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川上未映子による村上春樹へのロングインタビュー。
村上春樹にとって小説を書くとはどういうことなのかを説明する時の喩え話が興味深く、合点が行った。
一階が共用の場所、二階がプライベートルーム、地下一階が自我で通常の私小説はここが舞台、そして地下二階が作者自身にもわからない心の闇の世界。そこへ行くには壁抜けしなければならず大変な労力を伴うという。
確かに「世界の終わり~」「ねじまき鳥クロニクル」「海辺のカフカ」「1Q84」「騎士団長殺し」は壁抜けしてその世界と行き来していた。
地下の話は、優れた音楽家とは何かという話に繋がっていく。
グレン・グールドの演奏は右手と左手のスプリット感が独特で、乖離の感覚と、乖離されながら統合されている感覚を生み出し、それが本能的に人の心を強く引きつける。この危うい感覚こそ彼が地下二階まで到達している証だという。グールドの凄さを言語的に表現できるとは。さすが村上春樹、とても感心した。
そして自身のスタイルを洞窟の中で語り部として集合的無意識に語りかける「洞窟スタイル」と語ったり、具体的な創作の方法論や過去作の話などどれも興味深かった。
村上春樹の全てを知れたとは思わないが、かなり深く理解できたと思う。「騎士団長殺し」の余韻が残る中で読んだが満足できる一冊であった。
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読むのにだいぶ時間がかかってしまった。
辛いことに遭った人をネタとして使わないために、それらを題材にしたフィクションは作らないって話、
わたしはそういう本も読んでるけど、スタンスとして村上春樹はとてもいいなと感じた。
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川上未映子さんの春樹フリークっぷりがすごい。作品の内容について本人よりよく覚えてる! すごいよほんと。わたし全然覚えていなくてそれにも驚いた。。
あと川上さんは、フェミニストなんだね。知らなかった。
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村上春樹さんのファンなので図書館で借りて途中まで読みました。
春樹さんの部分はとても楽しく読めるのですが、本文の半分以上をインタビュアーが占めているのは何故?
あと前のめり過ぎて、しんどい。
途中まで頑張って全部読んで途中から春樹さんの部分だけ読んで、疲れて最後まで読む?になりました。もっと編集してくれたらよかったのに。ああいうダラダラなインタビューはいかがなものでしょうか?
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ただし、本当に、忘れたり気にしてなかったりというのは、そう簡単には信じない方が良い。
春樹作品のリンクやこだわりの様を見ているとさ。
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おもしろかったです。
興味深かった、という方が正しいかな。
最後の方で村上春樹さんが、「とにかく字面を見ているだけで、牡蠣フライが無性に食べたくなってくるような文章を書きたい」とおっしゃっていますが、そういう意味では、この本を読みながら、無性に小説を書いてみたくなりました。
それは、小説家としてデビューしたいとか自分にも書けるとかそういうことでは全然なくて、この本で言われている「自分の地下二階にあるものを物語として語る」っていう行為を体験してみたくなった、っていう意味です。
以前からそういう話は一貫してされていたので、そのこと自体は目新しい話ではないのですが、でも、ここまで詳細に具体的に語られたのを読むのは初めてだったので、すごくおもしろかったです。
川上さん、グッジョブです。素晴らしい。
子供のころに絵を描いたり、友達と自分が描いたマンガを見せあいっこしたりした時の経験を総動員してみれば(それが私のクリエイティブ経験の限界・・・笑)、村上さんが言わんとすることはなんとなく分かるような気はするんですが、「突然騎士団長とか顔ながみたいな変なものが出てくる」とか、あるいはもっと具体的な話、騎士団長の時はいつごろ初校を上げて、そのあと何字くらい削って、みたいな話などを読んでいると、自分の無意識の領域にはいったいどんな物語が眠っているんだろう?なんて自分でも探ってみたくなりました。
誰にでもそういう物語はあって、でもそこを商品にできるような技術を持った人(語り部の才能を持った人)が小説家になる、っていう考えはおもしろいなぁって思います。
自分の身近な人の話も読んでみたいなぁとも思った。
特に、小説なんて書きそうにない人の小説を。
うちの夫なんて、クリエティブさは日常生活では一切出さないし人にも求めない人ですが、ベースがけっこう変わっているので、おもしろいものを書くんじゃないかなぁ、などといろいろ想像してしまった。
地下二階に下りていってそれを物語にするという行為は、すごく体力がいるし「危険なことだ」とも村上さんはおっしゃっているし、私が自分の、あるいは身近な人の物語を気軽に試し読みするようなことは難しいでしょうが、そういう神秘的なプロセスに非常に好奇心をそそられました。
しかし、インタビュアーのしゃべりが圧倒的に長くてビックリ。徹子の部屋レベル。
川上さんは本当に村上春樹さんのファンなんだなぁとなんだか神々しくすら思いました。これ以上のインタビュアーは村上春樹さんに関してはいないんじゃないかしら。
おまけですが、「僕の書いているものは、けっこうポリティカルだと僕自身は思っているんだけれど」というところ、えーーーっって声に出して笑って…あ、いや、びっくりしました。
絶対ここ、川上さんもそんな答えは予期してなかったんじゃないかな? その直前の言葉から察するに。
いや、否定しているわけじゃありません。
ただ単に、村上さんの小説がポリティカルだなんて、そんなこと考えたこともなかったので、衝撃が・・・。
確かに、作者がそこまでハッキリ言うなら、ポリティカルと読めなくもないかな?
