紙の本
幸福と苦悩
2017/10/29 11:14
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投稿者:鯉狂い - この投稿者のレビュー一覧を見る
18のJ2.J3クラブに焦点を当てたスポナビの連載コラムの書籍化。
Jリーグ誕生から約25年、リーグも3部まで拡大。古参と新参、都市に地方、、、様々なバックボーンを抱えるクラブの多様性が見えてきた中で『名門チームのJ2沼にどっぷりハマった苦悩』『新興チームのJ3到達によう達成感、向上心』等が取材からよく表現されていたと考える。
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宇都宮さんの新著、すぐにAmazonでポチり買いしましたが
やっぱりおもしろい。
これだけ丁寧にJ2、J3のチームを取材され、取り上げられている本もないと思います。
J2降格時のジュビロもしっかりと出ています。
2014年降格1年目。
圧倒的な戦力が擁しながらも、なかなか波に乗れず
最初は湘南、続いて松本山雅の後塵を配し、最終的には千葉にも抜かれ4位。
さらに昇格プレーオフで6位の山形に敗れ、昇格を逃すという全く散々な年。
そんな年で、もうね、懐かしいというよりは思い出したくない黒歴史(;´Д`)
しかもちょうどシャムスカ体制で勝てなくなってきた頃の取材内容で
余計きついです。ただインタビューを受けている小林選手はめっちゃポジティブです。
ブレイク前夜、今から思うとよくぞこの位置から代表、そして世界へと羽ばたいたな、と思いますね。
やっぱよき指導者の出会いは大きいですね。
そんな現在はJ1に返り咲いているチーム(C大阪、札幌、清水)から
なかなか上がれないかつてのJ1チーム(大分、千葉、京都、横浜FC)
地域リーグから昇格してきたチーム(秋田、鹿児島、山口、金沢)
などなど18チームのJ2、J3チームの現状をとっても丁寧に描いた名著です。
5年後また読んでみたい。その時にこれらのチームの現在地はどこなのかと。
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サッカーを主戦場とするスポーツライターで、写真家でもある宇都宮徹壱さんが、J2とJ3のうち18チームの取材をまとめたもの。『スポーツナビ』に掲載されたものもあるので、何カ所か既読感があった。
宇都宮さんのかかれたものを読んでいつも感じるのは、厳しい批評をあえて押さえた温かいまなざしだ。経営基盤の弱いところもあると思われるJ2、J3チームの運営会社。取材経験豊富な宇都宮さんなら、「おや?」と感じるところもおそらくあるのではないかと穿ってしまうが、そんな視線はほとんど書かれていない。これはどの原稿にも共通する姿勢だ。だからいつも読後感がとても良い。新刊が出ると、ついつい手にとってしまうのだ(メルマガ登録は今のところまだ悩み中だけど……)。
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Jリーグの下部カテゴリのクラブを取材した、宇都宮さんらしい本。付記でその後の情報が乗ることで取材時の目標や期待が実現したかどうかが分かるのがよい。
全国各地を取材して回っているだけに各クラブの差が見えて興味深い。こういう本がどんどん増えてくることで、サッカーが日本に文化として根付いていくのだろう。
これだけの本なのに、なぜ編集部は山形の位置をしくじったのだろうか。
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Jリーグは93年に10チームでスタートした。以降、大きな変化を経て現在の形になっているが、現在の形自体が安定したものではない。
99年に横浜フリューゲルスと横浜マリノスが合併。合併と言えばきこえが良いが、実際にはフリューゲルスのメインスポンサーの佐藤工業のJリーグからの撤退が理由である。バブル破綻の後の経済低迷期であったこの頃、スポンサーの撤退や、クラブの経営破綻のニュースが多かった。読売新聞の撤退によるヴェルディ、フジタ工業の撤退によるベルマーレ、清水エスパルスの経営危機等。
また、同じ99年にはJ1とJ2の2部制がスタートした。J1が16チーム、J2が10チームの計26チームである。2014年には、J3を創設。2021年シーズンは、J1が20チーム、J2が22チーム、J3が15チームの計57チームのJクラブが存在している。
Jリーグは当初からチーム名に企業名をつけることを禁止していた。プロ野球が、読売、中日、ヤクルト、ソフトバンク、日本ハム等の企業名をチーム名にしていたことと対照的であったが、Jリーグ設立当初は、それでも、Jリーグを企業PRの場として参入してきた企業が多かった。それが、上記のようなバブル崩壊後の景気低迷により、いくつかの企業がチームを持ちきれなくなり、撤退をしていった。
しかし、それは、Jリーグにとって、結果的に悪いことだったわけではない。多くの地域で、市民クラブ的な動きが起こり、上記のように、現在では日本全国に57ものプロサッカーチームが存在している。ただ、それは簡単にそうなった訳ではないのだよということを含めて、筆者はJ2・J3の18クラブを本書で紹介している。
Jリーグファン、というか、サッカーファンならとても面白く感じる本だと思う。