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ハチは、硬軟自在の「クチクラ」という素材をバネにして、一秒間に数百回も羽ばたくことができる。アサリは天敵から攻撃を受けると、通常の筋肉より25倍も強い力を何時間でも出し続けられる「キャッチ筋」を使って殻を閉ざす――。いきものの体のつくりは、かたちも大きさも千差万別。バッタの跳躍、クラゲの毒針、ウシの反芻など、進化の過程で姿を変え、武器を身につけたいきものたちの、巧みな生存戦略に迫る。
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<目次>
はじめに
第1章 サンゴ礁と共生の世界~刺胞動物門
第2章 昆虫大成功の秘密~節足動物門
第3章 貝はなぜ螺旋なのか~軟体動物門
第4章 ヒトデはなぜ星形か~棘皮動物門Ⅰ
第5章 ナマコ天国~棘皮動物門Ⅱ
第6章 ホヤと群体生活~脊索動物門
第7章 四肢動物と陸上の生活~脊椎動物亜門
おわりに
<内容>
生物はなぜそんな形をしているのか?そこに視点を置いた記述による生物の本。よくわかる。基本は食べるためと外敵から身を守るため。各生物がそこに特化して、生き残るためにデザイン化されてきたのだ。「神が作った」と言っていいような素晴らしさ。そして、そこに関わるメカニズム(まさにメカニズム)は、我々がさらに科学技術を深化させるために必要な気がする。虫の翅の動かし方、虫のカラダ(キチン質のすばらしさと脱皮のつらさ)、ヒトデの五角形の秘密などなど。
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「ゾウの時間、ネズミの時間」を呼んだ次にすぐ読みたい。著者が長年研究してきた無脊椎動物について存分に堪能してほしい。
あの小さい身体に、人間にはない機構がたくさんあると思うとステキだろう?
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歌う生物学者本川先生の最新刊。いやはや面白い話題が多すぎて、何が面白かったのかすっかり忘れてしまった。そういう点では歌にして覚えていると強い。で、巻末には楽譜もついているのだけれど、あいにく楽器はギターを触る程度。パートナーが暇なときにピアノを弾いていただくとするか。昆虫のからだの表面クチクラ。英語ではキューティクル。一昔前、シャンプーのコマーシャルでよく聞いたけれど、最近はどうなったのかなあ。これでからだを保護し、保湿の役割を果たす。すぐれものだ。さらに、ハエ・カ・ハチなどは1秒間に100回から1000回も羽を動かすというからその筋肉の仕組みがすごいのだ。そして、貝がじっと閉じているのにも筋肉を使う。それもすごい仕組みなのだ。ヒトデはどうしてあんな形なのか。ホヤの群体の肛門の位置、などなど。面白い話題満載。海中から陸上に出てきた動物。海の中にいて口を開けていれば自然とエサが入って来る、水も十分にある。陸に上がると、まず重力に耐えなければならない。乾燥にも耐える必要がある。エサは積極的にとりに行かなければ得られない。繁殖も大変。どうしてまた陸に上がってきたのだろうか。は虫類とほ乳類の肢のつき方の違い。なるほど。腹が地面についてはまずいのだ。ヒトの歩き方。武士のナンバ歩きと、コケながら歩く方法。どこからでも楽しめます。すごい話題がいっぱいでした。
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期待していたほどは面白くなかったかな。「へぇ~」っていう内容に終始している割に話が長いというのが当方の個人的見解。
思い立ったらどのページでも良いからパラパラと10ページ程度読んで一休み、っていう読み方が正解かもしれません。
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2017/4/15 ジュンク堂書店三宮駅前店にて購入。
2018/7/2〜7/9
歌う生物学者として有名な本川先生の本。なんと今回は楽譜まで付いている!
内容は刺胞動物門、節足動物門、軟体動物門、棘皮動物門、脊索動物門の5つの門を取り上げ、進化と動物の形に注目している。いやいや、面白いなぁ。高校生くらいのときにこういうの読んでいたら、自分の進路も変わっていたかも。
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生物(どちらかというとマイナーな種類)の仕組みの巧妙さを解き明かした本。
昆虫は軽くて硬いクチクラの発生が肝で、これで飛べるようになったし、水分を保持できるようになった。また変態は幼生時はふんだんにある葉を長期間にわたり食すことであまり動かず大きくなり、より効率的な蜜や花粉は、その短いピークに合わせて成虫となって翅を持って飛び回り摂取し、交尾を行い次の世代を生む。翅もその起源は不明だが、トンボのような筋肉を使って飛ぶものと蜂のようなクチクラの外骨格を振動させて細かく翅を動かすものがあり、後者は筋肉は振動に比べはるかに動かす回数が少ない省エネである。また虫は小さいので揚力が少なくその分羽ばたかなければならないのでこういう進化を遂げる必要があった。翅も含め小さければ風の影響は少ないし、的にも見つかりにくい。
人手が五角形なのは、食物が流れてくるのを待つには奇数の職種が効率的であるということらしい。花びらも虫をあらゆる方向からおびき寄せるには5角形が効率的ではないかという仮説。
貝が対数螺旋の形をしているのは、脱皮をしないで大きくなるにはどこを切っても相似形になる対数螺旋が効率的である。
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生物学ってこんなに面白かったんですね。実際地道な研究だらけなんでしょうけど、楽しそうだなと思いました。
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さまざまな動物の世界を紹介するという本書。じゃあ、どんな動物が紹介されるのかというと、軟体動物とか棘皮動物などの海にいるグニャグニャした感じのものが多い。著者の専門領域がそっちの方だからのようで、あまり馴染みはないが、キャッチ結合組織という筋肉ではないが筋肉よりも効率的に強い力を発揮する組織の仕組みや役割など、興味深いものはある。ただ、いかに工夫された説明であっても、形状などでイメージが掴めないものや、細部にこだわらず流して読みたい部分もあった。
身近なもので興味深かったのは、昆虫の脱皮。特に、気門という呼吸器官の絶妙な仕組みと、それゆえに、脱皮のときに失敗するリスクということは初めて知った。今度、セミの抜け殻の内部をじっくり観察してみたい。
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『ゾウの時間、ネズミの時間』はおもしろかった。あれから25年経っていると。今回は、ウニも、バッタも、ホヤも、ヒトデもいろいろと登場する。なるほどなあと思うことが多く、生き物を見る目がちょっと変わるかも。
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what a revolutionary world! every creature fantastic! bugs fail in taking of their shell and dies.
