紙の本
先祖とH
2017/07/24 10:35
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投稿者:とめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
50年近くも前のタイムパラドックスものがこんなにも新鮮に読めるのは、ひとえに自分が理系に疎いからだけではない、と確信をもって人に薦められる書。
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新訳版。
勝手にセンチメンタルなラブストーリーっぽいものを想像していたが、かなりガチなSFだった。ラスト1文の衝撃……。
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(こちらの作品の方が先輩ですが)
タイムトラベルで人波に紛れ込み数々のトラブルに
巻き込まれる
『オクスフォード大学史学部シリーズ』(C.ウィリス)
時間を隔たてた女性と恋におちる
「ある日どこかで」(R.マシスン)
のような展開を予想して読み始めてみると、、、
色っぽい描写、(解説からすると過去の経験の賜物か)
もあるものの、実は前半は自分のルーツ探し、
運命の人に出会い、そこからパラドックスパラダイス。
二人を引き裂く、どうしようもない時の隔たりが
切なく描かれ、なんて期待をしていたけど、
制限や代償なく自由に時間を動ける設定には、
切なさどころではない切実で重大な問題と
そこから結末へ向けて短いページで語られる
様々な渇望、そしてラスト一行、数文字の衝撃。
残り数十ページはここまでの全てが一気になだれ込む。
十字軍の知識とか、たくさんの皇帝とか、
ギリシャ系の名前の馴染みのなさとか、
少し読みずらいポイントはあるけど、ちゃんと物語
エンターテインメントを楽しむ、といいと思います。
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人間が生きているということはこういうことなのだろうか。タイムトラベルで過去に行く物語は、SFでは定番中の定番。いくつかのパラドックスがあるのも分かりきったことなので、ハラハラドキドキの展開になるのも予定調和である。その上で、人間の業なのだろうか、主人公のジャドはその時代でヤリまくる。祖先もヤってしまう。それが元でトラブルにもなるのだが、そんなことは構わない。ページをめくればセックスシーンが出てくる。なんだ、このハチャメチャな小説は! 何も考えずに物語の流れに身を委ねて楽しむ作品である。
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出だしはグッとつかまれたが、半ば過ぎまでは好みじゃないなーという展開が続いて途中で放置。ポール・アンダースンの冒険活劇で気分転換してから再開して読了した。
終わらせ方とかも良かったのだけどなー
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ロバート・シルヴァーバーグの傑作時間SFにして、星雲賞受賞作の本書。過去への移動が可能となった未来では、時間警察が過去改変の阻止と復旧を目的に設置され、過去の歴史的な場面への観光を目的として時間旅行部が設置された。主人公の青年ジャドは時間旅行部に就職し、タイム・パラドックスを引き起こさないように注意しながら、職務に励んでいたが、ビザンティウムで絶世の美女と恋に落ちてしまい…
帯広告では「タイム・パラドックスSFの金字塔」と紹介されていますが、本書では時間移動が引き起こすいくつかのパラドックスが紹介されています。<観衆累積パラドックス>とは、例えば、キリストが磔にされる場面を観光に訪れる時間旅行者は、みな過去の同一の時間帯に出現するため、仮に年間100人がその場面を訪問する場合、10年後には1,000人の時間旅行者がキリストが磔にされる場面に存在することになる。飛躍すると、10億人の時間旅行者が同一の時間帯に存在することになるが…というもの。他にも紹介される<時間線分離パラドックス>や<不連続パラドックス>、<究極のパラドックス>など、こういったタイム・パラドックスを引き起こさないように時間旅行部の職員は細心の注意をはらうのだが、青年ジャドはビザンティウムで出会った絶世の美女に慕情を抱くあまり、重大なパラドックスを発生させてしまう。その結果、彼に訪れる結末はそのパラドックスを皮肉に利用したもので、なかなか好きなオチです。とはいえ、本書の魅力はそういった時間SFの醍醐味だけでなく、延々と語られるビザンティウム帝国の豊富な(無駄な)知識の数々。ちょっと興味が湧きましたよ。
