紙の本
マーケティング全般について
2017/05/14 16:13
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投稿者:かずさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
マーケティングとコトラーについて知りたく、読みました。現在までのマーケティングの変遷、今後の日本企業の方向性など、勉強になりました。
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最近のコトラーは、共著が多いが、これはコトラー自身が書いている(インタビューから構成したもののあるが)。日本の読者にむけて書かれている。日本の現状を憂いている。自叙伝みたいになっていて、コトラーがどのように考えてきたかがよくわかる。どちらかというとマーケティング初心者向けかな。また、彼の視線で、ドラッカーやピケ、行動経済学なども語っているところがおもしろい。
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今から20年近くにマーケティングという言葉を知って、その分野を少し勉強したことがありましたが、そのときから、この本の著者である「コトラー氏」の名前は知っていました。現代では、私が勉強したころの1.0や2.0でははく、4.0と進化しているとのことです。
この本ではその進化の過程が解説された後に、現代の資本主義の特徴(弱点も含めて)、アメリカと日本における資本主義の違いについて述べた上で、日本の資本主義に未来があると結論できています。この本は、前書きで述べられている様に、日本向けの書籍で、日本だけで発売される本とのことです。著者が日本人なら理解できますが、著者があのコトラーですから驚きです。
日本の強みを解説している何人かの日本人は知っていますが、最近ではあまり例を見ないと思います。この本で述べられている点を参考にして、あと10年程度になった私の社会人生活にも活用していきたいと思いました。
以下は気になったポイントです。
・日本について心配しているのは、以前に比べて日本からの留学生が少なくなっている、少子高齢化の進展・移民の受け入れに積極的でないこと(p5)
・マーケティングの考え方を体系化し、S(セグメンテーション:市場細分化)、T(ターゲッティング)、P(ポジショニング:独自ポジションによる差別化)の「STP」というマーケティングのフレームワークを構築した(p8)
・今日のマーケターの多くは、マーケティング4.0の世界になっても、いまだ、マーケティング1.0(製品中心)、2.0(顧客志向)の段階にとどまっている(p49、53)
・1986年には、従来の4Pに加えて、政治力(political power)、広報活動(public relations)という2つのPを追加している(p51)
・サービス業の場合には、3つのP(要員:people、業務プロセス:process、物的証拠:physical evidence、例として立派な制服、トレーサビリティ)を追加する、サービスには1)無形性、2)不可分性、3)変動性、4)消滅性という特徴があるので(p53)
・コモディティ(普及が進み、差別化が困難になった製品)は、新製品を生み出しても、その製品が企業の想定した消費者に簡単に届かなくなった(p54)
・他社の競合商品との違いを説明できて、マーケティング2.0の段階になる(p57)
・顧客に究極の経験を提供させるため、娯楽性(Entertainment)、美的要素(Esthetic)、非日常性(Escape)、教育的要素(Education)の「4E」が必要である(p61)
・マーケティング3.0では、感情に訴えるようなマーケティングを、精神に訴えるようなマーケティングによって補完する。この段階にある企業は、利益(profit)、人的サービスの質(People)、地球(Planet)「3P」のために働く(p64)
・マーケティング3.0の、価値主導マーケティングをもたらしたのが、インターネットであるが、まさにテクノロジーそのもの、デジタル革命に焦点を当てたものが「マーケティング4.0」であり、オンラインとオフラインが出会ったということ、ブランド確立のためのスタイルと実体の組み合わせ���IoT(センサーデバイスなどのモノが情報交換することで相互制御する仕組み)による機械と人の間のネットワークの組み合わせ=評価サイトで評判やスコアを見ることができる(p77)
・製品購入時に顧客がたどる「5A」とは、気づき(Awareness)、魅了(Appeal)、尋ね・求め(Ask)、行動(Act)、推奨表明(Advocacy)から構成され、AIDA(関心、興味、欲求、行動、Attention/Interest/Desire/Action)にとって代わるもの、前半は従来型、後半はデジタルマーケティングである(p79、242)
・マーケティング4.0が注目すべき消費者のセグメントは、世代・ジェンダー・メディア特性に注目する。ミレニアル世代(1980-2005生まれ)、女性、ネチズン(p87)
