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本を読む、そして知る、学ぶ。とても大切なことで、この本を通してもそれを思いました。
国谷裕子さんの想像を絶するご苦労の一部を垣間見させてもらった感じです。ますます国谷さんファンの度合いが増しました。
学び、感動したもののほんの一部の抜粋。
〈本から〉
是枝裕和さん
「わかりにくいことを、わかりやすくするのではなく、わかりやすいと思われていることの背景に潜むわかりにくさを描くことの先に知は芽生える」
国谷さん
「新しい事象を新しい言葉で定義し、使用して、多様化している視聴者に共通の認識の場を提供する、このとが「クローズアップ現代」のような報道番組の大事な役割だと思って取り組んでいます」(『問う力ー始まりのコミュニケーション 長田弘 連続対談 みすず書房より』
日産自動車のゴーン社長
「曖昧な言葉で質問すると曖昧な答えしか返ってこないが、正確な質問をすると正確な答えが返ってくる。明確な定義を持つ言葉でコミュニケーションすれば、その人は自分の言葉に責任を持つようになる」
コペルの〈ナイトラン〉は視聴者に信頼され、2005年11月まで25年間続いた。〈ナイトラン〉に出演することは、コペルという「精細な秤」に載せられることを意味した。当事者が〈ナイトラン〉への出演を避ければ、視聴者に何か説明できない都合の悪いことがあるに違いないとまで思わせる存在感のある番組だった。
日本語の何となくストレートに聞けない曖昧さをどうやって排除していくか。それは、インタビューしていくうえで大きな課題だ。
危機的な日本の中で生きる若者たちに八か条
柳田邦男さん
一 自分で考える習慣をつける。立ち止まって考える 時間を持つ。感情に流されずに論理的に考える
力をつける。
二 政治問題、社会問題に関する情報(報道)の根底に
ある問題を読み解く力をつける。
三 他者の心情や考え理解するように努める。
四 多様な考えがあることを知る。
五 適切な表現を身につける。自分の考えを他者に
正確に理解してもらう努力。
六 小さなことでも自分から行動を起こし、いろいろな
人と会うことが自分の内面を耕し、人生を豊かに
する最善の道であることを心得、実践する。特に
ボランティア活動など、他者のためになることを
実践する。社会の隠された底辺の現実が見えて
くる。
七 現場、現物、現人間(経験者、かんけいしゃ)こそ
自分の思考力を活性化する最高の教科書だることを
胸に刻み、自分の足でそれらにアクセスすることを
心掛ける。
八 失敗や壁にぶつかって失望しても絶望することも なく、自分の考えを大切にして地道に行動を
続ける。
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クローズアップ現代を毎日進行されていた国谷さん、どういう経歴か、またどんな風にクロ現に取り組んで来られたのか知りたくて読んだ。
「わかりやすさ」を追求ばかりしていると、視聴者は、「わかりやすい」情報のみしか興味がなくなる。わかりやすいことの奥にある難しさや課題の大きさを伝えることがクロ現の役割。インタビューについて、視聴者が聞きたいことをしつこく聞いたこと、当時のヒューレットパッカードCEOとの対談。嫌がられる質問でも聞いてきたこと、など。
17秒の沈黙を待った高倉健さんのインタビューについて、「待つことも聴くこと」であると。
つい、沈黙が怖くて何か話し出してしまうことがあるが、相手は考えている、それを遮ってはいけないと気づく。
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著者が、アメリカに残って大学院に進むか、日本に帰ってテレビの仕事に就くか、学部長に相談したとき得たアドバイスがいい。
わかりにくいものをわかりやすく伝えるというので良いのだろうか、視聴者がわかりやすいものにしか興味を持たなくなるのではないか、難しい問題はやはり難しい問題だということを視聴者にわかってもらうべきではないか、という著者の考えに賛成である。
番組で語りかけるときに使うものの言い方を、どれほど慎重に吟味したかもよくわかる。
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報道がどうやって作られるか、真実を伝えたいという多くの役割の人達の努力の結晶であることを理解できる。筆者は、世界中の著名な人びとや現代の問題を抱える無名の人びとへのインタビューを通して成長する▼帰国子女のキャスターとして悩み、経験を積み、勉強し、成長してゆく著者。報道を伝えるキャスターとして視聴者への誠意を保とうとするが、「同調圧力」は大きく、少数者弱者は声を上げにくい▼そのなかで、自分の立場を相手に知らせたうえで、問うべきことを深く問い続いける姿勢を貫いた。言葉による「伝達」ではなく、言葉による「問いかけ」が大事という▼イラク戦争からの教訓についてインタビューしたときの、ABC放送コぺル氏の返答が印象的。「どのような軍事行動も軍事計画も、最初の弾丸が放たれるまでの命です。予期していたことと違うことが常におきます。そして、ある行動を起こすと、次の行動を起こさざるを得なくなっていくのです。」戦争は動きだすとコントロールできない。▼柳田国男 「危機的な日本の中で生きる若者たちに八か条」は啓発的:(1)自分で考える習慣をつける。立ち止まって考える習慣をつける。感情に流されず論理的に考える。(2)情報を読み解く力をつける。(3)他者の心情や考えを理解する力をつける。(4)多様な考えがあることを知る。(5)適切な表現、他者に正確に理解してもらえる力をつける。(6)行動し、いろんな人に会い、それにより、自分を理解する。他者のための活動をする。(7)頭でだけ考えないで、現場を大事にする。(8)失敗しても、地道に続ける。
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「クローズアップ現代」の23年の軌跡.
