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ネガティブ・ケイパビリティと言う言葉を初めて知った。
正解があるかも分からない問題に対して、拙速な理解や結論を求めずしばらく放っておく力であると理解した。究極的に平和維持にも。
人間の脳は分からない状態を不安に感じ何らかの意味付けをするので、実際には難しい思考とも思える。
ネガティブ・ケイパビリティの本質は。
何でも答えを出す必要はないと思えること、放っておく力、寛容と共感。
なぜネガティブ・ケイパビリティが必要か。
持っている知識で見える世界は限られている、問題解決のための問題設定では事態を甘く見る、平和維持のため。
どのようにネガティブ・ケイパビリティを発揮するか。
考えても答えの出ない問題があることを肝に銘じる、じっくり考え他者の意見に耳を傾ける、結論を急がず時間薬の効果を活かす。
何事にも白黒付け、スピードこそ正義とする昨今において一拍おいて俯瞰する意識は本質を見極めるのに大切と改めて思う。
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東大総長が今年の大学院の入学式の式辞でも言及した「ネガティブケイパビリティ」。そこでもこの本が紹介されていたので、読んでみた。
詩人のキーツが作った言葉、ネガティブケイパビリティ(負の能力、もしくは陰性能力)とは
「どうにも答えの出ない、どうにも対処しようのない事態に耐える能力」「性急に証明や理由を求めずに、不確実さや不思議さ、懐疑の中にいることができる能力」
ポジティブでいることが求められる現代は、ポジティブでいることの落とし穴を見過ごしてしまう。
「この能力では、えてして表層の『問題』のみをとらえて、深層にある本当の問題は浮上せず、取り逃してしまいます」「『分かった』つもりの理解が、ごく低い次元にとどまってしまい、より高い次元まで発展しないのです。」
しかし、「私たちの人生や社会は、どうにも変えられない、とりつくすべもない事柄に満ち満ちて」いる。
だから、その真逆の能力であるネガティブケイパビリティが重要になってくる。
作者は、この能力のおかげで、ずいぶん楽になり、踏ん張る力がついたという。医師として、解決方法がない患者の悩みに直面した時、「この宙ぶらりんの状態をそのまま保持し、間に合わせの解決手間帳尻を合わせず、じっと耐え抜いていくしかありません。耐えるとき、これこそがネガティブケイパビリティだと、自分に言い聞かせます。すると耐える力が増すのです。」
形にならなかったものが名付けられることで、そのものが存在するようになる。
プラセボ効果をもたらす心理や不登校の子たちの宙ぶらりんの状態も、ネガティブケイパビリティという捉え方をすることで、くっきりとその存在意義、プラスの意味が見えて来る。
ただの途中経過ではなく、意味のあるものとして、輪郭がハッキリするのだ。
名付けのおかげで存在が認識されると、その存在が私たちに力を与えてくれるようにもなる。
威勢のいい言葉が溢れ、性急に答えを出すことがカッコいいと思われがちな現代で、この言葉が人口に膾炙することは、我々に大きなプラスをもたらすのではないか。そんな期待もできる価値観だ。
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ネガティブケイパビリティについては簡単な説明だけ。
あとは歴史的な背景がながーく続き、具体例としてはこれまた長すぎる源氏物語のあらすじ…
ペンネームにするくらいだから、よっぽど好きなんだろうけど、この本に必要だったかなぁと思ってしまいます。症例もなんだか使い古された感じの…
昔ながらの教育思想、歴史観、政治的なイデオロギーが透けて見えることもあり…
どちらかというと、著者本人が書きたいことを自由に書いて、なんとかネガティブケイパビリティって枠でまとめた感じ。一般書だし、自己啓発本みたいな読み物のジャンルなのかな?
