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投稿者:千那 - この投稿者のレビュー一覧を見る
作家が自らの原点と向き合い、痛いに貫かれながら綴った渾身作!・・という割に
は、今作品の魅力が低すぎる。もう読もうとは思わない。ただの自分すごいだろ、読
んで!作品かな。
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主人公の語りから別の自分の視点に変わるなどトリッキーな展開がちょくちょく出てくる。感情移入している読者にとっては立ち位置がふらふらする感覚となり、吊り橋効果のようなハラハラドキドキを体験させる効果を出している。文節を意図的に前後させているのも文章の不安定さを重要なの心の位置を不安定にさせる効果があるようだ。物語は主人公の山下澄人が田舎から出て来て、俳優や脚本家を目指す人の学校で生活するもの。著者と同じ名前の主人公であるので、物語の舞台設定はノンフィクションではないかと想像する。問題なのは私の読解力で、本作品から何を読み取ればよかったのか、主題が見えてこなかった。表題作以外にも短編「素直に言って覚えていないのだ、あの晩、実際に自殺をしたのかどうか」が収録されている。こちらは「しんせかい」の前日譚。こちらの短編の方が発表時期が早く、こちらから読んでもいいかもしれない。読む順番を変えるだけで、「しんせかい」のイメージが変わることだろう。
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第156回芥川賞受賞作。
山下澄人さんの本初めて読んだけどこんな風な作品なんだ、予想してたよりずっと面白かった。淡々と進む中で言葉のリズムが良いからか読みやすい。
自身の富良野塾での実体験をもとに描かれているようで、深い。最後に装丁の題字が倉本聰と書かれていてジーンとした。そっか、この時は倉本聰さんの字なのか。
何度もなんども候補になってやっとの受賞、おめでたいですね。選評を読むとかなりの賛否両論でもめてたっぽいけど笑。
個人的には他の作品も読んでみたくなった。
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本書は、主人公の「ぼく」が演劇塾へ俳優の勉強をしに行く『しんせかい』と、その前に試験を受ける当日を著した『率直に言って覚えていないのだ、あの晩、実際に自殺をしたのかどうか』の2編で構成されています。『しんせかい』は【先生】と生徒たちである一期生、二期生の厳しく温かい関係が、良く著されていると思いました。2編目の『率直に言って・・』は、試験前の不安定な心象が良く表れている感じがして、これも率直に楽しめました。
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言葉遣いのリズム感は好きなんだけど、物語としては「卑怯」だと思う。倉本聰の私塾の2期生だったという自身の経歴を描いたということを「売り」にして、読者にもそういう風に想起させる様な描き方をしてて、でも最後の最後であの「どんでん返し」をしてしまうのは、巧い気もするけど、曖昧にして逃げた風にも思えてしまって、卑怯に感じてしまった。
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俳優、脚本家志望の人たちの世界。19歳の主人公は「すみと」で、女友達「天」と別れて演劇塾へ。そこで出会った人たちとの共同生活。淡々とストーリーが進んでいく、なんとも不思議な雰囲気。正直言って私にはこの世界に這入りこめなかった。いかにも芥川賞路線の作品という感じ。直木賞の感動物語とは異質な気がする。著者は今回も小説家ではなく俳優・脚本家という異色路線の人らしい。
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まるで脚本を読んでいるかのような(脚本をよんだことはないのだけれど)、舞台のお芝居を観ているかのような、不思議なくらい小気味よいテンポで進むストーリー。テンポが良すぎて登場人物の誰が誰やら…も曖昧なまま読み終えてしまった。だけど、それで良いのだと思う。きっと、そんな話だし。二話目の「率直に言って覚えていないのだ、あの晩、実際に自殺したのかどうか」と、併せて読むことでより面白い。
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ほんで題字、先生やん!脚本家が受賞しがち、という芥川賞あるある。
私小説で芥川賞取っちゃうと、今後どういうものを書くのだろうか、と心配しちゃう。余計なお世話!
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156回芥川賞。
19歳の山下スミトは、演劇塾2期生募集の入塾試験に受かり
北海道にある【谷】とよばれている場所へ行く。
そこで先輩である1期生と同期の2期生達との不思議な共同生活が始まる。
倉本聰主催の富良野塾がモチーフの作品。
いかにも芥川賞っぽいシュールな作品であった。
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文の途中で主語がぼやけたり、現在と回想が混在したり......国語の許容範囲ギリギリに挑むような怪文章。小説版ヘタウマみたいな。
過剰気味な描写や、そもそもの主人公の異質さなど、その他ヘンなところは目につきますが、何よりそれらが調和して独自のトーンを生み出しているのは、やはり凄いことなのでは......いや本当のところよくわからない。
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「しんせかい」
まあまあ面白く読めはしたのだが
その面白さのほとんどは先生(倉本聰)の事業
およびパーソナリティに依存したものである
これで芥川賞はズルイ
正直、この題材なら他にもっと書くことあるだろうと思うし
そもそも小説である必要性すら薄い気がする
自由な発言が難しくなった今の時代に
他人への興味が薄い自分、という設定で書かれた私小説という
ひとつのこころみと捉えることはできるかもしれないが
それにしても、なあ
「率直に言って…」
試験を受けに来た街で
自殺願望のホームレスに出会う話
なんだかわからないが
若くして生きるのに疲れていたらしい
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面白いか面白くないかと言われれば、つまらないんだけど、なぜか読み進めてしまう不思議な小説。主人公の心情が全くと言っていいほど描かれず、読んでいてこいつは人として大丈夫なのか、と心配になるような不思議な不安感に襲われる。それを、どこか突き放すようでいて愛のある様子で見守る天との文通の雰囲気がいい。その彼女が最後、結婚したと報告するハガキが来る場面、まったく主人公の心情が描かれないのになにかストンっと落ちるような、そんな気分になった。
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文藝春秋で選評も読み終えてから読んだ
青春小説なんだと思うのだけど、
全体的にあっさりしているのは
主人公のスミトの性格からなのか
出来事としても、気持ちの表現にしても
なんとなく物足りない感じだった
やっぱり純文学?ってわからないな
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基本的にはゴシップ誌読む感覚で楽しみました。
倉本聰ってこんな人なんや、とか、富良野塾すげーな…とか。
確かにあったはずの「青春」が、時を経て持つ空白感?みたいなものが小説全体に満ち溢れていて、当時の現場にあっただろう熱気との距離感を作り出しています。
場末のスナックで隣になった見ず知らずのおじさんが何気なく話しだした思い出話のような質感を感じました(いい意味です)。
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富良野塾2期生の様子を描いており、内部告発的な内容なのかなと下世話な興味を持って読み進めていたらそうではなかった。面白かったが『北の国から』をほとんど見たことがないため、見ていたらもっと面白かったのかなと思った。
主人公が親しい女の子とセックスをしていないことをずっと気にしていて、童貞らしくてよかった。時折、幽体離脱的な表現やスピリチュアルな体験があるのに、それほど驚いた様子も無く日常の一部のように淡々と受け入れているのが面白かった。
演技の教室の様子がもうちょっと読みたかった。極限状態のピンチの時に隣の農場のおじいさんの声が聞き取れないのがとても面白かった。