見先生の新作。待ちに待っていた。「10年前に突如失踪した女性を巡って久々に再会した5人の周りに起こったふしぎな出来事」というイメージで読んでいる。
夜行列車のように日本各地で起こったエピソードを追っていくのが楽しい。
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★2016年11月14日読了『夜行』森見登美彦著 評価A
これまでの京都を舞台にしたドタバタ青春小説からようやく一歩踏み出した森見氏の意欲作と呼んでよいのではないでしょうか? 通常の作家であれば、評価はB+かもしれませんが、森見ファンとしては、スランプ脱出を祝い、Aを付けたいと思いました。
(題名の夜行とは、百鬼夜行の夜行であり、夜行列車の夜行でもあります。)
作者名を恒川光太郎としても違和感なく読めてしまうほど、ホラー小説の雰囲気、ちょっと暗いおどろおどろしさと正体不明の登場人物、小説の前提をくるり、くるりとひっくり返す設定はこれまでの森見作品にはなかった傾向かと思います。評価はおそらく二分されると予想します。
しかし、ここ数年、大スランプに陥って、作品が全く成長していなかった彼にしては、頑張った作品だと私は評価したいと思います。あらすじは野暮になるので、書きません。私は面白いと感じました。
短編連作5編から成ります。
1.尾道
2.奥飛騨
3.津軽
4.天竜峡
5.鞍馬
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あっと言う間に読み終わってしまった!読み進めるのがもったいないのと早く先を読みたいのと葛藤しながら2日で読み終わってしまった。
きつねのはなしと宵山万華鏡の間くらいな気がします。
でも京都だけでなく色々な観光地が出てきて、しかもその半分くらい行ったことある場所だったから、もうイメージがとても鮮明に浮かび、余計に夢か現か、夜行か曙光かわからなくなりました…!つまりとても、楽しめました!
どうして森見さんの本はこんなにもその場所に行きたくさせるんだろう!もう、読み終わった瞬間から京都や尾道や津軽や飛騨に行きたくてムズムズしてます。どうしてくれますか⁉︎
午後うたた寝から目覚めた時の不安や貯水池から長く伸びた影…など単なるホラーではなく誰もが感じたことのある得体の知れない恐怖、闇への畏怖など人の深層心理にある怖さを突くのがとても上手な作家さんだと改めて感じました。
結局、失踪したのは誰だったのか…夜行と曙光、どちらが夢でどちらが現だったのかしらん…
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2009~10年に「StoryBox」及び「StoryBox別冊」に掲載された5話を再構成して単行本化したもの。
「有頂天家族」の世界ではなく、夜の闇に広がる世界と昼の光の世界のパラレルワールドの不思議な物語で、何度も背中がぞわりとする。
(序)主人公の大橋が声をかけ、かつて京都の英会話教室に学んだ5人が10年ぶりに鞍馬の火祭を見に集まることになるが、10年前には6人で見に来て長谷川さんが行方不明になったままだった。大橋は画廊で「夜行」という連作銅版画に惹かれるが、宿でみんなが集まると各々が旅先でこの銅板画とそこに描かれた光景に出会っていた。
(第1夜尾道)中川さんの妻が家出し尾道まで迎えに行くが、そこには妻そっくりの別人がいて夫に監禁されていると言う。以前に妻と一緒に夜行列車で尾道を通過したときに踏切で手を振る女を見かけており、その光景の銅板画が泊まったホテルにあり、ホテルマンが監禁している夫だった。中川さんはホテルマンは自分で、女が妻だとわかる。<全然わからない>
(第2夜奥飛騨)、(第3夜津軽)、(第4夜天竜峡)でも銅版画と女が現れ、誰かが消える。
(第5夜鞍馬)4人の回想が終わり、みんなで火祭りに出かけて歩いて帰る途中、大橋はみんなとはぐれてしまう。電話をかけると出たのは。。。。
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十年前、英会話スクールつながりの六人は鞍馬の火祭りを楽しんでいた。しかし祭りの最中、長谷川さんは行方不明になった。手掛かりも足取りもなく、忽然と消えた。
そして今晩、一緒に火祭りに来ていた五人が集まった。誰となく話題に出た、銅版画の連作「夜行」は五人と長谷川さんとを結びつける。
尾道、奥飛騨、津軽、天竜峡、鞍馬、銅版画が描く闇は彼らを過去へと引き込んでいく。
一人一人が夜行についての話を語っていく。
すべて語り終わったとき、闇が光に変わって世界は移る。
森実登美彦の怖い話。落ちがない怖い話が五話続き、最後に種明かしされる。
神隠しの闇と光、表裏一体の世界。「宵山万華鏡」とセットでおすすめしたい。
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森見登美彦初読み。岸田道生が描いた銅版画の連作「夜行」を元に、10年ぶりに集まった仲間がそれぞれの不思議な思い出を語る。久しぶりの怪談ものに、最初は入り込めなかったが、「夜行」の隠された謎に迫るごとに夢中にさせるものがあった。ラストは普通に考えれば、理解しがたいことだけれど、10年前に仲間の一人が姿を消した理由も明らかになり、作品としては十分面白かった。
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「有頂天家族」などとは趣の違う小説でした
どちらも大好き!
