紙の本
古代の文字文明
2017/01/31 22:29
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投稿者:森の猫 - この投稿者のレビュー一覧を見る
古代にも、文字の文明が芽生え始めていた事を解き明かしたことは非常に興味深く、古代人だからといってバカにしてはいけないなと思いました.
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【カナダ人女性人類学者が350余りの洞窟遺跡を調査】ラスコーやアルタミラに描かれたのは動物の絵だけではなかった。欧州全体の洞窟に刻まれた32個の記号は人類初の文字だったのか?
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普段使っている文字というよりは、記号の起源の研究に関する内容。
カラー挿絵があるのは嬉しいですが、本文中で紹介されていない写真等がもっと載っていると嬉しかったです。
あと、ちょっと長いw
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最古の文字なのか? ジェネビーブ・ボン・ペッツィンガー著 氷河期の記号パターンを発見
2016/12/11付日本経済新聞 朝刊
フランスのラスコーやスペインのアルタミラといった遺跡に牛や馬などの動物画が描かれていることは有名だ。だが、その周辺に描かれている幾何学模様の記号は従来、あまり注目されてこなかった。
カナダのビクトリア大学で古人類学を研究する著者は、これら記号の種類や配列に共通するパターンがあると推測。350カ所を超える欧州の氷河期の遺跡を巡り、5000以上の記号を収集してデータベース化した。すると驚くべき事実が分かったという。欧州全体で使われている主要な記号は32種類で、しかもそれぞれに特有の利用パターンがあるというのだ。
各記号は独自の経路で各地に伝わった。たとえば「羽状記号」は当初は人々の南方移動に伴って北から南へ伝わり、後に交易ネットワークを通じて広範囲に拡散する。一方、「屋舎形」記号は1つの例外を除き、フランスの特定地域に特定の時期にだけ出現する。記号が広まる足跡は、地域間の文化的つながりを知る手掛かりになると期待する。
さて、これらの記号は文字なのか? 著者によると残念ながら答えはノーだが「いくつもの記号をつなげてより複雑なメッセージを伝えようとする試みだった」という。彼らは一体、何を伝えようとしたのか。古代の人々への想像が広がる。櫻井祐子訳。(文芸春秋・1650円)
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ヨーロッパの300か所を超える洞窟に残された様々な模様、記号を調査、データベース化してみると、それはわずか32個に集約された。これらの意味を探るべく著者は調査を重ねる。日本語タイトルは「文字」という言葉を使うが、本文は洞窟に残された様々な記号、模様についての考察が中心であり、本書においてはそれらが文字であるとは結論付けていない。
とはいえ、このような研究はまだ間発展途上との事なので、今後のさらなる研究に期待している。
あと、本書のおかげで少し考古学や古人類学に興味が出た。
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ラスコー洞窟のような見事な絵を描ける人びとが、原始的な文字を持っていてもおかしくない、と思う。この記号が表した意味も絵画の表した世界もすでに失われてしまったのだろうか?ほんの一部でも今の私たちに受け継がれているのだろうか?いろいろ想像すると面白い。
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著者は、今まで解明されていなかった氷河期の洞窟に残されていた記号を、実際に調査して回って、世界初の氷河期の記号を幾何学記号のデータベースを作り上げた。そして、TEDトークで「ヨーロッパ中の洞穴に描かれた32個のシンボルの謎」が、世界中で225万回以上の再生を記録している。
そんな著者とカメラマンの夫の共同作品はいかなるものか。著書の真ん中あたりにその一部を垣間見ることができる。スペインやフランスなどの洞穴の描かれている点や記号を見ることができる。
いったい古代の人々は何を思って洞穴に描き、何をメッセージとして込めているのだろうか。(できれば日テレ系で放送している「アナザースカイ」のナレーションの方の声で読んでもらいたい)頭の中にクエスチョンマークが無数に点滅するばかりだ。
原始人だからと言って野蛮で文明の文の字も知らなかったとは言えないようだ。今の時代ならネットで検索すれば済むことが多いが、古代には当然ネットなどなかったのに、32の記号に集約できるとは不思議だ。現代人が知らない独自の通信網でもあったのだろうかなど空想は広がる。
このデータベースをほかの地域のものと比べるとどうなるか楽しみだな。そしてまだ長い研究者人生が待っている著者の今後も楽しみだ。
TEDTalksのサイト
https://www.youtube.com/watch?v=hJnEQCMA5Sg
