紙の本
副読本として優秀
2019/04/03 18:43
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投稿者:るう - この投稿者のレビュー一覧を見る
「アリス」の背景を知るためのガイドブックとしてとても面白く読めた。図版も多くてわかりやすい内容は好感が持てる。
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ルイス・キャロル『不思議の国のアリス』(1865)を繙いて
その時代=ヴィクトリア朝(1837-1901)の英国の文物を
概観しようという、図版満載の文化史の本。
輸送機関の発達で人や物の移動がスピーディになり、
工業化によって様々な品物が巷に溢れ始め、
大きく変化した社会の只中に身を置いていた人々は、
兎の穴に落ちたアリスのように「めくるめく」体験をしていたはずで、
そんな情景・気分が伝わってくる、コンパクトだが中身の濃い一冊。
ガラスの量産が可能になったことで、この時代に
ウィンドウショッピングという愉しみが誕生した……等々、
なかなかに目から鱗。
「A Mad Tea-Party」という章題と本文の、
訳者による日本語文の違いを比較するページも興味深い。
ちなみに、脇明子先生の訳は「めちゃくちゃお茶会」、
亜紀書房版で「気がふれ茶った会」と翻訳された高山宏先生は
「テーブル・コーディネイター」(『アレハンドリア』p.113)
においては「くるくるぱあティー」とお書きになっていた。
「キ」で始まる Japanese four-letter word 回避作戦の凄さ(笑)!
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オールカラーで読みやすい本。
不思議の国のアリスを読んだことがなくても大丈夫。
イギリス、ヴィクトリア時代のことがよくわかる。
思わず、へぇへぇへぇを連発。
アリスって、こんなに時代を取り入れてたんだっと、
ちょっとびっくり。
創作なんだけど、物語から時代も読み取ることができちゃうんだって、ルイス・キャロルすごいっみたいな。
最後の日本語訳を比較してみようのコーナーは、おもしろかった、お茶会のシーンなんだけど、こんなに雰囲気が違っておもしろいとは。
こういう本を読むと、本編も読んでみたくなる、きっと頭に浮かぶ情景は、今ならヴィクトリア時代?(笑
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「不思議の国のアリス」が書かれたヴィクトリア時代。
産業革命の産物と人々の生活の変化は、物語の中にも深い影響を
与えていた。それらを紹介しながら“アリス”の世界を探る。
・ヴィクトリア時代の基礎知識
・ルイス・キャロルとテニエルについて
第1部 移動の文化
第1章 広がる空間
第2章 アリスで発見!?ヴィクトリア時代の文化ー移動編
第2部 視覚の文化
第1章 見せる空間/魅せる空間
第2章 アリスで発見!?ヴィクトリア時代の文化ー視覚編
第3部 競争の文化
第1章 生き物たちの集まる空間
第2章 アリスで発見!?ヴィクトリア時代の文化ー競争編
・キャロルにまつわるエトセトラ・・・
日本語訳の比較、ヴィクトリア時代の年表、キャロルの作品等。
豊富なカラー画像。コラム、引用・参考文献有り。
ヴィクトリア時代の生活や文化の変化は“アリス”の世界に
どのような影響を与えていたか、という視点で語られています。
産業革命の産物である鉄道や時計は、移動と空間、時間の観念に
変化を与え、ガラスは通してモノを見る視覚文化を産み、
進化論は生存のための生物の進化が競争の文化に繋がるという。
また、この時代に現れた地下鉄、温室、ダンディー、万国博覧会、
動物園、偽装食品、様々な生き物と自然回帰、階級制度の変化、
スポーツ等が、“アリス”の文やテニエルの挿絵に盛り込まれて、
物語を彩っているかがわかります。コラムも重要!
読み易くてカラーの画像が多く、“アリス”の世界と
ヴィクトリア時代の双方を楽しく学べ、多くの発見がある一冊です。