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単なる文法的な説明だけではなく、内容を伝えるうえで不適切な表現や構文についても説明されている。
例文が古く読みにくい問題はあるが、解説は今でも十分参考になる。
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自分でも悪文を量産しがちなのは自覚していましたが、どこがどうまずいのか、いまいち分かっていませんでした。分かれば直せる訳で、当たり前といえば当たり前です。「悪文家」には美しいお手本を見せたところで頭に入りません。
むしろ、悪文を目の前に並べて、ここがこうまずいのでこう直せと、手取り足取り教えてもらう方が理解できるし、羞恥心などの感情もわきますから、結果的に身なるのではないでしょうか。
『悪文』という、身に覚えのある人の胸さわぎを呼ぶような、キャッチーなタイトルもふくめ、そういう意味で本書は悪文に悩む人たちの頭と心に届く本だと思います。
また、バラエティに富んだ悪文を読むのもけっこう面白いです。色々な場で文章が必要とされ、色々な人たちが日々悪戦苦闘しながら文章を書いているのだなと感慨深くなります。主婦の報告書から裁判官の記録までありました。「ずでん返し」の高校生には笑いました。悪文として引用されていましたが、当分忘れられないインパクトを残してくれました。
そうした悪文自体も味わい深いのですが、それらに対する容赦のない指摘が、これまた、読み物として痛快なのです。いうなれば毒蝮三太夫や綾小路きみまろの痛烈なギャグにお年寄りが爆笑するようなものです。悪文を作りがちな自覚があるからこそ、バッサリ斬られる悪文に笑えます。そういう本だからこそ役に立つし、版を重ねているのだと思います。
おかげさまで最後まで退屈せずに勉強させていただきました。
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相手に意味が上手く伝わらなかったり、誤解を招くような文章がなぜそうであるのかを説明する内容です。
この本の内容自体はかなり昔に書かれているものです。そのため、悪文といえるであろう文章が例としてたくさん登場しますが、内容が今となってはイメージしづらく難しいため、完璧に理解するのではなく要点を理解することに努めて読み進めることをお勧めします。
文章を書く際の表現方法や使われる言葉は昔と今で多少は変わってきていますが、文章を分かりづらくする要素に関しては共通する部分が多いと思います。この本で述べられているのは以下の通りです。(あくまで一部分)
・一文が長い、区切れず宙を浮いている
・主語もしくは述語を省略しすぎている
・主語と述語が離れすぎている
・ありもしない造語や自己満足な表現を用いている
・呼応の副詞を誤って用いている
あらかじめ構成を練って文章を書いていても、途中でこんがらがったり読み返した際に表現の間違いに気づくことなどはよくあることです。ましてや、気分のままに書いた文章であれば尚更です。
人に読ませる文章であれば、自分の意が正しく伝わるということが一番重要です。そのためには大変であっても、「誤解を生む内容ではないか、もっと良い表現はないのか」と思考錯誤しながら文章を書く必要があり、義務でもあると思います。
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悪文を避ける50ヶ条を読んでからの方が理解が進む本。
述語や修飾語の位置、『ように』+否定形に気をつける。
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この本ほど、読後の感想文に気を払う本は無いだろう。
新聞広告からPTA文集まであらゆる所から「悪文」を引用し、批判している本。本書の批判及び分析はもっともと思う一方、淡々とした解説ではなく蛇足と感じる文も含まれており、全体として読みにくかった。
良文の事例をもっと取りあげてほしかった。
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職場近くの書店で平積みされてて気になって図書館で借りて読んでみた。
昭和の中頃の著作で、基本的に例文の入れ替えはしてないらしいので、古いっちゃ古い。
「本章の例文は、主として昭和33、4年頃の、新聞、放送、広告、広報などから集めたものである。」
そこは覚悟の上で読むのが良い。
とはいえ、文章の本質は半世紀そこらで変わるものではない。枝葉末節、個々の単語の使い方の差異はあろうとも、だ。冒頭にある主筆による、
