投稿元:
レビューを見る
最悪なのは死ぬこと。
なにもかもが
そこで終わる。
だが
最悪を乗り越えれば
むしろ最強。
どこへでも
進んでいける。
投稿元:
レビューを見る
切なく苦しく、でもとても暖かい物語でした。死んだ夫の幽霊と暮らすうる波(うるは)を、普通の人たちは怪訝に思ったり憐れんだりする。この物語に登場する人たちは、少なからず常識から外れた価値観や環境に生きている。人はどうしてもマイノリティを排除したり更生させようと躍起になる。平凡な自分の尊厳を守りたいのか、安定したコミュニティを守りたいのか。個性や独立心を維持するにはまだまだ未熟な国なのだと思います。うる波たちのように誰にも迷惑をかけず秘密を持っている人々が、生きやすい世界になりますように。
投稿元:
レビューを見る
幽霊になったご主人と普通の生活を送り続ける主人公をはじめ、人工知能を持つロボットを一番の親友とする男の子や、超草食系男子などそれぞれの価値観を持つ人たち。周りからは奇異に見られても、自分が自分であるためには信念を貫く。ラストの選択は嬉しかったけど悲しい。
投稿元:
レビューを見る
愛していいんだ、心に正解はないから。
夫の幽霊と暮らすうる波を取り巻く、秘密を抱えた彼ら。
世界が決めた「正しさ」から置き去りにされた人々へ、救済の物語。
うる波は、事故死した夫「鹿野くん」の幽霊と一緒に暮らしている。彼の存在は秘密にしていたが、大学の後輩で恋人どうしの佐々と千花に知られてしまう。うる波が事実を打ち明けて程なく佐々は不審な死を遂げる。遺された千花が秘匿するある事情とは? 機械の親友を持つ少年、小さな子どもを一途に愛する青年など、密やかな愛情がこぼれ落ちる瞬間をとらえた四編の救済の物語。
投稿元:
レビューを見る
おそらくBL小説での方が著名な方だと思うのですが、一般向けでもとても胸を抉られる作品を書かれるな・・・。
悲しいとか切ないとかの言葉では一言で片付けられない・・・救いはなくて幸せな終わりと言われるとウウウン・・・と思ってしまう、でも優しいお話。
投稿元:
レビューを見る
好きなものを好きでいていいんだよ、と優しく教えてくれる。
読みやすい文章で、心にすっと入ってきた。
世界のフツウから自分ははみ出しているのではないかと感じた時、この物語が背中を押してくれる。
でもそう生きていくにはやっぱり覚悟が必要で。
投稿元:
レビューを見る
鹿野くんとうる波のコンビが最高
描写の一つ一つが丁寧で、とても入り込みやすかった
「アイシングシュガー」
背筋がぞっとした。けれど、このお話でまずうる波の「強さ」「芯」が見えたから、次の話も怖がらないで読めた。
「マタ会オウネ」
んんん、一番好き。秋くんとの対話がすごくいい。そして、せつない。
「植物性ロミオ」
いま改めてタイトル見ると、なんだか笑えてくる。
前後の話の間に挟んでくるこのちょっとした薄暗さが絶妙。
「彼女の謝肉祭」
安曇くんの話を聞く鹿野くんと、その二人のやり取りを聞いているうる波の切なくて苦しくてもどかしいやつ。
~~~好き!好き……!!
「プロローグ」「エピローグ」
大事なことなのでもう一度言いますが、うる波が絶望を感じた時の描写が最高なんです……。
そして設定がとにかく好き……。
このみがぎゅぎゅっとつまった一冊でした。
投稿元:
レビューを見る
死んだ夫の幽霊と暮らす人と身の回りの方々のお話4遍
共通するテーマは、「人を愛するとは?」かな?
神様に選択を委ねたはずの人
ロボットが親友ではいけないのか?
未成熟なものしか愛せず、性的なものを拒否する人
幼少期のすれ違いからこんがらがった二人
あと、兄妹愛(男女という意味で)とかも
タイトルの神様のビオトープって結局はこの世界そのものを指しているだけであって
要は一般的ではない求愛行動の多様性についての問いかけなのかな?
異常に見えるかもしれないけど、本当に異常ですか?とね
まぁ、男女間のあれやこれやは勝手にやってくれればいいんだけど
ロボットが友達はどうだろ?
今やチューリングテストをクリアするAIもあることだし、Appleのsiriにしてもちゃんとした返答をするようになってきたし、チャットだけなら人間と区別のつかないAIがあってもおかしくない
そのAIが物理的な体を手に入れたとして、その行動原理に合理性・不合理性がどこまで求められるか?
プログラミングしていない行動は異常なのか?
