紙の本
読む人を選ぶかな
2020/09/24 06:10
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:やじやじ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ネタバレあり
これは読む人を選ぶ本だと思います。
インモラルとかそういう次元の問題でもない気がしますが。
愛や甘さが必須な方は読まない方が良いです。
作者があとがきで「清々しいエロ」って書いてある通りの作品です。
エロと言っても官能小説でもない。
なぜなら情緒とか情愛とかが介在しないから。
むしろそこらへんのものが排除されている。
「心と体と頭はつながって流れていく」みたいなものは一切ない。
そこがすごい。
すごすぎて怖い。
ぞわぞわとする感じ。
「鈍色の華」「鈍色の果実」
情とか愛とかを排除したところにいる欲。
かなりの毒です。
そして、鈍色は古来は喪服の色でもあります。
始まりは現実ではあり得ないだろうが・・・
ちょっと笑えるくらいのパワハラ・セクハラ満載の事態です。
でも、そんな非人道的な行為により
咲かなくても良かった毒花が咲いてしまう。
セッテイングした兎河社長が一番の悪者かと思うけど?
ここで悪者とかいうのもなんですけど。
(あとで足元掬われるのですけどね)
ちなみに兎河姉は素敵です。
花開いた毒花は妖しい毒の香りで獲物引き寄せるけど
それは愛ではないんだよねー
そこの描き方がすごい。
ダンも兎河も毒にやられてしまった。
(兎河社長のどはまりぶりに鶴谷の魔性を見た)
それ(執着)は「愛」と言っても良いけれど、
返されるものはない。
食虫花は自分に嵌った虫に情はないのです。
ただむさぼるだけです。
だからこの物語は、果実の最後の一文がすべてだろう。
この一文に収斂されている。
鈍色、
髪の毛か、空の色か、あるいは
喪の色であろうか。
漆黒の華
すべて鶴谷の話かと思ったら、
こちらは鶴谷にふられたダンの話でした。
(鶴谷には金もかけたのにねぇ、でも自業自得としか思えない)
こちらの相手は小悪党で下種な佐川。
痛い目にあえばよいと思わせるくらい浅はかでゲスな人間ですが、
まあちゃんと痛い目にあいます。
彼女とのシーンは・・・挿絵の彼女同様どん引きになりました。
(彼女にとって、絶対トラウマ案件です…気の毒)
まあ、佐川は自業自得な目にあってますから、
状況的によしとすべきか
しかしダンの趣味の悪さと執着の異様さは元々?
それとも鶴谷のせい?
情緒も情愛もないですが、肉欲と執着はありました。
それも愛といえば愛かな。
ラストはダンも佐川も
それなりにな状態なのでよしといえばよし?
(そうなのか?本当にそうなのか???って何度も問うけど)
鈍色と漆黒・・・やっぱり一義的には二人の髪の色ですかね。
私は鈍色が良かったなぁ。
佐川のゲス加減は鶴谷の魔性にはかなわないです。
唯一気になるといえば気になるのが
50近い男を初老というあたりかな(笑)
ちなみにBL本ですがLOVEはひとかけらもないのでご注意を。
評価的には☆3.5でいつもなら4にするところですが、
これはすごく読む人を選ぶと思うので3にしておきます。
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同人誌とかコミカライズで気づかなかったけど、ほんとに久しぶりの新刊。
アンソロ『エロとじ』収録の短編に続編とスピンオフを加えた、センセらしいエロがてんこ盛りのストーリーでした!