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空を飛ぶ動物といえば鳥と昆虫。
鳥は骨が体内にあり、骨が支えている筋肉を動かすことで羽ばたく。からだを飛ばすためにはたくさんの酸素が必要なので、肺呼吸で取り入れた酸素を血液にのせてからだの隅々まで行き渡らせる。一方、昆虫の体内には骨がない。かわりにキチン質の硬い皮で体を覆い、素早く羽ばたくのに筋肉とクチクラを組み合わせたバネ振り子を使う。昆虫も飛ぶために酸素を必要とするが、肺をもたない。では、どのようにして酸素をからだにとりこんでいるのだろうか――。
同じ飛ぶ動物でも体のつくりがまるで違う。
本書は、刺胞動物、節足動物、軟体動物、棘皮動物、脊索動物の五つのグループを取り上げ、それぞれに異なる体のつくりを持ち、それぞれに繁栄しているその多彩な世界を紹介する。
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多様な生物(群)の身体の構造・仕組みに注目した記述。生物学の基礎に、化学、物理学があることがよく分かる。
専門用語が多いのと対象がマニアックすぎるのが玉に瑕だが、昆虫や群体、人間・哺乳類についての解説は面白かった。
生物の仕組みに学び、現実に応用ができるならば、この分野(バイオミメティクス)はとてもエキサイティングだ。かつて上野の科学博物館で、昆虫の知恵を応用するみたいな企画あったなー。
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昨年あたりからのストレス解消は、およそ仕事にも生活にも関係ない、どうでもいい知識を仕入れて悦に入ること。誰かに話すこともせず、「なるほど、すごいな」と思うだけで満足しています。
という意味では、この本は最高の時間を与えてくれました。著者は歌う動物生理学者の本川達雄さん。「ゾウの時間 ネズミの時間」の中で「ゾウさんもネコもネズミも心臓はドッキンドッキンドッキンと20億回打って止まる」と忘れられない歌を作詞作曲しています。
現在、知られている動物の種の数はおよそ130万、その95%が背骨を持たない無脊椎動物。本書はサンゴ礁、昆虫、貝、ヒトデ、ナマコ、ホヤなどを取り上げ、なぜ今のようなデザイン、機能を得るようになったのかを説明します。
面白いと思ったのは、昆虫は筋肉とクチクラという素材をバネに、羽という錘をつけてバネ振り子を構成。最初にちょっとだけ筋肉を収縮させてやれば、あとは自動的に羽の上下振動を繰り返すという話。貝殻の対数ラセンの話。体中に不味く感じさせる物資を持ったウミウシの話。ヒトデが星型(五放射相称)となった誰もが納得できる理由などなど。
圧巻は、ナマコの話。
ナマコの皮はキャッチ結合という組織により少ないエネルギーで長時間硬くすることが出来ます。「毒を備えており、捕食者の心配はほとんどない」。「動くといっても、砂を食べる場所を少々移動するくらい。そのための筋肉はごくわずかでかまわない。おかげで筋肉が少なくなり、体の大部分は身を守る皮ばかり。そんなもの、食べても栄養にならないから」「ますますナマコは安全になる」。そして著者は、そのような環境を「ナマコ天国」と名付けます。
最近、ジャカルタの都心に水族館が出来ました。タッチコーナーなるものがあり、サメの赤ちゃん、ウミウシ、ヒトデ、小型の熱帯魚に触れることができます。ナマコがいたので手で包んでみました。なるほど、幸せそうでした(笑)。
本書は再読に値する本と思います。著者の作詞作曲した楽譜も十分楽しめます。動物生理の学術書ですが、読書が娯楽であることを認識させてくれる新書らしい新書です。お勧めの★★★★。
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その昔読んだ「ゾウの時間 ネズミの時間」の著者が出した本がまた話題だっていうので読んでみた。
我々哺乳類が一番だと思っていたけれど、いきものみんなそれぞれの環境で生きていくように形も大きさも違うんだなぁと改めて認識。
五角形っていうか五芒星の形の最強性にも驚いた。