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感涙のクライマックス。
「最後の夏」は何度も来るのだ。
これも高校野球の醍醐味の一つなのですね。
この時期に読むのは最高だなぁ。
大矢さんの解説も素晴らしい。
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やっぱり高校野球はいい! 3年間という限られた部活動の中で無心になって白球を追いかける姿が熱い。我が息子の暑い夏は昨年終わってしまったが、この小説を読んで、また沸々と何かが熱くなるものを感じることができた。
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県立高校野球部を舞台に、先輩から後輩へ託されてきて夢と、それぞれの夏を鮮やかに切り取る青春小説。
(以下ネタバレ注意)
1話の“ 敗れた君に届いたもの”でボロボロと泣いてしまいました。よくある野球の試合で格下が格上を逆転する話なのですが、格上の学校目線で書かれていて、試合でのまれてしまう彼らに心がギュッとなります。
2話3話4話と続いての5話“ 悲願”も涙が自然とこぼれました。全てが繋がり北園高校野球部が悲願を果たしに行く姿は素敵でした!
やはり高校野球は胸にグッときますね。
しかし“ はずれの世代”って残酷な言葉だなぁ
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ちょうど一週間前、甲子園で準々決勝を観戦してきました。テレビじゃない甲子園は初めての体験でした。目の前で繰り広げられていたのは高校野球というスポーツなのですが、スポーツというよりもある種の神事のようにも思えました。それはいかに夏を終わらせるか、高校での野球生活を終わらせるか、たった一回の終わりの瞬間に向けてすべてが駆けていく祭りのようでした。阿久悠が甲子園はたった一校以外はすべて敗北する大会だ、と言ったことがありますが、土と汗にまみれた全力の負けが、この季節の日本人の記憶に重なり合うのかもしれません。高校生にとって一回だけの一瞬だけの敗北の墓場が甲子園という場所なのだと改めて。「夏の祈りは」は敗北の集積地は甲子園という場所だけではなくてそこに行き着く前の高校野球部も一回一回の負けを繋ぎ合わせた敗北のクロニクルなどだ、という設定が面白い小説です。一人一人の物語は一夏一夏の敗北ですがすべてが繋がりあって、長い長い物語になっているのが巧み。何しろ公立の進学校で文武両道的な野球部、そのものが主人公であることに読み進むと気づきます。100回大会を翌年に控えた2017年今年の夏の物語なので、すぐ読んでよかった。三本松も凄かったなぁ。彦根東も頑張ったなぁ。
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甲子園。記憶にある一番古い試合は、地元・三池工業が優勝した試合(第47回大会)なので、かれこれ50年以上も見てきたことになる。
社会人になっては、子どもの頃のように殆ど全ての試合を見るようなことは出来なくなったが、今でも大会期間中の土日はつけっ放しに近い。
今年の大阪桐蔭vs仙台育英戦、9回2アウト1,2塁でゴロを捕った遊撃手が二塁に投げなかった瞬間に小さな違和感を覚えたのだが、ボールが来た一塁手はどうだったのか。
あの時、彼がきちんとベースを踏んでおけば、翌日の試合は大阪桐蔭vs広陵となったわけで、たらればは無いがそれでも、温存していた桐蔭のエース・徳山に対して広陵のスラッガー・中村が記録に並ぶホームランを打てたか、などという久し振りに妄想を掻き立てられる結末ではあった。
さて、この本、大会が終わってから読むのは少し気が抜けたサイダーって感じにならないかを危惧したが、どうして、寧ろ暑い夏の記憶が甦ってきた。
埼玉県で公立且つ進学校ながら、野球でも強豪としてならす北園高校硬式野球部を巡る30年の歳月の物語。
第1話。1988年、学校としての節目の年にOBをはじめとした周囲から甲子園出場を期待される世代のキャプテン。
最後の試合が終わって、一番うるさかったOBのひとりが「ありがとう」と声を掛けたところには、うんうんと思った。
私も旧知の人が監督を務める学校を応援し、今年こそはと思っていたが、4季連続の今年の夏が一番短い大会で終わってしまった。だけど、いい夢見せてもらったと思った。これが自分の母校や自分が野球部のOBだったら尚更だろう。
第2話。1997年~98年、80回の記念大会で県から2校出場できる機会に私学4強を倒すために学業を犠牲にして挑むバッテリー。
今年も公立校では三本松がベスト8まで残り、わが故郷の東筑や前に住んでた滋賀の彦根東など県下では有名な進学校も出場していたが、今や公立が私学を倒すのは並大抵ではないわな。
大会中にも下関国際の監督の「文武両道などあり得ない」という持論に武井壮が噛み付いたとかで話題になったが、確かに両立は難しかろう。
しかし、野球を全てに、授業は寝て過ごすというのは、些かどうかな。
第3話。2008年、今度は90回の記念大会を控え、皆と甲子園へ行こうと裏方に徹する女子マネージャー。一方、期待されて入部しながら硬球の怖さから抜け切れずマネージャーとして生きたいと悩む男子生徒。
野球をやりたくて出来ないから裏方をやる女子、裏方が向きと思っていても野球で期待され重荷を感じる男子。
人の思いはそれぞれで型に嵌らないが、世間は型に嵌めたがる。
昨年夏に大分の女子マネージャーがノックのボール渡しをしていると大会関係者に注意されるということがあったけど、この世界、こういうところはいまだに頭が固い。
今年の春から制限付きでグランドに出るのはOKになったけど、そう思えば、かつての女子マネージャーの人たちは、この本にあるように裏方に徹するしかなかったんだよな。
第4・5話。2017年、優秀な選手が集まった上級生と下級生に挟まれた“ハズレ”の世代のキャプテン。