「主として、この、受け取り手にわかるかどうか、わかりやすいかどうか、という観点から、現在行われている文章を検討してみた。」
という主旨をよく理解して読む必要がある。
あるいは、むしろ、当時は、今とは違う観点で言葉、文章の検討が行われていたのかという気づきもあり、そこも面白い。
例えば、四文字熟語の類は、日本語ではよく二語に短縮される。春季闘争が「春闘」だったり、昨今なら時間短縮が「時短」などなど。その短縮もなにがなんでも良いわけではないと注意喚起する箇所に、
“「ゼツアン(絶安)」が、「絶対安静」であることが、一般の人にわかるのには相当時間がかかることであろう。”
とあるが相当時間をかけた今、そんな言い方は淘汰されたか誰も使わないものだろう。
あるいは、「汚職」は、「涜職(とくしょく)」の言いかえ語だったらしい。
「不幸にも「汚職」事件があまりにも多すぎたため、すっかり目なれてしまった」
とあり面白い。
本書の肝は、二章にあたる「構造と段落」と三章の「文の切りつなぎ」あたりだろうか。構想が立っていない文章を戒め、長すぎる文は歯切れよく簡潔に短くと説く。
それが出来ていれば、主語と述語が離れすぎている問題や、修飾する語とされる語の不明瞭さ、文頭文末の首尾が整っていない悪文も自ずと改善されていくように思う。
とはいえだ、本書の指摘を真に受けて、「気分が伝わればいいという文」や、句読点を使わず(あるいは読点だけで)だらだら続く文章がNGなら、近年の芥川賞で受賞作となってない作品もあるな、といくつかの作品が脳裏に浮かぶ。
個性的な文章は、杓子定規にはいかないもので、なにが悪文でなにが美文かは、これまた非常に難しい。
いやいや、本書はあくまで「達意の文」、読み手に通じるかどうかを念頭に、よりよい内容に文章を研ぎすます方法を分かりやすく解説してくれているものだ。
いろいろ気づきになることがあり勉強になった。
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たまたま近隣の書店で紹介されているのを目にしてタイトルに驚いたが、書店の方が書かれているPOPを見て興味が湧いて読んでみた。
非常に面白く、文章の記述法について勉強になった。
同様のテーマを扱った著作には、本多勝一氏の「日本語の作文技術」や木下是雄氏の「理科系の作文技術」があり、また学生時代の自分の指導教官であった高木隆司先生の「理科系の論文作法」など、いずれも名著ではあるが、本書も勝るとも劣らない良著であると思った。
特に、タイトルのとおり、新聞や雑誌、PTA会報などから問題のある文章を例示し、そのどこが悪いのかという点が開設されているのは、実際に同様の文章を目にすることも多く、非常に面白かった。
おかしみを覚えながら読み進めることで、作文する上での感覚を高めていくことができるのではないだろうか。
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文章を書くときは、相手に伝わること、達意を意識する。カタカナ、漢語、外国語、比喩表現などそれっぽくみせるために見た目だけ装うのではなく、正しい文章の知識の上であえて崩すことで相手により伝わりやすくなる。
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悪文 伝わる文章の作法
編著:岩淵 悦太郎
角川ソフィア文庫 E108
「悪文時代」に悪文を書かなくようにするための書が本書です。
明治時代は、美文時代、現在は、悪文時代である。ただ、美文より平明な文章が好まれるようになったのは、1つの進歩である
言語表現は、当然、相手があるはずであるから、相手にわからないような、相手に分かりにくいような文章は、悪文といっていいだろう
悪文とはどのような点に問題があるのか、その問題点に注意すれば、悪文から抜け出すことができるか。
つまり、悪文の原因を取り除けば、平明な文章がかけるといっているのである
気になったのは、次である
■悪文のいろいろ
・分かりにくい文章、一読しただけでは意味がよくわからない
・文章の構造にわかりにくさの要因があるように思える。1つの文でできていてしかも非常に長い
・主語がなかなかでてこなくて、もう文が終わろうとするところに始めて顔を出す。
この文を読む人は、この主語にであうまでこの文が何のことについて述べようとしているのかが理解できない
・もって回った言い方をしているのがすらりと頭にはいらない1つの理由になっている
・なによりも大きな欠点は、文の長さがあまりにも長すぎることである