他のサイトでは評価がよかったのですが、ブクログの評価が妥当かな。がっかりでした。
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「短絡的な答えに飛びつかず、正解がない、不安定な状況などをそのまま受け入れて進んでいく」能力をネガディブ・ケイパビリティと呼ぶらしい。
現代社会のカウンターとして必要な能力であり、考え方だとは思うので、刺さる人には刺さる本だと思う。
ただ個人的には、この本を読むこと自体がネガティブ・ケイパビリティの実践に他ならない状況だったので、しんどかった。
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以前『ケアの倫理とエンパワメント』を読んで初めて「ネガティヴ・ケイパビリティ」という言葉に触れましたが、正直なところその意味をきちんと理解できていませんでした。
本書を読んで、その重要性や、私が普段ケアマネとして働く中で感じていた医療への違和感の理由がわかった気がしました。
章によっては読みにくいところもありましたが、私は特に
第四章「ネガティブ・ケイパビリティと医療」
第五章「身の上相談とネガティブ・ケイパビリティ」
第九章「教育とネガティブ・ケイパビリティ」
第十章「寛容とネガティブ・ケイパビリティ」
が興味深かったです。
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うーん。ある程度はいいと思うのだが、弱い立場の人にしわ寄せたままになるのを良しとすることになってしまいそうな感じがする。事例で実際そういう感じのもある。
自分が病気になりそうだったら、病気になどならない、と3回続けて言う。気分が落ち込んだ時は自分を褒めてやる。他人は悪く言いがちだからせめて自分でほめてやる。何もできそうにないところでも何かをしていれば何とかなる。何もしなくても持ちこたえていれば何とかなる。見届けてやる。人は希望を見出す傾向があるので、どうにもできない状況は持ちこたえればよい。医療者の側の話。謎を謎として興味を抱いたまま宙ぶらりんのどうしようもない状況を耐える。その先には発展的な深い理解が待ち受けると確信して耐えていく持続力を生み出す。
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知人に勧められて、読んでみた本。
「ネガティブ・ケイパビリティ」という言葉は知らなかったのですが、
本を読んでその意味を知って
「確かにこれからの世の中で必要な考え方だな」と感じました。
著者の本は初めてですが、精神科医かつ小説家というユニークな経歴。
なので、本の中身も著者の精神科医と小説家という経歴から来る帰納法的な記述が多かったです。
例えば、精神科医は〇〇な場面で、ネガティブ・ケイパビリティが必要だとか、
××という小説家は、ネガティブ・ケイパビリティを持っていたとか。
読み手としては、どうやったらネガティブ・ケイパビリティを高めれるか?とか
その時の難しいことは何か?とかそれをどうやって乗り越えたらいいのか?とかが
気になると思うのですが、
そこに対する記述はあんまりなかったような気がします。。
上記を求める人は、冒頭の「はじめに」を読めば十分でしょう。
個人的に反省したのは、自分のネガティブ・ケイパビリティが足りずに、
例えば嫁に対して稚拙に答えを出すことを求めすぎてたな…とかでしょうか。。
この本は、家庭環境の改善にも役立ちそうです。
(そもそも著者が精神科医なこともあり、聞くのが上手。)
あとは、源氏物語のあらすじがまとまっているのが、
何気に有難かったです(第八章)。
古文とか大嫌いだったので、そもそも読もうという気にもならなかったので。
著者の小説も読んでみたくなりました。
(どちらかというと、戦争モノではなく、病院モノを。)
※閉鎖病棟
https://booklog.jp/item/1/4101288070
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答えがない、対処しようのない事態に耐える能力をさす「ネガティブ・ケイパビリティ」という概念を示されてなるほどと思い読んでみた。
しかし、最初の1ページで得られたこと以上を、本文から読み取れなかった。
本文は、言葉を作った詩人の半生の紹介、シェイクスピアの話、精神科での事例紹介など。この内容からネガティブ・ケイパビリティを鍛えたり活かしたりする方法は読者に察してくれという状態。
雰囲気はいいだけに内容が残念。
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読み始めてしばらくは「これは…どうしたもんか?」と言う感じでしたが,結果的にはこれは「名著」でした,個人的に.
negative capabilityが,empathyの根源となっていると言う解釈は,大変腑に落ちるものでした.
本は,色々読むと,色々繋がって,枠組みを広げてくれます.
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タイトルがすべて。答えの出ない事態に耐える力。未来に対して、どうしたらいいかわからない。何を目指すべきか、どんな未来が欲しいのか、わからないまま今を生きている。
○目の前の事象に、早速に理解の帳尻を合わせず、宙ぶらりんの解決できない状況を、不思議だと思う気持ちを忘れずに、持ちこたえていく力。
○拙速な理解ではなく、謎を謎として興味を抱いたまま、宙ぶらりんの、どうしようもないじょうたいを耐え抜く。その先には必ず発展的な深い理解が待ち受けていゆと確信して、耐えていく持続力を、生み出す。
○記憶も、欲望も、理解も捨てて、初めて行き着ける。
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分からないことを分からないまま抱えることは、モヤモヤした気持ちや不安も一緒に抱えることになるから難しいけれど、とても大切なこと。
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著者が「どうにも答えの出ない、どうにも対処しようのない事態に耐える能力」と定義するネガティブ・ケイパビリティという力は興味深い。
現代はあらゆることに対して素早く芯を捉え、答えを出していくことを求められる。
そんな中で、立ち止まってありのままを受け入れることで見える世界というのは確かにあるのだろうと思う。
そういった概念を教えてくれたという点では非常に良い学びがあった。
しかし、引用やキーツ、ビオンなどの人生についての紙幅が多く、ページ数に対しての内容の薄さはどうしても気になる。
著者の主観的な部分や、その考えに至った経緯、事例などはたしかに興味深いものの、もっとネガティブ・ケイパビリティという概念そのものを掘り下げてほしかったという印象が残る。
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ネガティブケイパビリティとは性急な答えへの到達を求めない、不確実さと寛容さのこと。
芸術とは答えが出ないものへの挑戦。
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★ネガティブ・ケイパビリティは、論理を離れた、どのようにも決められない、宙ぶらりんの状態を回避せず、耐え抜く能力である★
ネガティブ・ケイパビリティ(以下Nと表記する)は、共感能力の十分条件ではあるが、必要条件ではないんだろうけど、筆者はそこを必要十分条件だと捉えているような気がしました。
Nって、能力というより経験って感じがする。ポートフォリオなんてないし、(そもそも他人が介入するものではない)、あとから気づくものなのさ。過去から未来へ1本の時間軸を引くことができるために、必要な概念なのかも。
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どうしようもないことに耐えうる力、をいろいろな話をもとに展開している。解決を急ぎがちなときも多いので、振り返るいいきっかけになった。