・企業が生き残っていくために求められる特質は、レジリエンス(損失から復元するための能力)、アジリティ(変化対応能力)(p95)
・高品質の製品を提供することで地位を築いてきた企業は、廉価で性能の劣る技術に対して経営資源を投入することを躊躇するが、こうして鉄鋼大手はスクラップから鉄鋼をつくる電炉メーカの浸食をうけた、この破壊的技術が廉価のまま品質を向上させたとき、鉄鋼大手にはとるべき策はなかった(p115)
・大学という存在自体が、オンライン講義などの新しい学習システムによって淘汰の波に直面している。個人がそうした変化に追いつくには、生涯学習者になるほかない(p116)
・じつは、仕事の多くが「人を遊ばせないでおくための無意味なもの」であることを忘れてはいけない(p117)
・日本では企業家精神を育てるため、教育方法を「記憶を教える」ことから、「思考を教える」ことに変えなければならない(p120)
・今後、主要都市は、中世欧州の都市国家のような位置づけになり、国家を引っ張っていくような力を発揮するだろう(p128)
・世界に都市が24万以上存在していて、そのトップ100が、世界のGDPの37%を占め、人口1000万人以上の都市が36ある。トップ600が、人口20%、34兆ドル(全体の半分)を占めている(p130)
・グローバルな都市で、中間層が成長したのは、多国籍企業の存在が理由である。政府は市民の貧困は和らげられるが、中間層を成長させられるのは他国籍企業のみ、富の源泉は都市に存在するが、本当の主権者は多国籍企業(p135)
・いまアメリカで起きているのはダウンタウンの復活、デトロイトの不動産(高層ビル)に積極的に投資しているのは、シンガポール(p139)
・アメリカでは政策は、巨大な多国籍企業・1%の富裕層によって決められる(p156)最低賃金に加えて、重くのしかかるのは、学生たちの借金。学資ローン残額は1兆ドル、4000万人のアメリカ人が借りている(p162)
・アメリカ企業がシェアホルダー志向であれば、日本は逆にステークホルダー志向といえる(p182)
・世界中の創業200年を超える企業の半数弱が日本に存在している(p187)
・いまや3Dプリンタの登場により、職人芸にまで達する熟練工の仕事すら、代替え可能となった(p212)
・自動化によって職が消え���いくことは、これからますます社会では、起業の重要性が高まっていく、将来性のある技術は、IoT、先進的ロボティックス、自動走行自動車、次世代遺伝子技術、再生可能エネルギー(p213)
2017年5月21日作成
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マーケティングの父コトラーが「日本の近況〜未来に向けた提言をマーケティング見地から徹底的に語る書」、として期待したが、内容は若干肩透かしを食らう内容。コトラー自身のマーケティングとの出会いから始まり、その後のマーケティングの歴史と近況、未来が網羅的に語られる中で、日本の話題がピックアップされる程度の内容。
ただしその内容は示唆に富む。今後の資本主義のあり方として「コンシャスキャピタリズム(=意識の高い資本主義)」の重要性を説き、株主などシェアホルダーではなくステークホルダーを優先すべき、行きすぎた格差の解消などなどが提示されるが、それはいわゆる日本的資本主義と親和性が高く、アメリカ的資本主義もそこに学ぶ必要があると説かれる。
一方で、バブル崩壊以降、イノベーションを生み出せず停滞している現状の日本経済もまた問題であり、それを改善するための方法も提示される。それは暗記型教育、ルール遵守のビジネスではなく、チャレンジ促進、失敗を許容する姿勢、など。
書かれていることは至極正論と思われるし、自分の考えとも合致する。前著「資本主義に未来はある」も今後の資本主義のあり方に関してかなり勉強になったが、それ+マーケティング、そもそもコトラーとはなんたるかを包括的にさらっと学べる、読みやすい一冊だと思いました。
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4P;プロダクト、プライス、プレイス、プロモーション;ジェローム•マッカーシー
STP;セグメンテーション、ターゲッティング、ポジショニング
マーケティング
1.0;製品中心
2.0;消費者志向
3.0;価値主導
4.0;自己実現
コンシャス•キャピタリズム;責任ある資本主義