・3つの意見を述べるのなら、第1に、第2に、第3に というように箇条書きのような気持ちで言い表すのがいいのではないか
・誤解させる表現をとらない、誤解されないように工夫する必要がある
・専門用語なのかもしれないが、もっと優しく言い換えができそうである
・小むずかしい語を使って表現している感じがする
・敬語の使い方にも問題がある
・もっとすらりと言い表せる
・いかにも文章が整っていない。そのために、何を言おうとしているかが、読み手にははっきりと伝われらない
・いろいろな事柄が、ごたごたとならべられていて整理されていない
・1つの文の中に、違った事項が2つも盛り込んである
■構想と段落
・言葉の使い誤り
・照応の破れた文構造
・筆者のいうとしている要点がよくわからない
・つなげることばかり考えずに文章を切って改行し、段落のまとまりをつけるべきであった
・ものを書きなれていない人が身構えなしで文章を書くと、とかく行き当たりばったりの文章になりやすい
・前半はほとんど一文ごとに改行されている。これも、段落ごとにまとめようという気がなかった証拠である
・段落ごとのまとまりを意識した結果が、のべつ無差別であった経験を文節的に見ることになったのだろう
・構造にしたがって、各分節を1つの段落として立てるのである
・構想は、ただ立てさえすればいいのではない。読者に訴えるように、効果的に立てなければならない
・この文章は技巧的である。その技巧がこの文章を悪くしている
■文の切りつなぎ
・文脈の通らない文がつぎつぎに綴られている文章は、さぞ読みにくいことだろう
・この文がわかりにくい理由は、てにをは、の使い方がめちゃくちゃなところがある
・訂補の主眼は、文を切ることと、最小限の接続詞を使うことの2点である
・要するに、文の切りつなぎの面から見れば、悪文の代表の1つは長すぎる文であり、論理的な明晰さを読み手に感じさせない文章である
・判決文には、一般に、主文、事実、理由の3つの大見出しをつける。これはこれなりにまことに結構なことで、判決文全体の文章構成が明確になる
・初めの書き出しから句点でおわるまでで、じつに、2851字、3000字ちかい、一大長文をなしている
・長文病を直すには、2つある。第1は、小見出しでくくるやり方、第2は、結論を先に述べる方法。どちらも文を短くするには効果的なやり方である
・文体、文章構成、用語など、それぞれにいろいろな問題がある
・文の接続方法を見ると、指示詞、接続詞によるもの、前文のなかの語句を繰り返すものが、ほとんど全部といっていいくらいに多い
・文の接続関係をはっきりさせるためには、文章を適当な長さの文に切ることと、適切な接続詞を用いることの2つが特に大切だ
■文の途中での切り方
・文をいったん、中止しながら続けていくことがある
・中止法の使われている文は、一般に長い文である
・そうして結合、をまとめた文の場合は、中止法をいくらつらねていっても、読みにくくはならない
・屈折の多い内容を1つの文にまとめあげたようなものは、長くなるとかなり理解しにくい
・連用中止法のつながり方のあいまいさは、句読点の打ち方である程度救うことができる
・が には4つの用法がある
①2つの事項を並べあげる際のつなぎの役目 研究が世界の主流になり…
②題目についての、その場面における事項n叙述に接続 農地の耕作のことですが、…
③補充的説明の添加 はじめによくおこるものであるが…
④内容の衝突する事項を対比的に結び付け、前件に拘束されず後件が存在することをあらわす 私であるが…
■文の筋を通す
・主語と述語がちゃんと照応していないことがある
・述語がない
・述語の位置の悪さ、あまりにも離れているもの
・述語があるが、その述語が不適当である
・主語が省略されているが、文がハッキリしない
・主語が不適当である
・受身形は1つも使わなくてすむ
・省略沈儀で意味がとれない
・並べ方がわるい、文の並列と対応していない
・副詞の使い方がわるい、おさめが悪い
・助詞の使い方がわるい、おさめが悪い
■修飾の仕方
・助詞のくりかえしと省きすぎ
・並列の一文を忘れた文
・修飾語のかかり方がみだれている
・どこにかかるかわからない修飾語がある
・離れすぎÞ修飾語
・長すぎる修飾語
■言葉を選ぶ
・自分かってな言い表し方、一人合点
・言葉遣いがおかしい
・引っかかるつなぎ方
・あまりにも感覚的
・イメージがちぐはぐ
■敬語の使い方
・丁寧語、尊敬語、謙譲語の使い方がまちがっている
・お をつけすぎている ⇒ニュアンスがかわっている、わざとらしく��っている
