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忌み家を寄せ集めて建てられた巨大な家についてのお話。そこで過ごした人々の手記が面白かった。すごく怖いというわけでは無いけれど、じわりと怖い。作者の著書の紹介が多数登場するのが?これは現実に起こっている話と思わせる手段なのかな?
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人が死んだ家の一部を蒐集し組み合わせた"烏合邸"。編集者から烏合邸にまつわる情報が主人公の元にもたらされ…。
幽霊屋敷シリーズ2作目。
シリーズ2作目ですが、主人公と編集者三間坂の「頭三会」が怪談について語る形式が同じなだけで、出てくる怪談は前作とは別物です。
不吉なことしか起こらなそうですね、烏合邸。
謎解き要素は前作より薄めになったかなぁ
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今作は特に中盤以降、ちょっと眠かった。残念。怖くない訳ではないのだが、小説として少し退屈だった。
家の間取りが文章だけでは想像しにくかったことや、実話という体なので現実時間の流れとか信憑性を出す為かもしれないが、作者さんの他の本の紹介など、「いるかな?」と感じてしまった。前作はあんまり気にならなかったんだけどなあ。
え、本当に本当の話なの…?と思える程には説得力がなかったし(逆にそこがリアルなのかもしれない…)、エンタメに振り切ってもいないので、微妙であった。
登場する4つの記録の文章は、それぞれ違う人間が書いたものとは考え難い。似てるので。でも実話だとすると、読者に障りが出ないように態と作者が書き直したのかもしれない。とか。
次作で今回のネタは出るのかな?
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三津田先生はお母さんの日記テイストで怖い事書くとほんとにもうとんでもない怖いものができあがってしまいますね
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昔の金持ちが不吉な土地に事故物件を集めて作ったハイパー事故物件にまつわるホラー・ミステリー。
今はなき九龍城砦のような、増築を重ねすぎて訳がわからなくなっている建物は妙に人の心を惹きつける。人の手で作ったはずなのに、それ自体に有機的なシステムがあるような謎めいた人工のジャングル。建物内を歩くだけで探検になってしまう。
そこに事故物件の要素が加わったときたらそりゃ大変だ。という訳でワクワクしながら読めた。途中、右とか左とか、建物内を歩き回る単調な描写について行けなくなったりもしたが、古びた見知らぬ家の中を歩いている感じは疑似体験できた。化け物のはっきりしない描写や、不可解な動きをしつつも迫り来る感じだけは確実なのもなかなか怖かった。
ただ、お話よりも作中で紹介されていた二笑亭が気になった。精神を病んだ男が作った不可解な家だそうだ。家主の渡辺金蔵が脳病院に入れられたというからにはとんでもない代物なのではないか、と無駄に期待が高まる。唯一、二笑亭を記録してある本といわれる『二笑亭綺譚』復刻版には赤瀬川源平の名前も連なっていたので、一種のトマソン建築なのだろうか。現存していないのが残念だ。今なら観光地になるだろうに。
九龍城砦も二笑亭も、あと、おそらくはこの烏合邸も、現存してないというのが寿命のある生き物のようでもある。自分たちと同じく、何となく生まれ、成長して、また何となく消えてゆく存在と思うと、恐怖の烏合邸にもどこか切なさを感じる。
あと、古い家というのも、ある意味それだけで謎に満ちた空間だよなと読みながら思った。
よくわからない納戸、戸袋、屋根裏、仏間、物置、薄暗くて狭い階段に建物の端にある厠。昔の人にとっては当たり前でも、今の人には薄暗がりに満ちたジャングルだ。ジブリではそこにマックロクロスケが潜んでいて、本書では黒い謎の化け物がのそのそ歩く。個人の人生が染み込んだ建物すなわち住居という特殊性について考えさせられる。
しかし、変な話、烏合邸の外観描写を読みつつ思い出したのは三鷹にある荒川修作の天命反転住宅だった。あっちはカラフルでボコボコした巨大なオモチャの塊のような集合住宅だ。しかも建築によって天命を反転させるという「住人が死なない建築」なので、コンセプトも真逆なのだが。
古い家、集合住宅、増改築によって成長する有機的建築、なかなか面白いテーマだった。
ところで『どんな家にも怖いものはいる』においても先生と三間坂青年の関係性が良かったが、今作でも2人で楽しそうに乾杯しながらホラーを探求しているのがホラーの箸休めになって良かった。たぶん受付の青山と三間坂はできてない。このコンビでもっと読みたい。