紙の本
我が国に自信を持つべき
2017/01/23 13:02
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投稿者:ZATO - この投稿者のレビュー一覧を見る
英国のEU離脱、米国のトランプ大統領誕生と、昨年はまたもやアングロサクソン諸国が世界を賑わせました。
「現在の国際金融資本が主導するグローバル化は、国境を超える多国籍企業を富ませはしても、世界の「国々」の「民」を富ませているとは言えない。」(172頁)
英米系情報ピラミッドの枠内で思考することに慣れている日本のマスメディアは未だ事の本質をつかんでいないと思いますが、本書は本質的な問題をわかりやすく示してくれています。その中でも我が国が自信を持って我が国の長所を自覚し、優位戦思考で事に対していくべき事を提示しています。「日本には力がある」ということを、個々の日本人がもっと自覚して、行動するとき、世界は良い方向に変わっていくはずです。
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未来予測に定評のある日下氏の話として、新しい日本人とは、歴史の連続性に学び、学校秀才でなく、優位戦思考を持ち、先入観固定観念がなく、物事をストーリとして表現し、一生懸命に働く人たちらしい。日本人は、自らの情緒=心に問いかけ、意志を示す時が来ている
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2017/04/01:読了
「エクサスケールの衝撃」の紹介があった。
齊藤 元章著
こほ本を知ったと言うことで、この本を読んで良かったと思う
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平成元年に卒業して社会人になってから、ずっと読ませてもらっている日下氏によって書かれた本です。出版は今年(2017)初めですが、気づいたのが最近でした。この本では、これから日本を変えていくことになるだろう、新しい日本人について書かれています。
新しい日本人とは、皆一緒に幸せになれた高度経済成長時代には出現しにくかった、今の日本の環境下でも成長することができる人達です。最近、娘達と話していて気付くのは、私が若かった頃と違って、一度に多くのことをこなし、それを当たり前だと感じていて、違う人種だなと思います。
2020年には大学入試制度が大幅に変わり、2030年にはその制度下で大学で勉強・卒業した新しい日本人が活躍していることが予想されます。この本が今までの彼の著作と比較して特徴的なのは、多くの書籍が本の中で紹介されていることです。私が知る限り初めてだと思います、その中の何冊を実際に読んでみようと思いました。
以下は気になったポイントです。
・新しい日本人とは、1)歴史伝統の連続性を尊ぶ、2)学校秀才でない、3)優位戦思考を持っている、4)先入観・固定観念にとらわれない、5)物事をストーリーとして表現できる、6)一生懸命に働く(p6)
・事実に基づく報道・論評なのか、主義主張に基づく報道・論評なのかが大事(p23)
・旧敵国条項である、53・107条を簡潔に説明すると、旧敵国が加盟国の安全を脅かす行為を起こした場合、連合国によって構成された地位的な機構が安保理許可なしに、独自に旧敵国へ行動がとれる(53)、戦争の結果として結んだ協定は国連憲章の規定に優越する(107)(p29)
・滞納総額が当該国の国連分担金の2年分を超えると投票権を喪失するので、滞納期間を調整した支払っている(p31)
・日本海軍の軍人、軍属の人事記録「軍人履歴原表」を管理する厚生労働省に問い合わせが増えている(p37)
・日本はサウジアラビア政府の要請を受け、独自でカフジ沖の油井に至る航路の掃海を実施、爆破された34個の機雷のうち、直接手作業で爆破準備したのが29個もあった、この活躍によってクウェートで日本の国旗が新たに印刷された記念切手が発行された(p53、55)
・特定秘密保護法における特定秘密は、防衛・外交・特定有害活動(スパイ)・テロ活動防止の4分野で限られている(p57)
・国防動員法は、有事には中国国内で事業を営む外国企業も資産・業務を中国政府に提供しなければならない、これは外国に居住する中国人も対象(p81)
