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連作短編4編ではあるが,全編に死んでしまった夫の幽霊鹿野くんと暮らすうる波の思いが溢れ出ている.それぞれにいろいろな愛の形が描かれ,どの愛も一見不幸な形で現れていて,包み込まれ隠されているものは重いものだ.その答えの出ないようなひそやかな愛というものを静かに見守ってゆきたいといううる波の気持ちは暖かい.
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初めて読む作家さんだったけど面白すぎた。
本屋大量を受賞したということで、やはりなと思いました。
死んだ夫と一緒に暮らす妻
表紙はほのぼのとしているし、心あったまる系かなと思ったら全然違った。
じわじわと首を締められていく感覚。
ファンタジーとかで終わらせてはいけない、すごい愛の形を見た。
強烈な話たち。もう大好き、これを読んでしまったから次に読んだ未亡人ものは一切入り込めなかった。
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結婚して、2年で夫の鹿野くんを交通事故で亡くした、高校の美術の非常勤教師のうる波と、うる波にだけ見える幽霊になった画家の鹿野くんの周りで起こる事件を描いた4つの連作短編集。
幽霊って…あんまりメルヘンっぽい話は苦手と思ったらメルヘンではありませんでした。
4つとも読ませるストーリーで面白かったです。
「アイシングシュガー」は大学の後輩の恋人同士の佐々と千花の話で、佐々が不審死を遂げます。書き方が違えば、サスペンスにもなった話。
「マタ会オウネ」は友だち同士の人間とロボットの春くんと秋くんのお話。春くんと秋くんは本当の友だちとは何か、どうして自分たちが友だちだと認めてもらえないのか、ロボットと人間の違いはどこにあるのかを考えています。
「植物性 ロミオ」は大学2年生の金沢くんと、小学4年生の秋穂ちゃんのお話。金沢くんがうる波の絵画教室に通ってくるのは両思いの秋穂ちゃんと親に隠れて会うためだと発覚します。
「彼女の謝肉祭」はうる波が勤める高校の三年生の立花さんと安曇くんの二人のキャラクターが後半、爆発!炸裂!という感じで、爆笑しました。でも、鹿野くんじゃないけど、二人の将来は気になりました。
エピローグの西島さん夫妻の話もよかったです。
4篇とも、会話が生き生きとして、その世界に入り込みやすく、鹿野くんの幽霊も自然で、短編とは思えないくらい、どの話も満足感がありました。
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ある日、突撃、うる波の旦那さんの鹿野君が事故死してしまう。放心状態のうる波の前に鹿野君の幽霊が現れ、不思議な生活が始まる。思いがあまりにストレートな千花、ロボットを親友にもつ男の子、少女に恋する青年、秘密のない人なんているのか、という西野さんの言葉がささる。流浪の月の原点もあちこちにあるような小説。
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世界観が素敵な小説だった。
他人や社会からは理解されない思考や道徳観も否定することな描かれていて、それでも変に肯定もしていなくて、学ぶことが多かった。
理解するより認めること。自分にも他人にも。
うるはさんの人柄が好きでした。
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書店で見つけた可愛らしい表紙にひかれて手に取った。凪良ゆうさん初対面の本。
たとえ世界から切り離されようと。
わたしは、鹿野くんがいれば、それでいい。
ふわふわうる波ちゃんのかたい決意。
ゆうれいさんと暮らしてるっていわれても驚かなくなったと思う、きっと。
ずっと誰かを思い続けてもいいんじゃないか。
そういうのに気付かされた。
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「わたしがなにに幸せを感じるかは、わたし自身ですら決められない。
もともと幸福にも不幸にも、決まった形などないのだから。」
みんな人には知られない、理解されない秘密を抱えて暮らしてる。
幸せとは何か?