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ラスコー遺跡の壁画に動物が描かれていることはよく知られている。一方で、平行線や点などの幾何学模様(記号)も描かれていることはあまり知られていないのではないだろうか。私も知らなかった。岩絵は何度も見たことがあるから、記号の存在に気がつかなかったのだろう。著者は、研究されていない古代の記号をデータベース化し、文字の起源であると思われるものを研究している。記号のデータを集めるだけでも大変な苦労がある。研究は始まったばかりであり、本当の成果は数年先でないと出てこないだろう。本書は、古代ファンを惹き付ける研究分野があることを知ることを目的に読んだ方がいい。著者が慎重なのか、推定でしかない事を断定することはない。そのため、結論を知らされない読者はもやもやするが、数年後には新たな発見がありそうな期待感で胸を膨らますことができる。
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授業内容更新用。ヨーロッパの洞穴に残る、人類の手による幾何学模様の中に共通する形が多いことに着目し、これを最古の記号と捉えて考察を進めていく。
著者は博士課程在籍で、幾何学模様をデータベース化し、現在博論に向けて分析を進めているところであるという。
結論から言えば最古の文字ではないのだが、幾何学記号の利用の話を組み込むことは必要そうだ。←組み込んだ
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現生人類の祖先がアフリカをでて、ヨーロッパ大陸に進出した時の痕跡としてよく知られているのはフランス、ラスコーの洞窟壁画。躍動感のあるウシやウマの絵が特に有名ですが、著者がスポットを当てるのは、これらの絵の脇に描かれるような比較的地味な「記号」。驚くほど注目されてこなかったこれらの記号から、どのような情報を引き出せるのかが、本書を読む楽しさといったところです。
著者は主にヨーロッパの洞窟壁画を探す調査であちこちの洞窟に入って行きます。あまりに注目されてこなかった記号は、記録に残されていることが少なく、記録があったとしても名称に統一性がないため、自分の目で形を確かめる必要があったとのこと。
そうして集めに集めた記号の統計をとって、ようやく始まった研究はいきなり驚くべき結果を出すことになります。
32種類。
広大なヨーロッパ大陸、時間にして3万年。
広く長い時空間で使われた記号の種類がたったの32種類。
これが意味することとは?
旧人類の研究において斬新な発想で進められる内容は、著者も認める通り今となっては証明が難しいのは確かですが、新たな側面を広げることによって、ヨーロッパ以外の旧人類の痕跡を統計に入れようとする新たなステップにもつながって、ますます面白くなりそうです。
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読了。内容は面白かったけど、思ってたんと違って文字の話はあまり出てこず、主に壁画の話だった。あと説明している壁画や図形の図版がほとんどなくてイライラした。時々あっても小さくて不鮮明だし。そして調査のために洞窟に入るシーンは、閉所恐怖症の人にはきつい描写だった。
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ヨーロッパにある氷河期の洞窟に動物の絵があるのは有名だが、その動物の絵の周辺にある記号に初めて焦点を当てた研究についての書籍。
氷河期の動物画は昔から知られていたのに、今まで誰もその周りにある記号に注目していなかったという驚きをまず感じる。
この本では記号たちはは最古の文字ではないが、数を数えるための記号か地図等に使われていたのではないかという結論に至っている。
氷河期の人間の認知能力はすでに高くなっており、未来のことを考えたり外界を認識したりできる証拠ではないかとなっていた。
20世紀までの学者たちのヨーロッパ中心の考え方のために、アフリカで誕生した人類がヨーロッパにたどり着いたころに認知能力が高まったと考えていたが、アフリカにいたころにすでに十分な認知能力を得ていたことが分かってきたということも書かれていた。
20世紀までの考え方を捨てていくと新しい発見はまだあるのだと感じた。
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岩絵遺跡を調査する古人類学者による、文字や記号の誕生を探る活動が綴られた一冊。
壁画などの芸術は学者だけでなく大衆からも注目されますが、文字かもわからない記号のようなものにはあまり関心が集まりません。
調べなければ始まらないということで著者が本腰を入れて研究を進めます。
文章のようなもの、単語のようなもの、単体の文字か記号のようなもの、色々見て回った結果として共通の記号や染料などが判明していきます。
しかし、それが本当のところ文字なのかはわからないのです。
シャーマンが儀式の最中か末に描いた物が記号に見えるだけなのかもしれませんし、一つの記号に複数の意味があるか単一の音を表しているのか、全てが謎です。
我々が音声と文字でコミュニケーションを取り始めた切っ掛けや、古の呪術や芸術の始まりについては研究の余地がまだまだあります。
本書は後進への道標となる内容であると感じましたし、今後の進展に期待します。