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内容は電子書籍が多め。公共図書館がデジタル情報環境に対して動かなさすぎるという危機感を持って書かれた図書。はじめの方は電子書籍の出版状況や米国の状況などが書かれている。その後日本の図書館の電子書籍の状況そしてデジタル情報環境へと広がっていく。
個人的に興味深いのは米国の電子図書館いわゆる本のない図書館はどちらかというと貧困層の多い地域に建てデジタル・ディバイドをなくす、という方針でなるほどと思う。今後の流れとしては情報のアクセスの保障、ウィキペディアタウンなどの広義の電子書籍作成などの流れが出てくるみたい。電子書籍の購入の手続きも行政では扱いが難しいらしい。デジタル情報の扱いについて整理しないと時代に取り残されるようだ。というか自分も勉強しないと…
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▼現場課題1.紙媒体とデジタルを戦わせがち
・図書館にとって当初デジタル資料は異物であった
・図書館が管理提供するべきものとして、紙資料とデジタルの対立図式が生まれる
・地域性や専門化のひとつとして、デジタル資料の整備状況についても特性があっていい ⇒ただしメディアコレクションとして明確なコンセプトの明示、利用しやすい環境整備、十分な質量のデバイスや利用案内、対応できる知識と技術が必要
▼現場課題2.公共と学校を対比させがち
・電子図書館はなぜ複数館を建設するのか? 各館ごとにでデジタル資料を集めるのはなぜか? 学校でBYODの普及を促す理由は?
⇒様々な世代や立場の利用者を想定したアクセシビリティについて考える
・世の中のテキストが遍く電子化されている今、電子書籍を読む環境をつくることも図書館教育のひとつである。高校は特に、公共図書館に近い機能を持たせる必要があるのではないか?
・学校図書館においてデジタルアーカイブの概念が広まらない理由とは?
⇒館として極小規模であり業務がダイジェストになりがち
⇒継続的に勤務できない職員制度の問題
⇒一人職場であるがゆえの同僚との意識共有や継承の難しさ など
⇒館としてより学校としての動きが優先される
⇒館同士の接続が困難
・教育委員会や公共図書館とのつながりにより解消できる面もある
・流れては消えゆく情報を留めておくという機能に特化すれば、文化の継承地点としての教育現場だからこその強みもあるのではないか
▼現場課題3.自分をアナログ人間と定義しがち
・スマホを学校図書館へ持ち込ませたがらない
⇒管理者である学校図書館で自分が理解できないものが蔓延る不満
・紙資料の電子化、デジタルコンテンツの収集と提供、デジタルアーカイブの構築や蓄積、情報提供のためのネットワーク活用、どれもデジタル活用の一例である。「利用者が求める知識に対して、最適の情報源にあたり、最適の形態で提供する」のは図書館の基本的な機能。それをシンプルに追求し、自然と選ばれるであろうものを先取りしていくための意識共有。そのための研修設計が必要になるのでは?
▼今後の自分課題
・独自性と普遍性について
・「デジタル時代の公共図書館における5つの将来像」(p208-)を、学校図書館で考えてみる
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リプレイスに向けて、地域の人が書いた本を電子図書資料として貸し出せる仕組みは?と言う話を冗談みたいにしてたけど、この本の伊藤倫子さんの論考で、アメリカミシガン州のアナーバー地区図書館では執筆のノウハウの講習会をし、図書館が編集、校正、レイアウト、カバーデザインまで行う出版社を立ち上げているのだと!あと、郷土史家がボランティアで図書館が主催するシンポジウムの資料や所蔵資料の復刻をして、それを資料として編集、出版するプロジェクトがあって地域のコミュニティカレッジの教材として使うとか!すごいすごい、ワクワクする〜。
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植村八潮・柳与志夫編『ポストデジタル時代の公共図書館(ライブラリーぶっくす)』(勉誠出版)
2017.6.5発行
2023.2.5読了
【目次】
まえがき
1 電子書籍・電子図書館が抱える「下部構造的」問題/吉井順一
2 米国公共図書館の電子書籍サービスの発展/伊藤倫子
3 電子書籍のもたらす改革と図書館の反応/植村八潮
4 日本の大学図書館における電子コンテンツサービスの現状と問題点/入江伸
5 公共図書館におけるデジタルコレクションとデジタルサービスの位置づけ/野口武悟
6 電子図書館からデジタルアーカイブへ/渡邉太郎
7 電子書籍と公共図書館:デジタルアーカイブという可能性/柳与志夫・松永しのぶ
8 公共図書館の未来とデジタル化への展望/田村俊作
あとがき
URL:https://id.ndl.go.jp/bib/028212921