紙の本
医療の不確実性
2017/12/24 14:28
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投稿者:hiroyuki - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本を読んだ人は、大学病院と言うのは何て酷いところなのだろうと思うだろう。確かに、次から次へと患者が死んだ時、何ら検証もしなかった大学当局、関わった医師たちはひどかったと思う。
しかし、大学病院に勤めている若い医師(研修医、専修医クラス)たちを知っている自分からすると、それは一面的である。彼らは殆ど休みもなく(1月に1日休めるかどうかと言っていた)、朝は一番に来てカンファレスの準備をし、その前日は資料の整理等で一番遅くまで残っている。だから、大学病院はブラック(企業)なのだと言われるだろうが、そういう世界で頑張っている医師たちが大半なのである。当然、大学病院としては、最先端の治療や研究もしなければならない。
病院を糾弾することは簡単だが、患者たちも賢くなって、病気というものを理解すべきだろう。クレーマーになっても誰も得しない。医療は不確実なもので、限界があるものである。
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「奈落」なのか。
学内の都合で無理な手術を重ね、大勢の患者を死なせた医師たち。
手術に臨む患者は命を預けるのに、執刀医や病院の態勢は外からは客観的に知りようがない。
それでも賭けるしかない患者の方が奈落なのではないか。
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いかにも新聞記者の文章でノンフィクション作品としてみると物足りないが、取材対象が取材対象だけにとても感銘を受けた。とても難しい医療問題だが、どこに問題があるのか医療に対する患者やその家族・社会の考え方が変化していることに医療提供者がどのように対応していかなければならないかという問題を炙り出している点は非常に評価できると思う。
生体肝移植を受けた当人としては、開腹にしろ腹腔鏡にしろ、このような杜撰な手術が自分の身に起こっていたらと考えるととても他人事とは思えず、今後も医療問題に関心をもっていきたいと感じた。
群馬大学病院に看護師として働いていたうら若い女性が、膵臓癌で亡くなられたケースの記述(162-184頁)を読むと本人・家族の無念さが心を打ちました。特に本人の手術前の日記。自身が患者になって初めて体感したことを今後の自身の看護活動に絶対に活かそうとの決意をひしひしと感じ、涙無くして読めませんでした。
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医学界って悪意を持った人が入り込むとなかなかどうにもできないもんなのだろうか… 今回の例は組織の都合から未熟練者にやらせたことが原因の一つだけど。
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群馬大学病院の内視鏡手術事件のルポ
本人に取材ができなかったようで、推測に基づく部分がかなり多い。
外科医は手術症例を重ねるだけ技量が上がるのは確かではあるが、慣れない術者に身を委ねたくはないというのは誰しも同じ思い。大学病院という信頼感のある舞台で技量のない医師が無理な手術を繰り返していたという点は指弾されるべきなのかもしれないが、欠席裁判という印象も否めない。読売新聞らしい書きぶりといえばそうなのかもしれないが、、、
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読んでいる間中、年表が欲しいと思っていた。話が時系列でなく行ったり来たりなので年表と組織図があればもっとスムーズに読めたのに。
大学病院もカイシャで医師もヒトであるということ。お金やら功名心やらが先に立てば、本来の医療の意味を見失うってこと。
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現実にあってはならない悲劇が、大病院の権威を守るため、そして派閥争いのために起きてしまった。
終始患者不在の医療機関の対応には憤りを覚える。
医学の挑戦は必要であり、かつ執刀医は一定の意識をもって事に当たっていたのかもしれないが、インフォームドコンセントは最低限必要であるはずで、命を守る医師の責任といった基本に立ち返って診療してもらいたいと強く感じた。
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いかにも新聞記者ぽい、調査報告のような文体。
専門用語や肩書きの羅列に読んでいて目がクラクラ。
ジャーナリズム的なドキドキ感は感じられなかった。
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群馬大学腹腔鏡手術による複数の死亡事件の
原因・背景を丁寧に取材した内容。
意思による技量の差は歴然とあるんだな。
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群馬大学病院に発生した医療事故というより事件。
簡単に医療事故と告発するのは、どうなのかと思うが、
これは事件。
大学病院、派閥って怖い。現実は小説よりも奇なり。
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ノンフィクション。群馬大学付属病院の腹腔鏡手術の医療事故の話。
読む前はそういえばそんな事件あったよね。ってくらいにしか覚えていなかったんだけど、読んだら病院内部のことや患者さんのことなど細かく書かれていて、他人事ではないな、って感じた。
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外科医はそもそも患者を顧客とかそのような位置付けで見ていない。切って、患部を切除することしか考えていない人が多い。
概して、人の意見は聞かず、横柄な態度の人が多い。
人間教育からやり直さないと治らない。
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素晴らしい医療ドキュメント、よくぞここまで事実に肉薄し、医療界の本質を描写。
さすがお茶の水女子大学と、属性を讃えるのは不適正。しかも読売新聞記者。
→大いに感動した! あらゆる現場に通じる分析だと思う。
失敗を直視するという「胆力」が本質
医者はまだまだ「傲慢」、それは命を預かる医療専門家として「神」に近い存在。
それが医者の裁量権乱用をもたらすとともに、患者の犠牲につながる。
「腹腔鏡手術」という新天地に、医者たちは己の功名をかけて殺到した
そのとき、患者はモルモットと同じ存在
「医療安全管理」がなににもまして優先される
倫理審査委員会
保険適用外
臨床試験扱い
費用負担は病院の試験研究費
「退院すること無き死亡例」をきちんと検証することが、真の医療の進歩につながる
銀行で言えば「倒産先向けの貸出」それは「融資事故調査」ではないはず
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内容は、かなり重い。医療事故とは、医療人に必要なものとは何か、医療従事者の甘えをこれでもかと読売記者である著者が書き連ねている。
特に、看護師の日記が一番読んでいて辛かった。
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読売新聞がスクープした群馬大学病院の同一医師による腹腔鏡手術後の患者8名が死亡した事故について、取材した記者によってまとめられたドキュメント。群馬大学の当時の内情だけでなく、他の病院や医学会の動向等についても言及。先端医療をリードしたい組織的な思惑で患者が犠牲になっていった事実を実感した。