・潔いとは、強いて言えば、Manlyという古い言葉が近い(p98)
・安倍首相が中国のG8加盟を認めないといった理由として、1)軍事費が不透明かつ19年連続で2桁伸びている、2)スーダン政府を支援、3)多くの国際ルールを遵守していない、ことを挙げ、それに米独は納得した、これはルールと価値観を用いた安倍氏の優位戦思考の勝利である(p111)
・パール判事は、東京裁判でインド代表として判事をつとめ、戦勝国が事後法により敗戦国を裁くことに重大な疑義を呈し、日本人被告��員の無罪を主張した国際法の権威である(p111)
・インド訪問により、安倍首相は、東南アジア諸国連合(ASEAN)10カ国、中東湾岸協力会議(GCC)6か国と合わせ、シーレーン沿岸国をすべて回った、これはアジアの民主的安全保障ダイヤモンドの形成につながる(p116)
・ガリオア・エロア資金は対米債務と考えるという国会決議(昭和36)を行って返済することを決めた、18億ドルのうち、5億ドルを昭和48年に返済した(p145)
・チャーチルは海軍、陸軍と相談することなしに、巨額の費用を投じて、「陸を走る船=戦車」を制作した、空軍の創設、さらには飛行機を軍艦の甲板から飛ばすこと(空母)を考えた(p152)
・優位戦は、攻めることも守ることも自在、戦いのルールから、勝敗や和平の定義まで決められる立場から仕掛ける戦い、劣位戦は、それらのイニシアティブがない立場からの戦いである(p153)
・トランプ氏、サンダース氏も名指しした「ウォール街」が象徴しているのは、民主・共和両党の主流派が推進してきた、経済のグローバリズムである(p162)
・「シン・ゴジラ」は、ゴジラの襲来という想定外の危機、国家の存亡にかかわる事態に直面した日本政府が、現在の法体系のもとでいかに対応していくかが克明に描かれた(p205)
・ポケモンと OnePieceは、仲間たちとの友情が基本テーマ、仲間をけして見捨てない、また戦い終わったら相手とも心を通わせるという物語、日本人がつくる物語の特徴を、この2つの作品はよく表している(p211)
・エクサスケール・コンピューティングが実現すると、1)世界のエネルギー問題、食糧問題が解決する、2)衣食住が完全にフリー化、3)生活のために働く必要がない社会が到来、4)老化から解放され不老の体が手に入る、エクサスケールの衝撃(p219)
・戦後は、国ではなく、三菱・IHI・川崎重工・戦前の中島飛行機を引き継ぐ富士重工などの民間企業が防衛産業を守ってきた。その裾野には町工場のような零細企業もある(p240)
・平成28年4月に、防衛省の発注で、三菱重工が製造した「心神」というステルス実験機が初飛行に成功した、平成のゼロ戦と言われている(p242)
・杉田女史も新しい日本人である、「歴史戦はオンナの闘い」(p255)
2017年5月1日作成
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また「新しい日本人」とは日本を「我が国」と思う一体感があり、単なる愛国主義、国粋主義とは異なる「戦前派」ではない。
すなわち、潮流としては「戦前派が災後派(震災時に見せた、日本人の相互扶助感・自衛隊への感謝)」になり、戦前との歴史の連続性に気づき、それを大切にしようとし戦後70年余りの「戦後体制」から脱却しようとする。これこそが「新しい日本人」だと喝破する。
日下氏はこうも問いかける。そもそも現行憲法9条を「平和の守護者」と考えるなら、なぜ北朝鮮による拉致被害を防げず、またその被害者を救助できないのか、と。
哲学者の田中美知太郎氏には「憲法で平和をいくら唱えてもそれで平和が確立するわけではない。ならば憲法に、台風は日本に来てはならずと記すだけで台風が防げようか」という至言があるが”9条信者”の人々はこれに答えるべきだ、と日下氏は疑問を呈する。
氏はこうも唱える。SEALDsの代表の奥田某は福岡県生まれだが、彼の父は牧師であり「反天皇主義」と「ホームレス支援」で有名な活動家であるそうだ。彼は公的な意味を持つ活動に参加し、一定の影響力を持つ存在となったら、その人間の背景についても伝えるのがメディアの仕事であり、それを「普通の学生」としか伝えないのは手落ちであるという。
