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現場を歩いた記者さんの文字を通して、過疎のこれまでとこれからを考えることができました。「過疎」という言葉が生まれたのは島根県益田市の匹見地区といわれています。中国山地はまさに人口減少社会における最先端。これらの現場から学べることは多いはずです。
「むらおさめ」に向かう集落もはじめから諦めていたわけではなくて、いろいろな試行錯誤を経ていることが伝わってきます。やり方を変えていれば今とは違った未来になっていたのだろうか。移住者が増えている地域とそうでない地域の別れ目はなんなのか。もっと探っていきたいと思いました。
「限界集落」は、客観的には人口の過半数が65歳以上となり農地や水路の維持管理などの共同作業が困難になりつつある集落を指すけれど、実際にそこに暮らす人たちが、いつごろから何を契機に限界を感じはじめ、どのような経緯を経てきたのかを追うような研究や取材も必要だと感じました。
新聞記者らしい表現もとても心地よかったです。いくつか印象に残ったタイトルを列挙します。
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六人になった
悲願の駅 乗客「ゼロ」
限界集落に赤ん坊の声
高齢者も減る時代に
整った農地 後継不足
地域の「マイカー」快走
新たな植林 山主苦悩
旧町の中学校 一人きり
細る財政優遇 市に痛手
町ぐるみ 産声V字回復
古里教育 帰郷の種まき