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好きな話から感想を。
鬼火 葉室麟著 担当:沖田総司
子供の頃のある事件がきっかけで無表情になってしまった総司。彼は入門した試衛館の道場主である近藤周介に『笑え』と命ぜらえる。姉から総司が受けたことを知った周介が『笑う』ことで心の傷を癒すと考えたための策。
だが、それは却って笑顔という仮面が総司の顔に能面のように張り付く結果となる。
そんな彼らが上洛を果たし、総司は芹沢鴨と出会い、心惹かれる。
悪名ばかりが有名になってきた芹沢の元へ、かつての仲間が水戸へ戻ってはくれまいかとやってくる。
彼らと共に水戸へ帰り、天狗党へ戻るという芹沢に「行かないでください」と懇願する沖田が新鮮でした。こういう解釈の仕方もあるのねと。
ラストシーンはおなじみの芹沢暗殺シーンで終わるのですが、その時に芹沢が沖田に告げる言葉が印象的で、私はとても好きです。
あと、総司へ土方さんから芹沢鴨暗殺のことを告げられた時、芹沢が水戸で捕まって死罪を待つときに読んだ辞世の句を引っ張ってくるところは葉室さんならではという感じです。
ここにはおそらく多くの人が想像する好青年の沖田総司はいません。心に鬱屈した闇を抱え込んで、能面のような笑みを浮かべる一人の悩める青年がいる。こんな沖田総司が居てもいいと思うのです。沖田も謎が多い人物ですしね。
「足りぬ月」 小松エメル著 担当:藤堂平助
新選組のファンの方はご存知、藤堂平助は津藩主の御落胤説があることはご存知でしょう。
そこから始まるのが、この物語です。ただ一度御手がついて平助を身ごもったと告げて彼を育ててきた母。その母のいない時に酒の匂いをさせて「お前は俺の子だよ」と告げた男。その男を殺してしまったからと、津藩へ形見の懐刀を持たせて屋敷へ送り出した母親。
そこから平助の人生が始まるのですが、下屋敷の老夫婦の養子になり、学問や剣術に明け暮れる日々。幸福な日々であることはわかっているが、元服を済ませた平助はそこから出奔する。
彼が求め続けるのは、常に頭の良い男だったというのが、切ない。
山南にそれを見つけ、そして伊東申子太郎へそれを求め続けて、欠けていない月のような幻影を求める藤堂の姿はどこか滑稽で、それでいて悲しい。
山南が切腹して、伊東は分派して、彼の人生は油小路の悲劇へ向かう。
この物語で一番いいなと思ったのは試衛館と試衛館派といわれる人々をここまで切り離して描いているところ。そこが凄い。
現在、近藤と折り合いが本当に悪かった永倉新八を描いている小松さん、作品楽しみにしてます(*´▽`*)
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決戦!新選組は、決戦!シリーズの関ヶ原や桶狭間と違い、ほぼ時間の流れに沿って隊の結成から壊滅までを主人公を代えながら、語り継いで行きます。やはり作者の異なる連作なので、登場する近藤勇、土方歳三、沖田総司などの人物像が違いますが、色んな視点があって面白い。個人的には「死にぞこないの剣」の斎藤一が最高でした。
今回は決戦(鳥羽伏見の戦いは決戦とは言えないので)が無いためか、巻頭に関係図が有りません。蛇足ながら作品と作者、主人公は次のとおりです。
鬼火 葉室麟【沖田総司 芹沢鴨】
戦いを避ける 門井義喜【近藤勇】
足りぬ月 小松エメル【藤堂平助】
決死剣 土橋章宏 【永倉新八】
死にぞこないの剣 天野純希【斎藤一】
慈母のごとく 木下昌輝 【土方歳三】
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戦国以外決戦シリーズ第3弾。今回の舞台は、幕末新選組。6人の作家の連作です。
最後の「慈母のごとく」に感涙。もともと、「燃えよ剣」の影響で土方が好きではあります。近藤・土方・沖田の試衛館トリオで最後の一人の土方。鬼の副長といわれ、恐れられていた彼が、生き残るうちに近藤・沖田の素質を吸収し、硬軟あわせもつ人物となって行きます。「武士道とは死ぬことと見つけたり」とはよく言われる台詞ではありますが、何のために「死ぬ」のか。主義・主張・野望・我欲。それは人それぞれですが、ただ人のため、信じる人のために「死ぬこととみつけたり」。その存在になりえた土方に感涙。
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大ブレイクまではないもののここ最近地味に盛り上がって来ている新選組。
史実や隊士各々の生き様はもちろん変えることは出来ないのだが新旧それぞれの作家陣が近藤や土方ばかりではない一隊士の新たな側面からこだわりの個性を際立たせていることは興味深い。
6名の競作、悪人でない芹沢鴨や名実を捨て家族を守るために剣を抜く斎藤一、そしてなんと仏の副長土方などの魅力満載のラインナップ。なかでも新進気鋭の小松エメルさんの藤堂平助が良い。