白髪もあったりする冴えない中年サラリーマンが、ある日突然社長に呼び出されてハイスペック外国人のおじさん相手に性奉仕することを頼まれてしまう…という、キラキラロマンティックなBL設定からはあまりにも程遠いお話で、これ一体どこに需要があるんでしょうか⁉と思わず突っ込みたくなるにはなりました…(笑)
でもですよ、さすがストーリーテラーの木原センセだけあって、読み進むうちに止まらなくなり、どんどん夢中になってしまうマジックでした。思いもよらない展開で、でもちゃんとハピエンが待っていて、すごく面白かったです。
思いもよらないっていうのは、まぁ、短編を読んだ時にも感じた「3Pのトライアングル」系発展があるのかと思ったら全然違ってて、えっ??と思ったあのラストの衝撃が、続編でまたまた、この二人は運命だったの⁉とか、スピンオフであっ救済完了!!とか、何度もわっ、うそ~!と意表を突かれてしまったというところですね。
…もう、タジタジです。
エロ的には、清々しいほどのエロ特化でした。おじさんのエロが好みか好みじゃないかはわかれると思うけど、とりあえず赤面もののエロシーンが満載でした。
例えば、男体盛りとか、お道具とか、あんなところにタトゥーとかwww
めっちゃ萌えました←
色々BL読んできたけど、魔性の白髪中年男っていうのには初めて出会った気がします…
こっちまで魂奪われそうになります。すごいです…
あと、立場の逆転に萌えました。有り得ないと思ってた相手に気がついたらハマってるパターンですね。
「鈍色の果実」では、ごめんだと思ってた鶴谷に魅入られちゃった社長で、「漆黒の華」では、ゲイでもなかったのにいつの間にかダンの虜になっちゃった佐川。こういうのはツボど真ん中です。
ヒューイのその後も知りたいので、ぜひこちらのスピンオフもプリーズ!です。
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この作家さんの魅力は確かにどこかおかしなキャラクターなんだけども
最近そのおかしさが滑稽であったり
何となく受け入れ難いものに
感じるようになりつつある。
読む私が変化してるのか
キャラがあまりにもワンパターンになってきてるのか
(どこか突拍子もないという設定)。
今回も、目覚めちゃって下半身がだらしない中年のおじさんだけど魅力がある、というギャップ感とか
打算したつもりが思うように事が運ばなくて
逆ギレする最低野郎とか
今までの作品にもいたような、とか思いつつ
読みました。
初めてこの作家さんの作品を手にした時の
面白さ加減はかなり引いてきています。
慣れっておそろしい。
その中にも、何だろう…がっつり訴えてくるものが
だんだん少なくなってきてる気がする。
そこが残念。
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鈍色の華
中年の冴えない男がなぜか会社の取引先の外人に気に入られ華?開いて行く話?
鈍色の果実
その性接待をアテンドしたもののその中年社員の良さなど全然分からない社長。しかし、その取引先外人に身請けしたいとまで言わせ、それなのにそれを断り、まさかの自分に相手をして欲しいと言われいやいやながらも応じたら、すっかりそれに取り込まれてしまい、、、。
漆黒の華
鈍色の華で身請けしたいと言った外人が攻め。その会社の日本支社では外資なのに日本支社の為に通常の日本の会社と変わらない給与体系に不満な受けが、社長がゲイと聞き及び自分の身体を条件に日本本社に引き上げてもらったものの、攻めの拘束に嫌気がさし、しかも女性相手では勃たなくなってきていて焦り出し契約の終了を申し出る。しかし結局女性相手では無理で自分のお尻が疼く始末で!
とどのつまり、社長と復縁することになり、更なる拘束の中に身を置いて受け人生を歩んでいってしまってる、、、。
3つの話では漆黒が良かったかな?ただ、漆黒の社長はもう少ししたらアメリカに帰っちゃうんだけど英語がイマイチな受けのその後はどうなるのかな?アメリカまで一緒にいって愛人生活を続けるんだろうか?
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面白かった!!!
主人公は2人ともクズだけど、面白い!
クズなのにハッピーエンドだとストレスだけど
そういう訳ではないから、
凄く面白かった!!!
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3.8
鈍色の華
海外企業の重役への枕接待をきっかけに男にハマってしまった五十代男性のお話。
って書くとよー分からんけど、最初はノンケでSEXも満足にしたことのないようなおじさんが外国人相手に開発されてしまって男無しでは生きていけないような淫乱になったという感じ?てっきりダンとヒューイの3人のお話かと思ったら最終的には社長に囲われててびっくりした。
にしてもこういう人おるやろなぁと思った。
漆黒の華
受けがむちゃくそ嫌いなタイプで、お前こそ攻めにガチガチにやられて一生攻め様居ないと尻の火照りがどうにもできませんアヘアヘってなれ!って思ってたら良い結末だったなぁ( ˘ω˘ )
ダンは鶴谷にもフラれこのクソ受けにも酷いフラれ方したら可哀想すぎるわと胸痛めてたからホント良かった
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冴えないサラリーマン鶴谷は、何故か社長から性接待を命じられる。気に入ったという提携先である海外の会社の重役ふたりが相手。
冴えない中年に入れ込む外国人。パートナーに迎えたいと言う申し出を断る鶴谷。
鶴谷の魅力が分からなかった社長だが…。
鶴谷がラストにはあんな風になっちゃうなんて。
そして社長も…❗登場人物みんな、何というか凄い。もう1作品は、◯ーター事件とあそこのタトゥーが衝撃的
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「鈍色の華」の描写には耐えられず、「漆黒の華」のみ。
登場人物全員悪人、とまでは言わないが、主人公からして計算高いろくでなし。
悪漢小説であり、ローターの件りは筒井康隆のスラップスティックを思わせる。悲喜劇であり、日本は戦争に負けたんだとしみじみ感じさせてくれる。
いかようにも取れる異色の傑作なのかも知れない。