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持ちこたえていれば、いつか、そんな日が来ます。
2024/04/05 22:06
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投稿者:sachi - この投稿者のレビュー一覧を見る
この作品を読んで、もう少しゆっくり生きたいと思いました。
若いころにはきっと出会わなかった、今の年齢だから出会ったのだと思います。
仕事で悩んでいた時に読めたのも良かったです。
第九章の「学習速度の差は自然」の節が心に残りました。
著者の帚木先生がマルセイユで生活していた時の、お子さんの小学校のお話。
「学習の速度が遅い者は、その学年を何度でも繰り返す。考えてみれば、これが当然のやり方」。
私もそんな学校に通いたかったです…。嫌なのに無理やり通い、無理やり授業やテストを受けていたので。
締めくくりの「どうにもならないように見える問題も、持ちこたえていくうちに、落ち着くところに落ち着き、解決していく。人間には底知れぬ「知恵」が備わっていますから、持ちこたえていれば、いつか、そんな日が来ます。」
“いつか、そんな日が来ます”が好きです。
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なぜ、色んな怪しい思想、政党、宗教が古今東西、こんなにも盛況なのか!本書の内容とは多少ずれるが、その原因が理解できたような気がする。
陰の能力を、自らも大切にして、周りの人にも広げて行きたい!
分からないものを、分かろうとしないで、容認する能力を、身に付けようと思う。
また、プラセボ効果を、今まで以上にまで至る所で活用したい!
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ほとんど 一つのことしか言っていない。ネガティブ・ケイパビリティとは不確実さの中に性急な論を持ち込まず、神秘さと不可思議さの中で、宙づり状態に耐えていくこと。運・鈍・根はネガティブ・ケイパビリティの別な表現。「運」が舞い降りてくるまでには、辛抱強く待たねばなりません。「鈍」は文字通り、浅薄な知識で表面的な解決を図ることをいさめています。最後の「根」は根気です。どうにもならないように見える問題も、持ちこたえていくうちに、落ち着くところに落ち着き、解決していく。「すぐには解決できなくても、なんとか持ちこたえていける。それは、実は能力の一つなんだ」
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ネガティブ・ケイパビリティの概念についての本で、どうしたら身に付けられるかは書いていないのが残念だった。
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「どうにも答えの出ない、どうにも対処しようのない事態に耐える能力」あるいは、「性急に証明や理由を求めずに、不確実さや不思議さ、懐疑の中にいることができる能力」を意味する。臨床の現場では必要とされる能力で、特に精神科臨床、私供が関わることの多い嗜癖臨床では求められる能力である。この言葉は英国の詩人であるキーツが初めて口にした言葉で、シェイクスピアの読解から結実した概念だそうだ。キーツが最初に述べたこの概念を世に出したのが、精神分析家のビオンだそうだ。著者はシェイクスピアのネガティヴケイパビリティと紫式部のそれを分析、解説。現代社会が寛容と不寛容のせめぎ合いの時代に、この概念が重要であることを、一気に解説。難しい、曖昧な概念をわかりやすく説明されるのは作家ならではである。
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2017年31冊目。
「ネガティブ・ケイパビリティ=性急に証明や理由を求めずに、不確実さや不思議さ、懐疑の中にいることができる能力」。
何かを理解するためには言語化が必要で、言葉に落とし込むことで、ようやく考えに形が与えられて安心する。
でも同時に、パンの耳を切り落とすように綺麗に形どられる代わりに、切り落とされてしまうものもある。
無理に形にしないからこそ伴うことができたものもある、と思う。
理解や言語化への欲求に切迫されず、豊かに惑うことも、自身の心のためにも、相手との人間関係のためにも、大切だと再確認した。
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日本の教育や今の社会ではなんでも即答することが求められる。しかし、わからないものにすぐさま答えを出すのではなく、それが一体なんなのか機が熟するまで自分の中にとどめておく力も必要だ。