・敬意をもった特別の漢語 尊父、令息、拙宅、寸志、
・二重につかっている
・敬語の不足
・敬語形の脱落
・敬語形の不統一
・文体の不統一
・敬体と常体を混用している
目次
はじめに
悪文のいろいろ
・わかりにくい文章
・誤解される表現
・堅すぎる文章
・混乱した文章
構想と段落
・段落なしは困る
・改行しすぎは段落なしにひとしい
・構想の立たない文章
・構想のよくない文章
文の切りつなぎ
・長すぎる文はくぎる
・判決文のまずさ
・ニュース放送のわかりやすさ
・すぎたるは及ばざるがごとし
・歯切れのよい文章
文の途中での切り方
・中止法のいろいろ
・長い文は読みにくいか
・「そうして結合」をつないだ文
・連用形による中止法
・句読法
・接続助詞の「が」
・悪文としての中止法
文の筋を通す
・首尾が整っていない
・省略がすぎる
・並べ方がまずい
・副詞のおさめが悪い
・助詞へのおさめが悪い
修飾の仕方
・助詞のくりかえしと省きすぎ
・並列の一方を忘れた文
・修飾語のかかり方が乱れた文
・どこにかかるのか、わからない修飾語
・離れすぎた修飾語
・長すぎる修飾語
・はさみこみ
言葉を選ぶ
・ひとり合点
・「ように」の使い方一つでも
・引っかかるつながり方
・無知か、慣用の無視か
・あまりにも感覚的
・イメージがちぐはぐ
敬語の使い方
・皇室敬語の今と昔
・敬語の三種と、そのきまり
・敬語のつけすぎ
・敬語の誤用
・敬語の不足
・文体の不統一
悪文をさけるための五十か条
文庫版あとがき
ISBN:9784044000813
出版社:KADOKAWA
判型:文庫
ページ数:288ページ
定価:800円(本体)
発売日:2016年10月22日初版
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何と1960年に日本評論社から初版が刊行され、本書はKADOKAWAによる2016年発行の3版。
これ程長く読まれているのには、訳があるのですね。
それは日本語の誤用が今もってあり、ふと振り返ってみると、自分も変な文章を書いているのかも と心配になるからかも知れない。
読んでいて、新聞や雑誌の記事、宣伝のキャッチコピー等、出版物や一般の人に訴える文章においても、専門家から見ると、これは変やろと見破られてしまうケースが多いと分かった。
「日本語の乱れ」は、よく聞く言葉だが、自分も悪文を書いているのだろうと感じてしまう。
尊敬語と謙譲語をきちんと区別し、混じった文章としないこと。
文章は長くしないこと。
主語と述語の距離は、離さないこと。
主語はなるべく早く出すこと。
述語はなるべく受け身形としないこと。
新しい表現は、現在の言語習慣を土台にして、慎重に考え出すこと。
勉強になったが、果たして歯切れが良く、美しい文章を書くことが出来るのか……。
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悪文と紹介された物には、さっぱり分からない文章もあれば、何となく読み取れる文章もあった。悪文とされた物も時代の変わった今では普通に使われていたり…。言葉は時代とともに変わっていくので、書き手、読み手共に成長が必要なのかな。
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全体を通して、悪文とされる例文をたくさん挙げて説明を試みているところが特徴。
基礎を既に学んだ人間にとっては、一見して悪文と分かるものも多く、また対処法も今更学ぶべくもなく身についているものも多い。それでも、なるほどと学びを得たり、参考になった箇所がいくつもある。
また悪文を自分で直しながら読み進めるのも、練習として良いと思う。
演出に重きを置いた内容。どう感じるか、や正しい使い方に主眼がある。決して、正しく簡潔に情報伝達をする技術を身に着けることを第一の目的としてはいない。
小説やエッセイを書くことのある人が読むと良いと思う。ただし、体系だった基礎は別で学ぶべき。(木下是雄著「理科系の作文技術」がオススメ)
本書では「悪文」は「名文」や「美文」の対義語として使われていると感じた。
章ごとに著者が違うため、クオリティに差がある。
論旨展開の構成や、ちゃんとテーマの掘り方、例文の使い方などの上手さに章ごとのばらつきを感じる。
(「修飾の仕方」を書かれている宮島達夫氏の文は特に良いと感じた)
文章指南としてしっかりしている章もあれば、個々のTIPSに終わっている章もある。
特に、構成の方法について「こうすると良い」という論じ方があまり体系的になされていないのは、文章指南の書としては残念に感じた。