紙の本
スウェーデンの小学校社会科の教科書を紹介した画期的な書です!
2019/01/14 11:04
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、北欧の社会福祉国家として注目を集めるスウェーデンの小学校の社会科の教科書内容を紹介した書です。同国では、国政選挙の投票率は85%を超える高さを誇っており、国民と政治が一体となり、国民が非常に関心をもてる国政が行われています。そのような状況は小学校の社会科の教科書内容にもよく表れており、投票率の低さ、若者の政治への無関心さが高まっている我が国にとっては学ぶべきところが数多くあります。私たちは、同国の社会科教科書から何を感じることができるでしょうか。
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非常に読みやすい本でした。小学校の教科書が出た後にこの作者のゼミの学生さんの対話が載ってあり、どのように感じて考えたのかを述べてあるので、そんな考え方もあるのかと読みながら感心しました。
そして日本との違いやまた他の事柄との比較も非常に多く、こんな違いがあるんだなと思いました
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日本の大学生が、スウェーデンの小学校(基礎学校)の社会科の教科書を読み、日本の教育の足りないものを見つめる。
いじめ問題など小学生に身近なものから、政治、犯罪と刑といった大人になって直面するものまで、内容は多岐だが、どれも共通するものがある。
簡潔な過程の説明があるのだ。
スウェーデンの教育の根底には、同じ北欧のフィンランド・メゾットに通じる、「ミクシ(Miksi / 何故)?」という問題提起がある。
スウェーデンでの家族の形が多様であること――離婚、再婚(ステップアップファミリー)、養子から同性パートナーまで――をイラスト入りで紹介。
100年前までは、子供が労働力であったり体罰を用いてでも“管理”する存在だった子供が、今では親・教師が子供を個人として尊重し、寄り添って接する存在にかわったこと。
今と昔では何が違うのかを明記しながら、考えを促す方針が、教科書の文章に書かれている。
知識の羅列で、読み手(児童・生徒)が受け身になる日本の教科書とは、根本的な部分が違うと思った。
私は今の小・中学校の教育現場を知らないので何とも言えないが、私が義務教育を受けていた頃は“進学校”と呼ばれる学校が受験対策重視で、議論をすることを学ぶ機会が少なく、大学生になってやっとそれができるような気がする……
著者は「スウェーデンの教育の全てが良いと手放しで称賛することはできない」とする。
短期的な知識や成績、技術面では難色がある模様。
しかし、スウェーデンの教育にはそれとは違うもの……根底にはグローバル化が進む社会の中に在って、柔軟な発想ができる人間になるためのリベラルアーツ的な部分を養うことを目的としているのだろう。
教科書を読んだ日本の大学生たちは「日本には無い視点」をよく指摘していた。
この本に明確な答え、主張はない。
それは読者に委ねられている。
【併読/再読したいもの】
北川達夫『図解 フィンランド・メソッド入門』( https://booklog.jp/item/1/4766783476 )
ペーテル・エクベリ『自分で考えよう: 世界を知るための哲学入門』( https://booklog.jp/item/1/4794969368 )
ペーテル・エクベリ『おおきく考えよう: 人生に役立つ哲学入門』( https://booklog.jp/item/1/4794969759 )
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スウェーデンと日本の社会の教科書は大きく違う。
その最大の違いの一つに、スウェーデンのは考えさせるところが多い。社会、メデイア、個人と集団、経済、政治、法律と権利など。
日本では知識として教わる部分も多いが、スウェーデンは平易な文章で現状を説明したあと、例えば、「今の社会と200年前の社会とくらべてあ、どこがよくなり、どこが悪くなったか考えましょう。」などのような形式が多い。
この幼い頃から、身近な問題を考えさせるところが、投票率の高さであったり、国や社会の問題を他人事とは考えず、当事者意識をもって考えさせるところにも繋がると思う。
読んでよかった。
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タイトル通り、スウェーデンの小学校高学年〜中学校で使う教科書を読み思ったこと感じたことを話していく形式。
「概論」の次に「メディア」の章が来ており、民主制というシステムの中で話し合ってものごとを決めていくというプロセスの重要性が全体にわたって大切に書かれていたことがとても印象的だった。
日本との比較がたくさん出てくるが、そこで日本の社会科道徳科の教科書を引用してくれず「〜だったと思う」と話されているところに、北欧礼讃っぽさを感じてしまい少し残念に感じた。自分の10年前の記憶と、目の前の文章を比べることはできないし、スウェーデンの若者だって教科書の内容を一言一句覚えて生きていけるわけではないだろう。
日本の社会科の教科書を横に並べながらもう一度読んでみたい。
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スウェーデンの教育と日本の教育の違い。
子どもをひとりの人とみなすか、保護の対象としてみなすか。
スウェーデンでも子どもは保護されるべき対象だが、日本では現実的なもの、望ましくないものにはなるべく触れさせないということが保護であるのに対して、スウェーデンではそういったことを直視させながら、自分で自分の身を守る方法を身につけさせることに主眼が置かれている。
その根底には子どもを大人と同じ一つの人格として信頼している。
考える力を育てる教育と受験のため暗記させる教育。
私自身、自分で考える力を育て、社会的責任を果たす子どもに育てることに興味があるので、敏感になっていきたい。
小学校からの教育を考えさせるものになった。
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スウェーデンの小学校社会科の教科書を読む