クローズアップ現代が始まった時は,その密度,深さに新鮮な驚きがあった.そのキャスターは知的な美人で私の憧れだった.
その後,私は多くのことに関心を失い,この番組も見なくなってしまった.
さて,この本を読んで思うのは週に4回番組を作ることの慌ただしさである.いくら勉強するといっても,いくら専門家の力を借りるといっても,やはり,なかなか自分の中で問題を深める時間はないだろうな.
それにしても能力抜群の生真面目なスーパーウーマンである.そのストイックさには頭がさがる.
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帯文:”真摯に、果敢に問いを発し続けてきた〈クローズアップ現代〉のキャスターが23年間の挑戦の日々を語る”
目次:第1章 ハルバースタムの警告、第2章 自分へのリベンジ、第3章 クローズアップ現代、第4章 キャスターの役割、第5章 試写という戦場、第6章 前説とトーク、第7章 インタビューの仕事…他
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クローズアップ現代をいつも見ていた訳ではないけど、こんな思いで作られていたんだと感動した。国谷さん、素晴らしい!
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言わずと知れたクローズアップ現代のキャスター。この本を読んで如何に彼女があの毎回切れ味のある質問を生み出しているかがよくわかる。人に質問をするということは、どれだけ相手のことを理解しているかと一般人の目線でいられるか。いまのクローズアップ現代ではこのレベルまでは達することは難しそうだ。
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クローズアップ現代はスタート当初からずっと観ていたので馴染みもある。その裏話のようなそうでもない様なものだった。
でも、ああ実は裏ではこういうことになっていたのかと納得できたこともいくつかあった。
一つのことを長く続けるのは、それを惰性でないことにするなら、非常に大変なことだなと、本質ではないところで感じさせられた。
著者が伝えたかったのは、おそらくもっと違うことなのだろうなとも思いながら。
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番組の印象そのままの本。言葉使いの難しさ、表現の難しさ、決められた枠の中で番組を作ることの難しさ等々、報道の難しさに彼女は立ち向かっていき、最後まで役割を果たした。常に最善を尽くそうとする姿勢はすばらしいし、実際に番組はそうだったと思う。週に1回、年中ずっとではないとはいえ、報道番組の中でも密度の濃いものを作り続けるのは大変。
番組の製作関係者のほとんどが男性で、男性社会だったがゆえに、社会における女性の役割や立場の変化に関して番組で取り上げる機会が少なかった点に気づいたのが降板後だった、というのは残念だがやむなしか。
ただし彼女はあの番組の製作スタッフのうち氷山の一角。海上に見える部分でしかない。水面下の人たちの、特にプロデューサーや編責といった方々はどうなのか。そういう人たちの書いた本があれば読んでみたい。
テレビ局で報道にかかわる人たちは絶対に読むべし。特に局アナ。自分をタレントと勘違いしている女子アナには理解できないかもしれないが。
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国谷裕子さんの努力を感じる本。すごい人だし、能力も高い人だと羨ましくなる。
マスメディアの中ではマイノリティな人になってしまうのかもしれないけど、こういうキャスターはもっと出てほしい。
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すごいなこの人!
小学生くらいの時が親の影響で最もクロ現を見てたけど、この本読んでなんで見てなかったのかと非常に後悔!
NHKで生特集番組を23年間もやってるのは傑出した才能と努力の賜物であることは間違いない!
池上さんみたいな存在になってくのだろうか..
