電子書籍
短編集
2017/05/24 23:11
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Sota - この投稿者のレビュー一覧を見る
主人公とその夫の性格に共感を覚えなかったせいか、正直、あまり楽しめませんでした。
どれも、余韻を残した終わり方なので、ラストは、あんな感じで良いとは思いますが、読後感は悪いです。
逆に、千花ちゃんや、金沢くんの方が、はっきりしてて、好感が持てました。
紙の本
不思議な感覚で、予想外に引き込まれました
2022/03/15 16:30
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みえ - この投稿者のレビュー一覧を見る
まずは、「死んだ夫の幽霊と暮らす事」を受け入れるのが大前提で、そうしないとどうにも話は進まないのですが…
クセのある人達ばかりが登場します。
彼氏の命を奪う女の子のお話と、ロリコンを正当化する大学生のお話は、空恐ろしいです。だけど、何故か何か引き込まれて、メルヘンぽく感じる部分も多々あります。
不思議な魅力を感じました。
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何を信じて、何を愛して生きるのか。心の世界は自由であるべきで、誰にも疎外されてはいけない。「こぼれ落ちていくもの」を見つめるまなざしはひどく優しい。
亡くなった夫の幽霊と共に暮らすうる波と、彼女の前を通り過ぎていく人たちは皆不器用な愛とともに生きている。理解や共感を得られるものではなくとも、彼らはその愛を信じ、生かされている。
安曇くんと希ちゃんの関係が一番まだ希望があるのかなぁ。不器用なふたりには上手くいってほしいです。
静かな箱庭のような家で暮らすうる葉と鹿野くんのとても静かであらかじめ「終わっている」生活、どこにもいけず閉じ込められた愛。それでもうる葉はそれを選び、鹿野くんはそこに寄り添う。
「実を結ぶことがない」ふたりが、叶わないふたりの子供について空想を巡らせる場面がひどく切ない。
神さまのきまぐれに守られた膜の中で、やわらかな日々は続く。
愛と呼ばれるものはひどく身勝手でもろく、それでいて美しい。
こぼれ落ちていく希望のかけらを拾い集めていくかのような、ひどく苦しくて優しい希望の物語。
——
他の方のレビューを読んでたら「鹿野はうる波の知らなかった佐々くんの蕎麦アレルギーを知っていて教えてくれるから鹿野の存在はうる波の妄想ではなく本物」って指摘があってああーっ! って。
なるほど、すごい…。
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とても良かった!
歪んでいるのだけど、どこかフワフワと柔らかく、そして切なくて本当によかった。
鹿野くんとうる波ちゃんの絶妙かつ冷静な問いやつっこみにクスっとなったり、千香ちゃんの狂気に背筋が凍る思いをしたり、秋くんの純粋な気持ちに考えさせられたりした。
文章もあたたかく、ストレートに届いた。
ラストも納得!
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正解不正解のないものは多い。ただ、自分のことは自分で正解不正解をちゃんと出していいんだと、そう思った。それがどんなものであろうとも。
そして、人は人、自分は自分、それをわかっていてもなかなかできることじゃない。思い込み、当たり前という刷り込み、おかしい、間違ってる、それをつい人に悪意なく押し付けてしまっていることが、型にはめようとしていることがあるのかもしれない。
心地よい、でもどこか落ち着かない湿度ある物語だった。
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いろんな形の愛があってもいいと、多分多くの人たちは思っているだろうけれど、それがいざ自分の身近での事だったりしたら、たちまち倫理観とか世間体とか常識とか持ち出してくるという話。『他人に迷惑さえかけなければ二人が幸せに思えるならいいんじゃない?』と思ってはいても、こういうの目の当りにしたら、多分私だって眉を顰めることもあるかもしれない。
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歪んでいて、優しくて、狂気すら孕んでいるのに、やっぱり優しいと感じてしまう。そう感じる自分もどこか狂っているのかもしれない。
正解なんてどこにもなくて、心はいつでも自由で、だからこそ苦しくて、誰かの近くにもいたいよね。
鹿野くんがいつまでもうる波のそばにいてくれますように。
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タイトルがすべてを物語っている。神様が創造したであろう人間が、生きていく中で決まりごとはないんだよと優しく伝えてくれるメッセージ性に、うるっときた。
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最悪なのは死ぬこと。
なにもかもが
そこで終わる。
だが
最悪を乗り越えれば
むしろ最強。
どこへでも
進んでいける。
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切なく苦しく、でもとても暖かい物語でした。死んだ夫の幽霊と暮らすうる波(うるは)を、普通の人たちは怪訝に思ったり憐れんだりする。この物語に登場する人たちは、少なからず常識から外れた価値観や環境に生きている。人はどうしてもマイノリティを排除したり更生させようと躍起になる。平凡な自分の尊厳を守りたいのか、安定したコミュニティを守りたいのか。個性や独立心を維持するにはまだまだ未熟な国なのだと思います。うる波たちのように誰にも迷惑をかけず秘密を持っている人々が、生きやすい世界になりますように。
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愛していいんだ、心に正解はないから。
夫の幽霊と暮らすうる波を取り巻く、秘密を抱えた彼ら。
世界が決めた「正しさ」から置き去りにされた人々へ、救済の物語。
うる波は、事故死した夫「鹿野くん」の幽霊と一緒に暮らしている。彼の存在は秘密にしていたが、大学の後輩で恋人どうしの佐々と千花に知られてしまう。うる波が事実を打ち明けて程なく佐々は不審な死を遂げる。遺された千花が秘匿するある事情とは? 機械の親友を持つ少年、小さな子どもを一途に愛する青年など、密やかな愛情がこぼれ落ちる瞬間をとらえた四編の救済の物語。
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幽霊になったご主人と普通の生活を送り続ける主人公をはじめ、人工知能を持つロボットを一番の親友とする男の子や、超草食系男子などそれぞれの価値観を持つ人たち。周りからは奇異に見られても、自分が自分であるためには信念を貫く。ラストの選択は嬉しかったけど悲しい。
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おそらくBL小説での方が著名な方だと思うのですが、一般向けでもとても胸を抉られる作品を書かれるな・・・。
悲しいとか切ないとかの言葉では一言で片付けられない・・・救いはなくて幸せな終わりと言われるとウウウン・・・と思ってしまう、でも優しいお話。
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好きなものを好きでいていいんだよ、と優しく教えてくれる。
読みやすい文章で、心にすっと入ってきた。
世界のフツウから自分ははみ出しているのではないかと感じた時、この物語が背中を押してくれる。
でもそう生きていくにはやっぱり覚悟が必要で。
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鹿野くんとうる波のコンビが最高
描写の一つ一つが丁寧で、とても入り込みやすかった
「アイシングシュガー」
背筋がぞっとした。けれど、このお話でまずうる波の「強さ」「芯」が見えたから、次の話も怖がらないで読めた。
「マタ会オウネ」
んんん、一番好き。秋くんとの対話がすごくいい。そして、せつない。
「植物性ロミオ」
いま改めてタイトル見ると、なんだか笑えてくる。
前後の話の間に挟んでくるこのちょっとした薄暗さが絶妙。
「彼女の謝肉祭」
安曇くんの話を聞く鹿野くんと、その二人のやり取りを聞いているうる波の切なくて苦しくてもどかしいやつ。
~~~好き!好き……!!
「プロローグ」「エピローグ」
大事なことなのでもう一度言いますが、うる波が絶望を感じた時の描写が最高なんです……。
そして設定がとにかく好き……。
このみがぎゅぎゅっとつまった一冊でした。