鈴木賢志 新評論
ヨーラン・スバネリッド著の教科書を叩き台にしての
明治大学鈴木ゼミにおける現地調査と議論
読み始めて気になったのは
ページごとに現れるゼミ参加者のポートレイト
その意味を測りかねました
はっきり言って邪魔です
他の内容については面白く読みました
北欧はそれぞれ個性的で面白い国です
貧乏で無知で粗野だったバイキングの国が
突然のように国民が目覚め福祉国家を目指して
民主性を開花させながらしぶとく戦争を回避し
今は静かに世界に調和を目指そうと発信を続けている
稀有な存在である
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スウェーデンの教科書は私の領域への介入や、公としての役割、そして民主制の維持、個人の権利について踏み込み、分かりやすく問いを立てながら進んでいく内容でした。
社会とは何か、法律・規則・規範の可変性をはじめ、「原因の分析→結果の想定→比較→代替案の検討→解決策の評価→他の事象との関連性の発見」の一連の思考の流れで考える内容。とても参考になりましたし、日本と比較するにもよい資料でした。
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「時給はいつも最低賃金、これって私のせいですか? 国会議員に聞いてみた。」の参考図書としてリストアップされていたので、気になって読んでみた。
内容は非常に平易。タイトルの通り、スウェーデンの小学生が利用している教科書を読み解くというもの。大学の教授がゼミ生たちとわいわい言いながら、内容を追っていくスタイル。
ゼミ生の発言からはとても純粋なものを感じてしまうし、脈絡なく挿入されるゼミ生の写真はどこかシュールだった…笑
それでも、内容はよかった。当たり前だけど、自分は日本の教科書しか読んだことがない。外国の教科書を、日本語でよむというのは案外貴重な機会だったかもしれない。
小学校の教科書というのは、社会の鏡でもあると思う。スウェーデンでは、子どもをすでに社会の構成員と捉えており、現実に即した内容を教えているのが印象的だった。SNSの負の面や、税制についてなど、大人が読んでも面白く思える内容だった。
(書評ブログもよろしくお願いします)
https://www.everyday-book-reviews.com/entry/2021/11/03/%E3%80%90%E3%83%AC%E3%83%93%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%80%91%E3%82%B9%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%83%BC%E3%83%87%E3%83%B3%E3%81%AE%E5%B0%8F%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E7%A7%91%E3%81%AE%E6%95%99
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子どもは保護する対象だけど、守り方がちがうな~って感じた。
日本は危険なものには近づけない、触らせない。
スウェーデンは、どこが危険なのか、どうすれば身を守れるのかを教える。
小学6年生まで成績をつけないのも大きいと思う。だからこそ、○✕にとらわれない、答えのない自由な議論ができる。自分の意見が世の中に影響を与えることができることが前提になっていて、そのためにまずは自分の意見をもつ、発信することに重きが置かれている印象。
日本の受動的な国民性は教育方法が大きく関わっていそうだな~。
・スウェーデンと日本が大きく個となる点は、自分の行動が政府の決定に影響を与えることができるという可能性に対する期待感だと言える。
・根本的なレベルの認識から違う。端的に言ってしまえば、スウェーデンでは、とくに政治に関心を持っていなくても選挙には行くということ。
・日本人は、学校で教わっていることが一般の生活の役立つ知識であるという意識が高くない。学校で教わるのは高校や大学の入試に出る内容であって、勉強する理由は、いい高校や大学に入るためになってしまっている。
・スウェーデンの教科書では、今ある決まりは絶対ではない、古い考えに縛られることはない、ということが強調されている。
・スウェーデンの教科書のなかで、とくに重視されていることが「メディアは発信するためのもの」という点。ソーシャルメディアが国をより民主的にするのに役立つと説明している。
・小学校6年生まで成績表がない。
・日本の教育は、危ないことには近寄らせない、触れさせないということが基本的な立場になっている。子どもを保護すべき対象と捉えている。一方、スウェーデンでは、自分で自分の身を守る方法を身につけさせるのとに主眼が置かれているように見える。その根底にあるのは、子どもを大人と同じ一つの人格として信頼しているという姿勢。
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税金や労働、法律など社会を回すうえでの構成要素をきっちり説明することで、何を変えれば社会を変えられるのかを教えている。
全体的な仕組みを教えたうえで、きみならどうしたいかを考えさせる。
部分をフォーカスして暗記させる日本の教育との大きな違いをそこに感じた。
自分の意思決定が社会にどう影響を与えるかが想像できるから選挙の投票などにも積極的になるんだろうな。
日本人に積極性がない、考えられないが問題ではなく、その前提となる知識を与えられていないことが政治に無関心な原因なのではないかと感じた。
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外国の教科書は面白いので手に取ってみたものの、副題の日本の大学生~のところを読み落としていたので、読み始めてからの求めていたのはこれじゃない感が激しかった。
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スウェーデンの教科書の翻訳と訳者あとがきは良かったが、大学生のディスカッションはもっと踏み込んで欲しかったし、大学生の写真はいるか?と思ってしまった。写真を載せるスペースに文字数を増やして欲しかった。