でもあほーな私は、こちらはついていくのにしんどかった
今もよくわからへんし
ぞわぞわ感が背中に
不思議な世界に連れて行ってくれる著者は流石です
これはもう一度読まねば
≪ 夜行とは 対をなすのか 暁光と ≫
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「きつねのはなし」と近い感じがあった。
じわじわとぞわぞわして来る感じがある。真っ暗な夜道を歩いてる不気味さがある。
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読み終えて、まず、森見先生、ごめんなさい、だ。
「夜は短し歩けよ乙女」から森見氏の小説にはまった(もっと正確に言えば、読書にはまった)のであるが、どうも近作(具体的に作品名は挙げない)には、独特の世界を構成し、引き込むパワーが以前ほどには読んでいて感じ取れなくなっていた。
だから、新作であるこの作品にも、過大な期待は抱いていなかったのだが、恐ろしい。まだこんなパワーが森見氏にあったとは。そういう意味で、ごめんなさい。侮ってました。
連作絵画「夜行」でつながる4人の旅物語と、消えた人間たち。夜は大きな口を開けて、我々を飲み込まんとしている。消えていく(または、消えた)人、旅先に現れる妙な登場人物・・・。言いようもない不安感が読み手の冒険心、読書上の好奇心とでも言うべきものをこれでもかというぐらいにくすぐる。
森見ワールドの中でぐるぐるしながら読み進め、あっという間に話が終わっていた。読書中は別世界にいたようだった。文句なしのおすすめの一冊です。
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夜は短し以来、久しぶりに森見登美彦先生の小説を読んだ。
相変わらず読みやすい文体だった。
でも読みやすい割にはストーリーは複雑で、色々と考えさせられる内容だった。
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ミステリーだと思って読みすすめたら
そうではなくSFだった(^o^;
途中まですごくおもしろかったんだけど
あぁこういうオチか、とちょっと残念な気持ちに。
この展開でミステリーだったら
最高におもしろかったのに。
静岡からの出張帰りに駅で買ってその日のうちに読了。
旅のお供としては最適な一冊。
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十年前の鞍馬の火祭りの夜、忽然と姿を消した仲間。
当時の仲間達が再び集まり、各々の旅の話を語りだす。
暗闇、微笑みながら手を振る女、同じ作者が描く銅版画「夜行」…。
ゾクッとするワードが散りばめられた仲間達の話は怪しげな夜を連想させる。
この得体の知れない「夜」は一体どこまで行くのか?
「世界はつねに夜なのよ」と囁く彼女のいる「世界」。
コチラの世界とアチラの世界は紙一重。
では今私がいるこの「世界」はどちらなのか?と思いを巡らせてしまう。
でも大丈夫。暗闇の夜の次には眩しい朝が来るはず!
森見ワールドはやっぱりいい!
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うっすらと背筋が寒くなるようなホラー。いやホラーというにはちょっと淡々としている感じで、不思議譚に近いかもしれない。例によって京都ものかと思ったら、中心は京都であるものの、舞台は尾道・奥飛騨・津軽・天竜峡と様々で、それぞれ語り手が変わるという趣向だった。その分「きつねのはなし」より広がった感じがするが、あの独特の濃密さは薄れたようにも思え、うーん、私は「きつねのはなし」の方がいいかな。
惻々と寂しくなるイメージが次々出てきて、そこはうまいなあと思う。尾道の坂の上にある寂れた一軒家、夜行列車から見えた踏切近くで手を振る女、「世界は常に夜なのよ」とのつぶやき…、終わりのない夜のなかにいるような心許なさが迫ってくる。
勝手な想像だが、やはり「夜行」の大本には、夜の京都の街を走って行く叡山電車のイメージがあるのだと思う。あれは本当に街中に、交差点の向こうなんかに不意に現れる。電車の窓の中はぱっと明るくて、そこに知っている人の姿があったような気がする。あっという間に通り過ぎてしまって、まるで幻を見たような気持ちで取り残される。そんな切なさが繰り返しよみがえった。
これまた勝手な好みだが、表紙の絵はいかがなものか。安っぽく見えるのだけど。
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心底ぞっとしました。
視覚よりも聴覚よりも、私の作る(作らされる)イメージの方がよっぽど怖い。
森見さんの独特の世界観。