「女にはわからねぇよ!」の痩せ我慢にも似た男の矜持をこんなに見事に女に描かれては新選組もまこと形無しであるな
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新撰組をこのシリーズで扱うなら、是非とも池田屋に絞って欲しかった…。うーん、残念。
とか言いつつ、心が躍ってしまうのはどうしようもない。
結局、好きなんだよねえ新撰組。
永倉、斉藤の二人の話が好き。
明治の世に生き残ったこの二人。だからこそ人間性とドラマに深みが出る。そして、がっちり男臭いのがいい。やはり、それこそ新撰組らしい。
反対に早逝した芹沢、藤堂、山南、沖田には、それこそ無念のドラマが生まれる。そして近藤と土方。トップにはトップの物語がある。こうした様々な人が混ざり合う、群像劇としては最高の舞台なのだなあ。
小松エメルは気になっていた作家。初。
思っていたより内面にぐっと迫る。
違う作品も読んでみたいと思った。
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この決戦シリーズはずっと読んでみたかった。それぞれの作家さんのお話が、独立しているようでつながっているようでもいて、結成から函館までが読める。
2017/11/18
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初めて読んだ決戦!シリーズ。新撰組(浪士組)結成時から函館戦争までを各作者によって沖田、近藤、藤堂、永倉、斎藤、土方それぞれの視点で物語が語られる。
どの物語も個性が光っていて面白かったが、私は特に戊辰戦争を描いた最後の3つ(永倉、斎藤、土方)の物語が特に好きだった。新撰組というと京都でのイメージが強いけれども、戊辰戦争こそ彼らの生きざまの真骨頂だと思う。
また永倉と斎藤の物語では、戊辰戦争後も生き残った彼らの姿が描かれていていたのもよかった。
そして「慈母のごとく」での仏の土方さんがとても魅力的だった!京都での鬼の副長が函館戦争では隊士達から母のように慕われていたという話は有名だが、なぜ仏の土方に変わったのかという流れが近藤の死と上手く絡めて語られていて面白かった。函館戦争時の土方は亡くなった近藤、沖田の性質を取り込んだような性格になったのだなと。
本作は複数作者によって書かれているため物語によってそれぞれの考え方が異なっていて混乱することがあったり、短編のために掘り下げきれていない場面が多々あるのが残念だが、新しい作者との出会いという意味でも決戦!シリーズは面白い企画だと思う。
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6名の作家が描く「新選組」。
特に後半の3作品が面白かった。
永倉新八、斎藤一、土方歳三の「新選組」その後の話が興味深い。
多くの仲間を失った後、それぞれの形で「明治」を生きる3人の姿を辿るととても感慨深い。
あの頃を振り返ると全てが鮮やかな夢のよう。
ただの暗殺集団等と悪く言う輩も多いけれど、不純なものなど何もなく「新選組」には確固たる「義」があるのみ。
時代も移り変わった今、男達が懸命に守った「義」は一体何処へ行ってしまったのだろうか。
時代の激流に流されながらも、無我夢中で生き抜いた男達の生きざまはやはりカッコいい。
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人気作家の新選組アンソロジー。時系列に並んでいて読み進めやすい。それぞれの主人公の視点から見た新選組結成時から五稜郭まで。沖田と芹沢の話、会津での斎藤の話、北上する土方の話が特にグッときた。
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新選組に起きた出来事を複数の作者がリレー形式で、主要人物の目線から描いた短編集。
史実から知られる隊士の性格も踏まえつつ、創作もあることを踏まえながら、本当にこんな会話していたのかもしれないと想像しながら読むと尚楽しい。
個人的には沖田総司と芹沢鴨の話が好きだった。
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面白かったです!決戦シリーズがついに幕末まで、新選組それぞれの話とても面白かったです。決戦!新選組のTOP3は①葉室麟さんの「鬼火」、②天野純希さんの「死にぞこないの剣」、③木下昌輝さんの「慈母のごとく」でした。
鬼火・沖田総司
戦いを避ける・近藤勇
足りぬ月・藤堂平助
決死剣・永倉新八
死にぞこないの剣・斎藤一
慈母のごとく・土方歳三 でした。
ちなみにぼくが好きな新選組隊士TOP3は
1、沖田総司
2、山南敬助
3、斎藤一 です。
決戦!新選組とても面白かったです。【小5】