このことは教授と話している時にも度々出てくる話題なので大変納得できるが、本としては一冊にするほどの内容はなかったように感じられた。
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ネガティヴな気持ちを持つことにポジティブな意味を見出そうという逆説的な問いかけを持つ本。安易なポジティブシンキングが流行している世に一石を投じたかったのだろうと思う。
シェイクスピアや源氏物語を読んでみたくなった。
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私は、保留状態が嫌いで、早く結論を出したい性格だが、これを読んで時が解決するのを待つことも方法の一つなのだと感じた。精神的に少し楽になれた。
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ネガティブ・ケイパビリティ=「どうにも答えの出ない、どうにも対処しようのない事態に耐える能力」あるいは「性急に証明や理由を求めずに、不確実さや不思議さ、懐疑の中にいることができる能力」。著者が事例として挙げている、不登校やギャンブル依存症、メルケル首相とトランプ大統領の対比は興味深い。現代はすぐに結果を求める、不寛容の時代だからこそ、大切なのは他者に対する「共感」だという筆者の主張に賛成だ。
読んだばかりの薬丸岳『ガーディアン』のテーマにも通じており、こういう形で極右に振れている現実に対する揺り戻しがきているのだとしたら、そこに希望が見える。
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どうにも解決できない問題を、宙ぶらりんのまま、何とか耐え続けていく力。
ネガティブ・ケイパビリティ、興味深いです。
オープン・ダイアローグで言うところの「不確実性への耐性」と同じ概念でしょうか。
割り切れないもの、答えを出し得ないもの、どうにもならないものと、どのように共にあるか。
ネガティブ・ケイパビリティ、私も身につけたいです。
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http://catalog.lib.kagoshima-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB23422737
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結論を急がず、混沌をそのまま受け入れる
ネガティブケイパビリティ、
大切な能力だと思う。
ただ、紫式部やシェイクスピアと
議論が深まるより横滑りしていった印象。
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学会での講演で紹介のあった本で読んでみました。
講演会の内容はこの本からの引用が多く、すっと入っていきました。
宙ぶらりんのどうしようもない状態を耐え抜いて苦悩を抱えて持ちこたえる力。
カタカナ語でなくて日本語だともっと定着するのでは。
研究会に参加してみたい。
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啓蒙書のような本はめったに読まない。この本は人に勧められて読み始めた。書いてあることに違和感はない。聞き慣れないネガティブ・ケイパビリティという言葉も、考え方自体は特異なものではない。要は結論を急がないということ。急ぐ前に相手の意図をよくよく聞き分けるということ。そして共感することを心掛けるということ。結論を押し付けないこと、と付け加えてもよい。
作家はこの言葉の起源から、自身の生業である精神科におけるこの概念の重要性を簡潔に記してゆく。するすると言葉は読み下される。
残念なことが二つ。
小説もものにするという作家の日本語が、微妙に頭の中で音像を結ばない。何度か読み返して音のつながりを理解する必要がある文章に時々出食わす。本全体の構成が簡潔で読者の興味を引くことに腐心していることも判るので、文章ももう少し平易な日本語で綴るべきだったのではないか。
もう一つはやたら作家自身の他の著作への言及が多いこと。この作家の熱心な読者であればそれもまた楽しい趣向だが、初めて出会う読者にとっては自慢話を聞かされているように聞こえてしまう。その寄り道は本当に必要だったのだろうか。
但し作家が鳴らす警鐘はとても切実なもの。昨今の不寛容な世相を鑑みれば、そろそろ僕らは立ち止まって一体何がいけなかったのかを考えてみてもいい筈だ。多様性の重要さが声高に叫ばれるご時世に必要なのは、相手を説き伏せることができる秀逸なアイデアでもそれを効果的に伝えるプレゼンテーションでもなく、確かにネガティブ・ケイパビリティなのかも知れない。