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「芭蕉という修羅」嵐山光三郎著、新潮社、2017.04.25
239p ¥1,728 C0095 (2023.10.09読了)(2023.10.05拝借)
松尾芭蕉の評伝と思われます。芭蕉については、あれこれ書いてありますが、芭蕉の俳句についての考え方については、あまり触れられていないようです。
【目次】
一 水道工事が本業である
二 鞍馬天狗が大好きで
三 嘘つき芭蕉の誕生
四 デビュー戦「俳諧百韻」
五 埋木の謎
六 万句興行とはなにか
七 延宝八年の不吉な出来事
八 あだにやれゆく芭蕉葉
九 逆襲と戦略
十 乞食の翁は負けない
十一 蛙飛こむ二十番勝負
十二 鹿島凱旋
十三 危険な旅へ
十四 『おくのほそ道』とはなにか
十五 見えないものを見る
十六 そして欲望の都市を目ざす
あとがき
●水道工事の差配(8頁)
芭蕉は延宝五年(1677年)から八年までの四年間、江戸小石川の上水道(神田上水)補修工事を差配していた。
●芭蕉が松島で詠んだ句(198頁)
松島や鶴に身をかれほとゝぎす
(松島では、鶴の姿に身をかりて鳴き渡ってくれ、ほととぎすよ。松に鶴は付合いである。)
島々や千々にくだけて夏の海
(島が幾千もに海にくだけ散っているという動きのある景観で、句もまた千々にくだけ散って雄渾である。)
●湯殿山(208頁)
湯殿では身につけている金銀はすべて置いていかなければならず、落とした金も拾ってはいけない。(中略)信者から「身ぐるみはぐことが宗教の奥儀」である。
☆関連図書(既読)
「おくのほそ道」松尾芭蕉著・板坂元訳、講談社文庫、1975.08.15
「松尾芭蕉『おくのほそ道』」佐々木櫂著、NHK出版、2013.10.01
「松尾芭蕉」嶋岡晨著、成美堂出版、1988.05.10
「芭蕉、旅へ」上野洋三著、岩波新書、1989.11.20
(アマゾンより)
「俳聖」の本業は凄腕の水道工事監督! 芭蕉の人脈と金脈を照らし出す決定版評論。神田上水の大規模修繕を差配し、幕府隠密として『おくのほそ道』の旅に出、西鶴への対抗心から句会をプロデュース……自らの名を後世に遺すべく数多の博打を打った稀代の山師、松尾芭蕉。彼を駆り立てたものは一体何か? 泉鏡花文学賞&読売文学賞受賞の『悪党芭蕉』から11年、欲望の修羅を生きた男の素顔がいよいよ明らかに!