また日下先生は計量的にも彼らの活動の失敗を事例をもって証明する。SEALDsが活動した平成27年10月の参議院選挙では、若者の多くは彼らに賛同しなかった。
当該選挙の共同通信の出口調査によれば、18,19歳の比例代表投票先のトップは自民党の40%で、20代43、2%、30代、40、9%に次ぐ3番目の多さで、中高年より自民党を支持している結果となった。
話は中国に飛ぶ。2010年1月中国は「中華人民共和国海島保護法」という中国が主張する無人島は中国が所有するという趣旨の法律である。
これをもとに中国は、尖閣諸島だけではなく近海6千の無人島の国有化を宣伝している。このような中国の動きについても、日本の大手メディアはほとんど報じなかった。したがって「(石原)都知事の尖閣購入の表明、その後の国有化が日中関係の引き金を引いた」という報道がいかに的外れなものであるか、遡ってみれば歴然である。
次に日本国憲法に話は飛ぶ。日下氏個人では、日本には必ずしも「憲法」は要らないのではないかと考えているとのこと。
なぜなら、大日本帝国憲法は明治時代、列強と肩を並べるため大急ぎで作ったものであるし、そもそも日本人たるもの、文字や文章にわざわざ表して制定しなくても、歴史に培われた日本人としての規範があったはずだと思うからだ。
それをまずはっきり自己のうちに見出すことが大切で、そうした根本における自意識が、戦後の日本人には著しく欠けている。日本人の伝統や慣習に会わないものならば、それは日本という国の憲法にはふさわしくない。それだけのことだ、という。
確かに、我が国の周辺国が憲法の前文にある(平和を愛する国民)ばかりであれば、その(公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しよう)とすることも可能かもしれない、しかし���述の中国のように、そのような実態はないのである。
(われらは、いづれの国家も、自国のことのみ専念して他国を無視してはならないのであって(中略)他国と対等関係に立とうとする各国の責務であると信ずる)という文節も、いったいどこの国のことを言っているのか、少なくとも日本ではない、氏は断言する。
安倍首相は、日本を「美しい国」にしたいと語ったが、憲法の前文に我が国のあるべき姿を記するとき、日下氏なら「安らぎの国」とか「思いやりの国」といった言葉、あるいは
「潔い国」という言葉を入れるそうだ。
これは日下氏の慧眼であり、普遍的なものであり、かつて米国大統領選挙でアル・ゴアと息子ブッシュが裁判所まで持ち込まれた時、日下氏はアメリカ人に「そんなことするのは民主主義の恥、アメリカの恥であり「どちらかが潔くしたらどうか」という話は米国内ではでないのか」と外務省の元駐米大使に言ったそうだが、彼曰く「私もそう思うが、英語には「潔い」という言葉がない。残念だが助言できない」と言われたそうだ。
そこで日下先生、日本語ができる外国人や日本人の英語教師の顔を見るたびに「潔い」という英語はありますか」と聞かれたそうだが、みんな「ピッタリくる英語はない」という答えだった。
NobleでもGracefulでもない上智大学名誉教授の故渡部昇一氏が「Manlyという古い英語がそれに近い」と教えてくれたそうだ。
アメリカはまだ240年しか歴史のない国だから、敗者は敗者、退場するだけであってそのような概念がないということであるそうだ。
ただでさえ、英語による思考は二分法になりやすい。白か黒である。もともと契約のために発達した言語だから仕方がないが、対象となる社会現象や自然現象は、たいていアナログである。
アナログをデジタルで表現すると、グレーゾーンを切り捨てることになる。洋裁でいうと布地の裁ち屑がでるようなものであるが、日本語はそのような裁ち屑を掬い上げる秒なニュアンスが豊富である。
日本人の憲法を成文化するなら、きちんと日本語で考えられ、日本語で書かれるべきだ。それは外国人が理解できない場合、彼らに考えさせるべきであるとまでする。
と日下節は続くが、これ以上紹介すると著作権違反になるのでこの辺で。日下ワールド満載の一冊である。普通の日下先生のご著書より若干難しめです。「難しい日下先生も好き❤」という方には満足度100%でしょう。ちなみに私は120%久々にいい本を読みました。
日下先生、ありがとう。末永くご活躍を!!!