シンギュラリティはいつかくるんだから、自己発展するAIだったらありえるだろうね
人の持つ不合理性や非効率性も含めたものってそのうちできるよ
なので、個人的にはアリだと思うけどね
あと、いわゆるロリコン問題
個人的な基準で言えば
思想信条の自由があるんだから、自分で勝手に思っている時点では明らかにセーフ
それが社会に発露された場合、第一の基準は実在する被害者がいるかどうか
ここでいう被害者は保護者を含めるので、今回のはアウトだと個人的には思う
更にいうと、将来的に別れることが容易に想像がつく状況というのもいけないなぁ
だったら最後まで添い遂げるつもりならOKかというと、そのへんがボーダーラインじゃないかと思う
男女の恋愛なんていつ誰が別れるかなんてわからないわけだけど
そしてこの手の設定にいままで何度かやられてきた経験から、初っ端から鹿野くんの存在を疑ってた
でも、佐々くんのそばアレルギーをうる波さんは知らなかったわけで、それを指摘した鹿野くんは本物という事になるなぁと思いつつ読んでた
結局、本物って事でよかったのか?
投稿元:
レビューを見る
最初の短編と最後の短編が良く、泣けました
人それぞれ、メジャーな概念には馴染まない部分をもっている…たくさんの人には分かってもらえない
そんな幸せを見つけるのは簡単ではないし
性格にもよるけれど、周囲の無理解に関わらずその幸せを日々味わい、価値を感じ続けるのも、簡単でないことも多い…
薄氷を踏むように注意深く、剃刀の上を歩くように繊細に…でも、二人の愛と、彼らを取り巻く傷つきやすい優しい人たちへの愛があるから、たったひとりぼっちではなくて…
今の自分自身を投影するような、そんな幸せを守れなかった過去を後悔するような、そんな気持ちで読了しました。
投稿元:
レビューを見る
自分が生きやすいように、自分が幸せなように生きれば良い。考え方が異なる人から横やりが入ることはあっても。
静かで少し狂気を含んだやさしい空気に満ちた物語。
紀伊国屋書店梅田本店に長い文章が掲示されていて、ぜひ読んでほしいと置いてあったのがこの本。書店独自の帯付き。
投稿元:
レビューを見る
純文学ってわけでもないと思うけど、カテゴライズが難しい作品。
登場人物はみんな、いたって「普通」で「常識的」な感覚の持ち主たち。
だけど普通、常識といっても幅はとても広くて、あっちの端の普通の人とこっちの端の普通の人は、多分お互いを「変な人」と思うだろう。ということを丁寧で優しい語り口で描いていく。
そういう意味で、最初のカップルの話は少しエキセントリックな話だったなと思う。ヒロインのうる波と鹿野くんの関係を浮かび上がらせたかったのだろうけど、この作者なら他の穏やかなやり方でできた気がする。
そして春くんと秋くんの話は小説ならでは、の表現で、やられた、と思える。
うる波は、死んでしまった旦那さんの鹿野くんと暮らしていること以外は実に「普通」。「普通」を「普通」と思うのと同時に「普通」から外れた(と見なされている)人たちの存在をも普通に受け入れ他の「普通」の人たちと同じように扱い感じるという点が、淡々と生きている彼女をヒロインたらしめている。
説教くさくもなく、断じてしまうのでもなく、全ての人をフラットに見て、彼女の感性で判断して語る。読んでいて心地よい感覚であった。
投稿元:
レビューを見る
表紙の絵がほのぼのとしていますが、軽くはない本です。
何が正しくて、どこからが間違っているのか、普通というか常識というか一般的な基準というものがいかに間違っているかを思い知らされた本でした。
登場人物は皆、否定的な見方をしていなくて、評価は読者に任されているところも良いですね。
これからうる波さんと狩野くんはどうなるのか、色々想像してしまいました。
おすすめの一冊です。
投稿元:
レビューを見る
内容(「BOOK」データベースより)
うる波は、事故死した夫「鹿野くん」の幽霊と一緒に暮らしている。彼の存在は秘密にしていたが、大学の後輩で恋人どうしの佐々と千花に知られてしまう。うる波が事実を打ち明けて程なく佐々は不審な死を遂げる。遺された千花が秘匿するある事情とは?機械の親友を持つ少年、小さな子どもを一途に愛する青年など、密やかな愛情がこぼれ落ちる瞬間をとらえた四編の救済の物語。
投稿元:
レビューを見る
事故死した夫「鹿野くん」の幽霊と一緒に暮らしているうる波。密やかな愛情がこぼれ落ちる瞬間をとらえた四編の救済の物語。
とのことだが、ほんわかした文章の中に潜む小さな「毒」が読後も心に刺さった棘のよう。特に千花ちゃん。
未来に続くような別のラストの方が良かった気もする。
投稿元:
レビューを見る
不思議な小説。
ビオトープ…ネットで調べてみると生物生息空間という意味らしい。
うる波と死んでしまった鹿野くんを初め、さまざまな二人の関係。それは、その人が生きていくために必要だと神様が判断した二人の空間なのかもしれない。
秘密のない人なんていない。その一言にはっとさせられる。