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有名な作品なので期待したが、1960年代後半のフリーセックス、ドラッグの雰囲気が満タンなうえ、中世のご先祖様と近親相姦する話なので結構胸やけがした。さらに作品の序盤で、過去に遡って運命的な恋をするといった前振りがあるが、それが語られ始めるのは小説の3分の2を過ぎたあたりからで、それまでは延々と登場人物や設定を説明するためのサブエピソードが続き、物語の中心となるエピソードはいつ始まるんだとやきもきした。ロマンチックな要素はほとんどなく、中世ビザンティン帝国のエキゾチックな雰囲気とタイムトラベルのドタバタを楽しむのが中心だ。クライマックスではタイムパラドックスが次々と発生し、主人公が説明するその理論はハチャメチャであるが、そのあたりは面白かった。エンディングは落語的な洒落が効いており、いろいろあったが清算されたなという読後感が生まれてなかなかよろしい。そこそこ面白いSF小説だと思うが、R15指定ぐらいにして、中学生には読ませないほうが良いと思う。
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シルヴァーバーグ復活の徴候なのか、『時間線を遡って』のタイトルで昔からある翻訳の、伊藤典夫のよる新訳。といっても中村保夫訳と同時期に『SFマガジン』に連載された伊藤典夫訳を書籍化したもののようだから、「新」訳ともいえないようだが。
タイム・マシンが実用化されると、自己都合で歴史を改変しようとする時間犯罪者が現れるのでそれを取り締まるタイム・パトロールが結成されるのは、ポール・アンダースン。シルヴァーバーグでは、タイム・パトロールは当然いるけど、時間観光に行く人たちを案内するツアー・コンダクター、タイム・クーリエの物語。
若くして人生に倦んだ「ぼく」は大学でビザンティンの歴史を学んだことを生かして、ビザンティン時代を専門とするタイム・クーリエとなる。タイム・クーリエたちはタイム・パトロールに目をつけられなければいいやとばかりに、結構好き放題なことをやっている。そんな先輩たちに影響されて、ギリシャ系の「ぼく」はビザンチン時代に自分の先祖を見出し、そのひとりの美しい女性と恋に落ちてしまう、という話だ。
1950年代、小説を書きまくって小説工場といわれたシルヴァーバーグは、1960年代、小説としての完成度、内容の文学性を高め、ニュー・シルヴァーバーグといわれるようになる。そんなニュー・シルヴァーバーグのなかでも、本書はかなりお気楽な調子の話である。
しかし後半、受け持った観光客のひとりが姿を消してしまうという不祥事が起こると、事態は緊迫、タイム・パラドックスを巻き起こしつつ、話は手に汗握る展開となる。
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SF。タイムトラベル。
初めて読む作家さん。想像以上にコミカルでセクシャルでユーモラス。
タイムトラベルによって生じるパラドックスがメインテーマか。
非常にややこしいが、スピード感があり、多少理解が追いつかなくても読ませる勢いがある。
特に終盤のサスペンスフルな展開は、ページをめくる手が止まらなかった。
終わり方も素晴らしい。
タイムトラベルSFで一番好きな作品になりました。
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温故知新SFの名著、
シルヴァーバーグのタイムトラベル物。いくつかのパラドックスを逆手に取ったトリック、ちょっとスケベな描写、小粋なシニカルさ。どれもこれも最高!
こういう、お洒落で楽しいSF小説が1960年代に出せるんだもんなぁ。SFがまだまだ元気で未来世界がまだまだ明るいと思えてたんやなと…。
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タイムトラベルがルールに則って実施されている世界、
昔の歴史的事象に立ち会う旅行が普通に。
ツアーガイドは同じ場所に何度も行くし、その場を訪れる旅行者も累積的に増えてくるのでどういうことになるか、かなり複雑で想像が追い付かない。
旅行者が過去に影響を及ぼしてしまうと、当然現在にも影響し、生まれてきたはずの人が、その先祖が殺されたりすると存在が無くなってしまったり。