ただ、そういう意味では、この世にあるものすべて、ポリティカルに読もうと思えばそう読めるな、とも思いました。
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村上春樹も川上未映子も良い読者ではないが、緊張感と真摯さと親愛感が伝わってくるインタビューだった。
善き物語は人間の精神を支えてくれる。春樹さん、わたしはハルキストではないがその通り、あなたの言葉に深く共感します。
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村上春樹さんのファンにとって
聞けて嬉しいことがたくさん書かれてある本
なのに…
なぜか途中までしか読めず、しかも私の場合
引越しのどさくさで紛失してしまった
なぜ?
なぜなの?
しかし、ハルキストの友人(女性)と先日会ったら
全く同様のことをいうではないか
これは…たぶん…
お互いにうっすら思っていたことを言い、答え合わせをする
川上未映子さんへの、嫉妬である。
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川上さんの村上作品への愛がすごかった
それに全然退屈しない素晴らしい本だったなぁ
フェミニストとしての意見も良かった。たくさんの女性登場人物についての話が聞けて楽しかったなー。
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芥川賞作家の川上未映子氏による村上春樹へのインタビュー。
熱心な春樹ファンである川上氏の質問は、的確で深く、村上氏が答えやすそうな場を作っています。
文学を愛する文学者同士が親密に語り合う場に、自分もお邪魔しているような気分で読み進みます。
一愛読者であるからこそ、聞いてみたい事柄をあふれんばかりに準備してきた川上氏。
互いに誠実な受け答えをしています。何回かに分けて行われたインタビューは、総11時間に及んだとのこと。様々な質問から、著者が語る村上ワールドが見えてきます
人の話を引き出すインタビュアー。やはりその人によって、相手の語る内容は違ってきます。時に聞き古したような質問を受けて、退屈そうな反応を見せる村上氏の記事を読むにつけ、あまりインタビューを受けるのは好きではないのかと思っていましたが、川上氏の情熱に取り込まれて、普段は見せないようなラフな一面も見せてくれているよう。
私は概して村上作品は好きですが、往々にして女性が男性の犠牲となる描かれ方に、耐えがたい思いを抱くこともあります。フェミニストだという川上氏は、猶更その点が気になるようで、村上氏に真っ向から女性の立ち位置に関する質問をしていました。
村上氏は無自覚のようで、あまり納得のいく的を得た答えではなかったのが残念でしたが、聞きづらいことを避けずに敢えて踏み込んだ、川上氏の勇気に感服しました。
かなり踏み込んだ質問もあり、最終的に村上氏に「しかしこれ、すさまじいインタビューだった。あと二年くらい何もしゃべらなくてもいいかも」と言わしめた川上氏。
とても読み応えのあるインタビュー集になっています。
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「みみずくは黄昏に飛びたつ」(川上未映子 訊く 村上春樹 語る)を読んだ。
帯にある『ただのインタビューではあらない』には思わず笑った。
「ほんまかいな。村上さん、率直に語りすぎでしょ!」というくらいに川上さんとの掛け合いが面白いですよ。
もう一度「騎士団長殺し」読もうっと。
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読みたいリストより。文庫化を待望していた。
興味深かった、長編を何回も読もうと思った。「職業としての…」は未読なので読みたい。
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面白い!
この前小川洋子さんがどうやって書いているか語った本を読んだばかりなので、いろいろなやり方が確立されて行くのだ、だからこの人はこういう小説を書くのだ、というのが腑に落ちて興味深かったです。
語り口、文体を大事にしているからこういう小説たちが生まれるのだなと納得。
抽斗のこと、それぞれの作品で試みていたこと、地下二階のこと。
彼の文章や取り組み方のスタイルはやはり特殊なのだな…。
作家がインタビューするからこその面白味がある。
「インタビューを終えて」がまたよい。
でも、読んでて気づいたんだけど、春樹の小説結構読んでるのにほとんど忘れてる私。
もともと読んだ内容忘れやすいとは思うんだけど、キーワード聞いても思い出せないくらい忘れてるのとかあってびっくりした。異常に覚えてない。
なんかあるんだろうな。それこそ、文体とかに。
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いわゆる日本の純文学というジャンルや文壇と呼ばれる世界から一線を画している村上春樹。なぜこうした構図になっているのかがよくわかる1冊であった。
彼が描く世界は地下2階/自我を描く純文学は地下1階。
彼が重視するのは文体/純文学はテーマ第一主義。
これはよく知られる話だけど、村上春樹は締め切りもなく、依頼を受けて小説を書くこともなく、他の作家とは仕事の仕方が全く異なる。
簡単な言葉を使って丁寧に受け答えされてて、おっしゃることは何となく理解できるのだけど、すごく感覚的で到底彼の芯の部分に触れられている気がしない。でもやっぱり異次元にいる人なんだなということだけははっきりとわかる。
川上未映子は、読者が聞きたいことを「矢継ぎ早に」かなり代弁してくれている。彼女自身相当熱心な読者であり、村上春樹よりも村上春樹に詳しい(かなり入念な下準備をされているのだろう)。インタビュアーへの尊敬の念が紙面からしっかり伝わって来たのがよかった。満足したのは読者だけではない。「退屈している暇はなかった」、これはインタビュイーに対する最高の賛辞だ。
『騎士団長殺し』も早く読みたくなった。文庫化はいつだろう?
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最高。
村上春樹よりも村上小説に詳しい川上未映子。
鋭い質問に村上春樹もかなり正直に答えているように見える。
物語は意味ではないし、文章そのものである。
今後の小説の読み方の指針になる。