これが幸せだと決まった定義があるわけではなく、本当に人それぞれ。
だからこれが幸せなのだと何度も何度も決意を重ねる。
目の前の現実は自分が創り出している。
それは他人が評価するわけではなく、誰がなんと言おうと、自分が幸せを感じるならそれでいい。
人に理解してもらう必要なんてまったくない。
そもそも人の一生も幻なのかもしれないのだから。
どうせ幻なら幸せな方がいい。まったくいい。
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事故で亡くした夫の鹿野くんの幽霊と一緒に暮らす主人公のうる波。彼女の周りで起こる様々な秘密と愛情の物語。誰もが皆秘密を持っていて、愛しかたも色んな形がある。本屋大賞を受賞した「流浪の月」の元になったようなお話も入っています(^_^)
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「世間」と「自身」の間に生じる不一致。
些細なものなら、うまく誤魔化すこともできるだろう。人からちょっぴり笑いの種にされて、おしまいになることもある。
だけど、そうはいかない不一致もある。うる波を含む本作の登場人物たちが抱えているのは、そういう不一致だ。
世間から見れば到底許されることではないけれど、自分自身は望んでしまう。望めば世間から孤立するけれど、望まなければ自分にとって最も大切なものを失うことになる。
人にはそれぞれ自分にしか理解できない事情があり、思いがある。他人はそれに対して良し悪しを決め、審判を下す権利を持たない。そんなことをしても、どうにもならない。
ただ、「その人」が「そうある」ということ。それを認めるだけでいい。議論も手出しも必要ない。そっとしておいてほしいと思う。
だが、やはり生きていると、どれだけ願っていても気をつけていても、他人の悪意にさらされたり、思いがけず流れ弾を喰らってしまったりすることがあるのだ。
苦しみながら、自分自身にとっての大切なものを必死に守ろうとした経験。うる波たちと形は違えど、私にも覚えはあった。
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人には人の生き方がある。
それを否定することはできないなぁと思った。
ただ夢の中で生きることは、私はできない。
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「流浪の月」で2020年本屋大賞受賞の凪良ゆうさんの旧作。事故死した夫の「鹿野くん」の幽霊と暮らす未亡人「うるは波」がさまざまな境遇の人々と出会い寄り添う救済の物語、連作短編で6作の短編を収録。「神さまのビオトープ」というのは絶妙のタイトルで、世の中にある幸せや愛のカタチはさまざまであり、他人からとやかくいわれても我が道を突き通せばいいんだよ…というメッセージを感じれた。個人的にはロボットの親友を持つ少年のSFチックな物語「マタ会オウネ」が好きだ。
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こうあったほうが幸せとか、こうならなきゃついていけないぞ、とか、そういう僕らを息苦しくさせるものたちから
ちょこっと楽にしてくれる作品。
多分本作で一番狂っているのはうる波なのだろうけれど、
それでもいいと思う。
本人が幸せであれば。
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いつもの如くタイトルと表紙のイラストに惹かれて購入。ほわほわした話かな、と思ったけれどやはり違いました。
その人にとっての幸せ、心の自由、というありふれたテーマですが、フィクションとはわかっていても何かがあまりにもリアルで、読み終えた後悩んでしまいました。
特に幼女を愛する金沢くんの話は難しかったです。
春くん秋くんの話は泣いてしまいそうでした。
また、うる波ちゃんがいつも美味しそうなごはんやお菓子を作っているのが今ここにきちんと生きている、という感じがして良かったです。
また読み返したいです。
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未亡人、美術教師、自由に生きること
亡くなった夫と暮らす女性のまわりに起こる、ちょっとした出来事でつなぐ連作短編集。
彼とまったり暮らす古民家が良い雰囲気だが、なんとなく既視感のあるお話だった。
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自分の気持ちを信じる。
案外、できそうで、できないことなのかもしれないな。世の中のそうであろうという価値観が、知らず知らずのうちに私の中にも染み付いている。
そこを越える。いや、一般的でなくたって自分の価値観を自分で認めて信じる。
この本を読み終えたら 自分を信じたくなった。