県大会決勝戦、ここまで悩んできた彼が伝令を出そうとする監督を止める場面、悠々と代打の打席に向かい初球を叩く場面。いや、涙腺が緩むな。
第1話の負けが30年の時を経てこの場面に繋がる。一人ひとりの選手には“最後の夏”ではあるが、私たちにとっては夏の共同史。しかし、清原の夏から、もう32年経つのだな。
『ただ泥まみれになってプレーするだけが野球じゃない。とくに高校野球は、日本をあげての巨大な祭りみたいなものだ。参加する方法や、好きである形はいくつもあっていいんだよ』
秋季大会の組合せも決まり、既に来春への戦いは始まった。そして、そこから繋がる100回目の夏を、楽しみに待つ。
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高校野球甲子園関係は食傷気味なので、普段は手を出さないのですが、須賀さんだしな、読んでみたいなと思って購入しました。
主人公を変更しての短編がいくつか入っているんですが、舞台はすべて同じ高校。年代を変えて甲子園に絡んできます。このことによって、一生のうちの3年間だけではなく、何代にも受け継がれていく思いの強さと、特別さを感じました。年代、立場、考え方、思いの幅の広さ。共通点の中で生まれてくる繋がりがいいなと思いました。
久しぶりに、高校野球もの他も読もうかなーと思いました。
でも、甲子園自体全然見ません。今年もどこが優勝したのか知らないし、出身県はどの高校が出たのかチェックするくらいでした。地元の高校が代表で出なくなってから見なくなりましたね。職場がとなりだったときは、夏前からブラバンの練習が聞こえてきて、いよいよだなーと思ったものですが。
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悲願の甲子園を目指す文武両道の県立北園高校の30年を描く、高校野球が舞台の青春連作小説。
解説の大矢博子さんの言葉通り、高校生活は三年、そして最後の夏は一生に一度。永遠にも感じる一瞬の夏は、球児にも我々にも時間的には等しいが、その密度は全く異なる。先人から後輩に託される夢と伝統が、とても美しく感じて神々しい。白球を追う全ての球児に栄冠は輝く。
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【収録作品】一話 敗れた君に届いたもの/第二話 二人のエース/第三話 マネージャー/第四話 ハズレ/第五話 悲願
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甲子園、すごい威力を持った言葉、なんだな。今年の優勝校は埼玉代表だった。その、埼玉大会のお話。時代の流れを感じつつ、面白く読めた。私の高校時代、こんなに熱くなかったな。楽しかったけど。
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連作短編5編
悲願の優勝を目睫に,それぞれの世代の青春を駆け抜ける.球児たち.OB,監督,女子マネージャー,トレーナーなどの様々な立ち位置に視点を変えながら,公立の北園高校の野球部の熱き流れが受け継がれている様子に感動する.
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17/10/07読了
世代を超える群像劇。二人のエース、悲願が好き。高校野球が舞台なのに、熱い友情も恋も出てこず、爽快感もさしてない、なのにしみじみよい。
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北園高校野球部の連作短編。昭和最後の年から始まり、短編ごとに時代が移り変わり、今年の夏で終わる。活躍する球児だけにスポットを当てるのではなく、女子マネージャーや、ハズレ世代の主将などが主人公となっている。「悲願」では、主将の葛藤や悔しさ、そして甲子園への熱い想いが伝わってきて胸が熱くなった。前の短編に出てきた球児が、監督やトレーナーになって、再び北園高校に関わっているのも良かった。彼らの夏は、繋がり、受け継がれている。
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すごく好きな連作短編のカタチ。主人公たちのその後が後の話にそれとなく描かれている。
読んだ年齢によって感じ方が変わるようなお話でした。
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2017.11.5.公立ながら県内では野球の伝統校北園高校野球部を描いた短編集。短編集ながら全体が繋がっている連作短編集なのだが、高校野球というものの持つ特色が生かされる構成になっていてとても興味深かった。どういった繋がりがあるかを知らないまま読んだ方が面白いと思う。最後の作品が集大成になるのだが、すごく感動し、涙が出た。
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甲子園まであと一歩、二歩。強豪の一角としてつねに「そこそこ」まで闘ってきた北園高校。
今年こそはと期待された主将、全く違うタイプの二人の投手を引っ張る捕手、マネージャーとして闘う女子、そしてハズレ世代と呼ばれるのを挽回しようと優等生として引っ張ろうとする主将…。彼らそれぞれの年にそれぞれの想いが秘められた高校野球を熱くそして冷静に描いた物語。
けしてスポ根ではなく、友情ものでもなく、ましてや恋愛を絡めてもいない。彼らひとりひとりと野球、甲子園の関係を彼らに等しい視線で描いた物語です。
だから野球が好きならば、もしかしたら好きでなくとも、ふわっと思わず熱くなるし涙するし、応援したくもなる、と思います。そういう共感力に満ちた、素敵な小説でした。
今まで作者さんの作品は軍事物など重い風味のものを読んできたので、こういうのも書けるんだとフィールドの広さに感服しました…ほかの高校野球を舞台にした小説も読みます!