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フィリップ・コトラー著「マーケティングの未来と日本」を読了。これまでのマーケティングの変遷から未来の見通し、また資本主義の在り方に至るまで解説されていた。中でも私が興味を持ったのはマーケティング4.0について。マーケティング4.0は「デジタル革命時代のマーケティングアプローチであり、企業と消費者の間のオンラインとオフラインの相互作用の組み合わせ、ブランド確立のためのスタイルと実態の組み合わせ、そしてIoTによる機械のネットワークと人との間のネットワークの組み合わせがその本質」と解説されていた。マーケティングは、インターネットの進展に伴い企業、顧客間の商品やサービスに関する情報の非対称性が崩壊したといわれているが、私がこのマーケティング4.0の文脈から考えたのはサービス、商品に関する情報の非対称性がなくなるのと同時に、IoTを背景として企業の顧客理解が深まることにより、”顧客情報に関する”顧客と企業の情報の非対称性も狭まっていくということである。ところで、IoTがアナログ、オフライン情報のデジタルデータ化を実現し、さらにA.Iによって解析や予測が可能になることでマーケティングの高度化、精緻化が進むとこれからのマーケッターの役割はどのように変化するのか、またはなくなるのか。私は、これからのマーケッターは人間にしか成しえない技能とされる「心」の領域、つまり人の共観や共感能力を発揮する領域での活躍が見込まれ、よりイノヴェーティブな仕事に集中できるという点でポジティブに捉えている。
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コトラーのマーケティングの概要に触れられる良著。
マーケティング1.0から4.0への流れの説明や、
公的セクターにおけるマーケティング、平和へのマーケティングなど幅広い分野が紹介されていておもしろい。
訳者の解説もなかなか分かりやすくて良い。
<メモ>
・4Pに加えてpolitical power Public relationsを追加。例えば国家において国民の行動を変えるためには政治的に働きかけることが必要、またそれがうまくいかなければ公の議論を仕掛けるすなわち広報活動が必要となる。
・サービス業の場合、無形性(触れられず目に見えない)、不可分性(提供者被提供者と切り離して存在できない)、変動制(いつどこで誰によって提供されるかでサービスは変わる)消滅性(蓄えられず消える)4つの性質がある。そこで3つのPを追加。
people 要員(サービス提供者) 、process 業務プロセス(CRM 販売プロセスなど)、physical evidence物的証拠(トレーサビリティ・制服など)
・顧客に究極の経験を提供するために、娯楽性entertainment、美的要素esthetic、非日常性escape、教育的要素educationの4つが必要と言われる、
・体験と同様ストーリーテリングも重要。ブランド構築はそこで流された汗やその商品にまつわる情熱についてストーリーを組み立てる、ということ。優れたマーケティングとは、消費者を興奮させ、思わず声を上げさせるストーリーを作ること。
・マーケティング3.0は価値主導のマーケティング。感情に訴えるのみでなく、さらに精神に訴えるようなマーケティングを行うもの。profit planet peopleのたえに働く必要性。企業のミッションが重要に。
・CRM=優良顧客優遇+囲い込みではなく、顧客エンゲージメントという概念。真の愛情と結びつき。いかに顧客が購買のみならず企業を熱狂的に語ってくれるようになるか。
・目的と情熱を持つ企業の共通要素
1全てのステークホルダーの利益を一列に平等にしている
2管理職の給料が比較的控えめ
3経営トップに接するのに、オープンドアポリシーを取っている
4従業員の給与が同じカテゴリでは高く、従業員トレーニングも長く、離職率も低い
5顧客に対し、情熱的な人を雇う
6サプライヤーを真のパートナーと位置づけ、生産性向上、品質改善、コスト削減に協力する
7企業文化をもっとも大きな資産と考え、競争上の優位性の主要な源になると考えている
8マーケティングコストは同業者よりもはるかに低いのに、顧客満足度と顧客維持度ははるかに高い
・変化と破壊が激しい現代生き残るための特質 レジリエンス 特定の問題や損失から復元する能力 アジリティ 迅速に学び、変化する状況にスピード感を持って対応する能力
・ジョンデューイ 「今いる場所から始めなさい。課題から始めてはいけません」これだけと規定することは視野を狭めてしまう可能性あり
・コンシャスキャピタリズムの4つの前提
1企業は利益を追求するのみならず、崇高な目的がなければならない。それが経営陣の役割
2企業はステークホルダーの視点を有するべき。シェアホルダーのことだ��を考えるべきでない。
3企業は意識の高いリーダーシップがなければならない。リーダーは対立や二律背反などに対応しつつ、全員が納得できる解決策を生み出さねばならない
4意識の高い企業文化と経営陣を有しなければならない。企業は関係者のイノベーション、コラボレーション、エンパワーメントを促進させるような価値観を基本とすべき。
・マーケティングのことしか考えていないマーケティングは必ず失敗する。マーケティングの本質を理解し、より多くの人が戦略的マーケティングを理解するように努めねばならない。日本企業は顧客に情報提供し、価値提案を行う能力を向上させなければならない。顧客の関心を引きつけ、ロイヤリティを高めるストーリーテリングの腕に磨きをかけるべき。
・物質主義的でなく一生涯続くような幸福感を感じられる生き方
1アート、文化、宗教と関わる生き方。こうしたものに愛情を注ぐ人が存在することにより、世界はより豊かなものになる。アートを好み、それを愛でる人は世の中に必要