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同等圧力に屈しないこと、暗いつぶやきにヒントがあること、問いを続けること。
筆者ががむしゃらに、それでいて大切に守り続けて来た姿勢はテレビメディアだけじゃなくあらゆるジャーナリズムに通用すると思います。ライターや編集者も一緒。
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硬派な番組で、突然の交代劇もあったクローズアップ現代のキャスターであった著者が今となって語るものは何かという興味で読んだ。著者のキャスターとしての歩みと、キャスターという仕事、そしてクローズアップ現代という番組が23年間の間に何を伝えてきたのかを振り返ることができた。ポストツルースの時代にあえて感情に流されずに抑えて筆致で淡々と語られる主張が小気味よい。言葉の大事さ、聞くことから聴くことへ、そして問い続けることといった、キャスターとして大事なこと、インタビューとして大事なことを、これも取材された方の言葉を引用することで述べられており、私達の仕事にもつながることが書かれており勉強になった。個人的には前説の大切さと、その準備の苦労話などためになった。最後に柳田邦夫氏が「危機的な日本の中で生きる若者たちに八か条」が転載されており、そのまま著者の主張につながるものと思う。1.自分で考える習慣をつける。立ち止まって考える時間を持つ。感情に流されずに論理的に考える力を持つ。2.政治問題、社会問題に関する情報(報道)の根底にある問題を読み解く力をつける。3.他者の心情や考える力を理解するように努める。4.多様な考えがあることを知る。5.適切な表現を身につける。自分の考えを他者に正確に理解してもらう努力。6.小さなことでも自分から行動を起こし、いろいろな人と合うことが自分の内面を耕し、人生を豊かにする最善の道であることを心得、実践する。特にボランティア活動など、他者のためになることを実践する。社会の隠れた底辺の現実が見えてくる。7.現場、現物、現人間(経験者、関係者)こそ自分の思考力を活性化する最高の教科書であることを胸に刻み、自分の足でそれらにアクセスすることを心掛ける。8.失敗や壁にぶつかって失望しても絶望することもなく、自分の考えを大切にして地道に行動を続ける。以上。
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『キャスターという仕事』(国谷裕子)
読むきっかけは「久米宏のラジオなんですけど」にゲスト実演していたのを拝聴してこの本の存在を知りました。
【クローズアップ現代】は21:30〜の頃は食卓で頻繁に見ていた記憶がありましたが、19:30〜に移ってからは、まだ帰宅していることが少なく、通っていたジムのサウナで何度か見ることがある程度でした。
当時、番組を観ていて「意外と小さな社会の問題でも拾い上げ、しっかりした意見を提示する番組だなぁ」というのが印象でした。
この本を読んでその印象が変わったということはありませんでしたが、そういう印象を受けた番組の、キャスターである国谷裕子さんが与えていた知的で隙のなさのようなものの、背景をよく理解できました。
では、簡単に紹介します。
この本は国谷裕子さんが『クローズアップ現代』及びそれ以前の仕事も含めて振り返りながら「キャスターとしての国谷裕子」と「キャスターとしてのあるべき(めざすべき)姿」を綴ったもの(だけれど、メッセージは別のところにあるります。)
そしてその切り口として用意したのは必ずしも時系列に並べられていない。『クローズアップ現代』で経験した印象に残る制作番組を、社会が流動する起点に配してその底に映し出されるものと、テレビ(メディア)のあり様を自分の私見を交えながら紹介しています。
(オマケ)番組制作の現場のイメージも緊張感も伝わってきて、ニュース番組の見方に深みが増すようにしてくれます。
これを読んでいて感じたのは、国谷裕子さんがここで紹介されている挫折や苦悩をすべて彼女が成長のステップしているということ。
失敗、挫折を不運と捉えるのではなく、試練と捉える。
(優れたリーダーたちが共通してもつ心の習慣を育んでいたこと)
それらをもう少し具体的に、その環境も踏まえて観ていきます。
①制作現場のスタッフの情熱に応える。
放送前に行われる二回のVTRリポート試写に二回とも参加して、作り手の意図や熱意を感じとり、自らのなかで視聴者に‘伝える型’のイメージ作りに早い段階から関わる。
これは、リーダーがチームを牽引していくうえで欠かせない情熱の共有の手段。
②「前説」に込める思い。番組冒頭の1分半〜2分半に、現場スタッフから引くついできた情熱を、視聴者のひとりに向かって自分言葉で伝える。(何を、何故、どうやって伝えていくかを表明する重要な時間)
この姿がチームメンバーの心に響く。絆を深め、信頼感の醸成につながる。
③良き支援者を巻き込む
性格やキャラで築いた人脈ではなく、仕事を通じて、信頼で結びついた人脈は硬く強くときに厳しい。だが、彼らは必ず必要な人を必要なときに、支えてくれる。
ここには、書くことはしなかったけれど、メディアに対する考察や、柳田邦男さんとの最後の番組で語られた若者へのメッセージ、
隠れている「地雷」や「事情」をいろいろと考えさせられ、想像させてくれる良い本です。
何より、国谷裕子さんの実直さがよく伝わる文章でした。
今後の国谷裕���さんの活躍を期待します。
2017/05/18