紙の本
ユゴーの小説は蘊蓄が肝
2023/06/01 13:20
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投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
ヴィクトール・ユゴーという人は1802年に生まれ、1985年に亡くなった人、ということはフランス革命、ナポレオンの即位の少し後に生まれ、「レ・ミゼラブル」発表時はナポレオン3世の治世だったということ。この時期の蘊蓄は小説にも「脱線」しながら何回も登場する、初めのうちは「この蘊蓄じゃまだなあ」と思っていたのだが、著者の言うとおり、最後にはこの蘊蓄あってこその小説なのだとわかってくる
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著名であり難解でもある「レ・ミゼラブル」の解説本。
当時の文壇の状況、変容は難解さの一因。
社会情勢は登場人物の形成に関わり、そして政治の変遷期、
宗教・・・大いなる歴史の流れがユーゴー自身を巻き込み、
壮大な作品が成立する。
ナポレオン(ユーゴーの父の代)~王政復古~ナポレオン三世の登場と
没落までを体現したユーゴーの変容。
死刑制度反対の考え。
“無限”と“進歩”というユーゴーの思想。
巻末の作品とユーゴーの生涯を対比した年表。
読了したら「レ・ミゼラブル」の読み方が変わる・・・かも!
「レ・ミゼラブル」が1962年までのヴァチカンの<教会>禁書リストに
入っていたことを初めて知りました。
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宗教的視点、政治的視点、ヒューマンドラマ的視点などいろいろな面からレ・ミゼラブルを楽しむ面白さが分かる。ユゴーの政治的活動にも触れ、作品背景なども理解できるので、さらにレミゼラブルを違った目線で読むことができておもしろかった
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「レミゼラブル の世界 」 ちくま文庫版の翻訳者による解説本。レミゼラブルの意図不明部分(パリの歴史的考察、下水道や隠語の説明など) が理解できる。レミゼラブルには 政治小説の深みがある。
哲学的な部分=ユゴーの言葉
*哲学論、宗教論、修道院制度
*パリの浮浪児、下水道、下層階級の隠語
*ワーテルローの戦い、フランス革命、ルイフィリップの七月王政、六月暴動の歴史的考察
マリユス=若い頃のユゴー
*父ポンメルシー大佐(ナポレオン君主制)と 祖父ジルノルマン(王党主義)
*マリユスは 共和派(ABC)の会合で ナポレオン賛美
レミゼラブルの語り手=共和主義者
*ユゴー は ナポレオン(君主制)賛美→ナポレオン訣別へ
*ワーテルローはナポレオンの敵目線で小説を書いた
*共和主義=自由と良心の象徴
*死刑廃止
ジャンバルジャンとは
*「貧困が犯罪を生み 刑務所が犯罪者を作り出す」象徴
*本能的な悪事→良心の目覚め→宗教的回心
*良心の正念場=シャンマチュー事件
*孤独なジャンバルジャンと 孤児コゼットの出会い→美徳の道を歩み続けることができた=父としての幸福
ユゴー
*貧困問題を考えるには、貧困の言語である隠語が必要
*隠語=暗い美
*レミゼラブルは 社会主義の原則と理想〜進歩という理想
*無限=神、神の属性、人間の魂
*祈りには敬意→修道院制度は時代錯誤
ジャンバルジャンが死の直前に見ていたのが ミリエルの銀の燭台と コゼットの喪服
*ミリエルの慈愛→ジャンバルジャン→コゼットへ
*愛の対象の喪失→生命の源が燃え尽きた
テナルディエが奴隷商人になる=ユゴー の先祖も奴隷商人
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レミゼラブルのことで盛り上がった会社のおじさまに貸して頂いた本。
ヴィクトルユゴーの政治活動を恥ずかしながら全く知らなかったので大変参考になった。
レミゼラブルをもう一度読みたい。
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レミゼに関してはミュージカルと映画の内容を知っているだけで、原作の知識は全くなかったから予想以上に削られた状態で自分の元に届いてるんだなと思った。
ユゴーについても、政治活動を行っていたことや様々な思想を知ることが出来て良かった。
時間に余裕があるときに原作もチェックしたいと思う。
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『レ・ミゼラブル』はなぜ書かれたか、また、なぜ書けたかを論証する試み。その精神性にせまる試み。ありそうで無かった本。
ユゴーの葬儀は国葬で200万人が参列した。
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ちくま文庫版「レ・ミゼラブル(新訳)」(全5巻)を翻訳した著者が世界的な名作を縦横無尽に語るめちゃくちゃ面白い解説本。
本書の構成は、通読した読者は少ないといわれる「レ・ミゼラブル」の構成とあらすじ、2人のナポレオン(1世ボナパルトと3世ルイ)とユゴーの関係、ジャン・バルジャンの人物分析を詳述。最終章では、通読の挫折ポイントである「哲学的部分」が解説されます。
特に面白いと思ったのは
-「レ・ミゼラブル」にはナポレオン1世の名前が111箇所登場する。一方、3世の名前は1度も登場しない。これはユゴーに対する3世の裏切り、ユゴーの亡命に関係する。そして、ユゴーの内面で1世と3世に関する「贖罪」が終わったとき、ユゴーは「レ・ミゼラブル」の再執筆を開始する
-ユゴーはジャン・バルジャンを「素朴でだれしもが尊敬できる『19世紀に可能な唯一のキリスト』として描きたかったのかもしれない。であれば、彼の超人的な描写(馬車を持ち上げてしまうような)が挿入されていても不思議はない
-「レ・ミゼラブル」は貧困を大きなテーマとしている。ユゴーの文学的な先見性は「資本主義社に必然的に伴う貧困という現象の端緒に見られた極端な特徴を鋭敏に感じとり、作品化したところ」
-「レ・ミゼラブル」のクライマックスは世間によく知られている1848年「6月暴動」などの反乱ではなく、あまり知られていない32年「6月蜂起」。これは「蜂起」のほうが、フランス革命の理念を引き継ぎ、高めるものとして理想化し、自らの思想を述べるのに好都合だったため
私は本書を「レ・ミゼラブル」を通読した後に読みました。先に読むか、後に読むかはもちろん自由ですが、個人的には「後に」読まれることをお勧めします。