2他人を助けて世界をより良くする生き方。自分の知らない他者に対して、真摯に接することができる人は最も尊敬される種類の人。
3より簡素に生きること。
・フロイト 人間は元来、破壊し、殺害しようとする欲動がある、その欲動を戦争以外のものに転換することが重要だと述べている。
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ひとまず、この本はこれまでのマーケティングシリーズの振り返りと、現代日本へのメッセージで構成されており、その知識がなければ深い理解はできない。マーケティングシリーズを読んでから再度読み直したい。
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マーケティング4.0をベースに日本にフォーカスして、今後のマーケティングについてまとめた本。
・マーケティング4.0は自己実現のマーケティング。1は製品中心、2は顧客志向、3は価値主導
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コトラーの最新理論はマーケティング4.0を読めばいいし、日本に対する現状理解とコメントはあまり新しさがない。いわゆるコトラー本はたとえば「コトラーの戦略的マーケティング」あたりを読めば十分で、何冊も読んでも仕方ないかもしれない。コトラーが整理したマーケティング理論は一つの原理原則を示しており、納得感はあるが、何かが違うのではないかと実務を通してよく思う。「ブランディングの科学」のエレンバーグ(アレンバーグ?)理論やクリステンセンのジョブ理論のほうが、示唆に富んでいるように思う今日この頃。まあ、もちろんマーケティングの基本的考え方としてコトラーさんの理論は理解しておかないといけないとは思うが。
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コトラー 「 マーケティングの未来と日本 」
大家がマーケティングを語ると 行動経済学の本になる。マーケティングや資本主義の概要や未来像を わかりやすく示している。
顧客との関係だけでなく、社員、取引先、社会との関係まで広げて、価値創造=マーケティング を定義している
マーケティングも企業の立場の変化によって 変わっていることがわかる
*1.0(売るためのマーケティング)
*2.0(市場を細分化し 顧客をターゲッティングして 自社をポジショニング)
*3.0(本業で社会の課題を解決して 利益を出す)
マーケティング4.0
*顧客との絆(エンゲージ)を深めるマーケティングへ
*自社と顧客の価値→短期利益より長期視点で人を幸せにする経営を
都市のマーケティング
*都市こそSWOT分析が必要→その町の独自価値
*都市の富の源泉は 多国籍企業→多国籍企業の誘致条件を知る
平和へのマーケティング
*双方とも勝者であるように対立を処理
*対立する相手との関係を改善する意思
*双方の問題を横に置いて 人間としての関係をよくする
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コトラー本はだいたい読みやすい。が、本作品はその中でも抜群に読みやすい。それも、マーケティングの大家であるがゆえにか。はたまた、禅のたまものか。内容はさほど目新しいものはなく、いつものコトラー氏です
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初めてのコトラー。もっと早く読んどきゃよかった。文章もわかりやすくて全然難しくない。巷の集客本とかブランディング本を読むなら、これを読んだ方が考え方が身につく。具体的な行動は自分で考えなあかんけど。
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コトラー提唱のマーケティング1.0から4.0までの系譜、及びコトラーが思う日本が取るべきこれこらの戦略について、分かりやすく書かれています。
製品中心の1.0から、市場中心の2.0 へ。そして価値主義である3.0がコトラーから提唱されたと思ったら、もうその5年後には自己実現主義の4.0が登場。3から4の感覚が短いことに、今の世の中が移り変わるスピードの早さを感じます。訳者はそれぞれが並行して進行している面があると解説していましたが、やっぱりSNSやクチコミサイトによる個人が持つ力が急速に大きくなっていることが影響していると思います。
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日本のためだけにコトラー氏が書いた一冊。マーケティングの神様的存在の著者が、親日家として過去、現在までの日本を的確に捉えている。そして、未来に必要な課題と観点に対する示唆が興味深い。
御歳85歳とは思えないほどパワフルなコメントが本から伝わってくる。
本の中でマーケティングは勿論だが、経済学者としても俺は結構いけてるんだよ!的な記載がおじいちゃんの自慢話っぽくて微笑ましい