紙の本
読み応え十分な人文書
2017/07/25 16:24
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投稿者:めいりん - この投稿者のレビュー一覧を見る
稲葉振一郎『宇宙倫理学入門』読了。久々に人文書をちゃんと読んだ。宇宙SF自体は科学の進歩の結果として流行を過ぎて久しいが、リベラルな現代社会において許容されうる宇宙開発のあり方を構想するという試みがこれほど刺激的であったとは。人文研究らしい細々とした配慮に満ちていて読み応え十分。
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稲葉振一郎『宇宙倫理学入門』読了。久々に人文書をちゃんと読んだ。宇宙SF自体は科学の進歩の結果として流行を過ぎて久しいが、リベラルな現代社会において許容されうる宇宙開発のあり方を構想するという試みがこれほど刺激的であったとは。人文研究らしい細々とした配慮に満ちていて読み応え十分。
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宇宙開発を倫理学的な視点から見てみよう、という本。
特に有人宇宙開発からの宇宙植民について、それが許容される世界はどのようなものか、倫理学から述べている。
技術的な点ではなく、倫理的なところから宇宙植民について述べている本は少ないと思われ、大変面白い内容でした。
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まさに知りたかったことが書かれた一冊だった。
宇宙開発が正当化される理由の糸口を探したかったので、それが明示されなかったのは残念だったが、非常に合理的な考察であり、勉強になった。
また、AI倫理の観点でも示唆に富む考察があったことも望外の収穫だった。
特にリベラリズムの限界、徳倫理学の可能性についての考察は刺激的で、結局世の中はそちらの方向、全体主義的・非科学的方向に揺り戻されるのではないと思う。またそこに、宇通開発が正当化される余地はあるのかもしれない。
リベラリズムの限界や、戦争・競争が宇宙開発を正当化しうるという観点で、改めて本書を批判的に考えていきたい。
【まとめの目次】
・本書の課題空間と結論
-リベラリズムに基づく宇宙開発可能性のまとめ(本書の結論)
・スペースコロニーの倫理学
-オニール構想とその吟味
・宇宙植民に意味はあるのか
-大規模有人ミッションの可能性
-小惑星コロニー
-宇宙植民が成立する条件
-恒星間飛行
・自律型人格的ロボット
-自律型ロボットの倫理的課題
-自律型ロボットによる宇宙探査が認められる社会
-『PLUTO』考察
-「宇宙SF」の現在とポストヒューマン
・リベラリズムの限界と徳倫理学
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難しい。「放射能の観点で危ねぇ!からスペースコロニーに反対!」ということは理解した。功利主義、カント倫理学、徳倫理学については勉強になった。
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もちろん先生もわかった上でやってるわけだけど、宇宙開発とリベラリズムっていう組み合わせが、食い合せわるいというかなんかおかしく、なかなかはいりこめない。
p.114で「人格を備えた」が出てくるけど、内容はよくわからない。「意識」とかならまだわかるか。
頭からSF倫理学って感じでやってくれた方がおもしろかったんちゃうかという気がする。
しかしまあ新しいことをやる人はえらい。