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そんな
2020/09/04 07:16
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投稿者:おどおどさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
リベンジポルノ風から始まる物語が、感動大作になるように思えなかったので、逆に、どういうお話なのか興味が増してくる。
本当に感動したら感想も書き換えたい。
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はじまりがとても好き。
この川はここから上流は地下を流れていて見えないけれど、君の家の前まで、繋がっているはずだよ。ここは谷底なんだ。すごく低い場所なんだよ。せっかくなら川を辿って、歩いて帰らない? 介抱してくれたお礼いうちまで送らせてよ。
と、光晴くんが菫にかけた言葉からはじまる。大学で【東京名所探究会】というサークルに所属するふたりの淡い、恋のはじまり。
内容を知らずに、柚木さんの著書だからといって手にとったのですが、その恋が破滅し、さらに六年後、絶望的な展開を迎える。
リベンジポルノ、と一括りにしてもいいのかわからないが、それが題材。
ある日菫はひょんなことから自分の裸の写真がネットに挙がっていることを知る。それはかつて初めて恋をした男に撮らせた写真だった。
このまま菫視点で描かれる作品だったら間違いなくおもしろいといえたのだけど、光晴くんの視点でも物語られるからいらだって仕方ない。読者を苛立たせるのは著者の思惑通りなのかもしれないけれど、好かないなー。けれどこういう男に惹かれてしまう女の気持ちがすごくわかるからかもしれない。
男に写真を撮らせた女がビッチなだけという風潮のなか、拡散させる男が悪いと言い切った親友の百合。そして彼に嫌われたくない失いたくないから嫌で仕方ないのに裸の写真を撮らせた菫のあの日の、写真からじゃわかない数々の事柄。大事にしてくれる家族。
いっぱいつまっていて苦しくて何度も泣いてしまった。強さに。そして少しの弱さに。それを光晴くんのうっかりな感じで台無しにしてくれるから、嫌になったな。うっかりは悪意をもって行うことよりずっと、ずっとタチが悪い。恵まれない家族環境のせいだとか、なんだかんだ理由をつけて自分を大事にしすぎる光晴くんがとてもさみしく、哀れで、けれど誰よりも人間らしかった。
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#柚木麻子
冒頭からは少し前の『東京「暗渠」散歩』(http://booklog.jp/item/1/4800300045)を思い出しつつ進んだ。
リベンジポルノ(とこのケースは言えるのか?)。
撮らせるのが悪いのではない。流出させるのが悪いのだ、というところにハッとする。
あと、柚木麻子さんは女子同士のドロドロが面白いのに果たしてどこにそれが入る余地が?と思ったが、ドロドロではなく丁寧な機微としてきちんと織り込まれており、力強く好もしく感じた。
個人的には「BUTTER」より読みやすく感情移入しやすかった。
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過去と現在、あの時と今を交互に描きながら、一つの恋を辿る。
傷を負いながら気づく、彼のこと、自分のこと、自分を支えてくれるたくさんの人たちのこと。
読後、凛とした主人公の姿が立ち上がる。
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現代のネット社会ではプライベートと公の差や、危機感は薄い。限られた範囲の人間だけに公開しているつもりで多くのその他に公開されている個人情報があまりにも多いことを私たちは考えるべきだろう。
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28歳の井出菫は、かつて恋人に撮影を許した裸の写真が、ネットにアップされていることを偶然発見する。
リベンジポルノが題材ではなかった。
ストーリー展開としては面白いのかもしれないが、主人公に共感するところがなかった。
唯一、わかるのはマニュキアを塗ると落ち着くというところ。周囲からマニュキアが塗れるくらいだから落ち込んでないように言われるのだが、そうではない。マニュキアを塗る行為や綺麗に塗れた爪を眺めるのは、私も落ち着く。
(図書館)
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ネット社会の怖さを取り上げながら見事に今時の恋愛模様を描いた作品。主人公の二人が自己に向き合い再生し成長していく展開がいい。生まれた時には各々スタートの位置が違うというのはいつの時代でも語られるんだなと。著者の感性の素晴らしさを改めて。
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こういう心配を今の若い子たちはしなきゃならないのだな、と。や、中年の人たちも同じかもしれないけど。
柚木さんがとがってない女性を描いた!とびっくりしながら読んでいたのだけど、リベンジポルノの被害者となった主人公菫が、その最初のふんわりとした優しいイメージに反して、自分の力でしっかりと向き合っていく姿に、やはり柚木小説の主人公だな、とほっとしたりして。
菫から見た光晴と、光晴から見た菫、その微妙な差が少しずつ広がっていくのは悲しいけど致し方ない。恋愛なんてそんなもんだろうし。でも別れ際と別れた後の自分の気持ちをきちんと処理する力をつけなきゃね、男も女も。
それよりなによりプレイベートであるべき恋人同士のヒミツの写真を悪気なく拡散していく第三者たちの行動が恐ろしい。
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生暖かいしめった梅雨の季節から爆発的に緑がイキイキとし出す夏になるような、そんな雰囲気を感じた。
元彼に自分の裸の写真を拡散され、そこからどう立ち上がって行くかというなかなかヘビーな内容。
ヘビーだけど、気持ちを強く持って生きていけば人の印象見た目なんて、どんどん変わって行く。
きっと励まされる人も居るだろうけど、やっぱり思ったのは自分の身体は安売りしてはいけない。
あと、元彼にまったく救いや成長が無かったのがなんだか悲しかった。でも、過去に囚われてずっとウジウジしているといつまでも同じままだよ!と言う姿を見せられた気もした。
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タイトルと表紙と作家名に惹かれて読んだけど、「なんだかなぁ」という感じもしなくもない。
「 柚木麻子の作品は全部読むんだ」という人は読む必要あるけれど、タイトルと表紙と作家名に惹かれて読むんだったらやめといた方がいいと思う。
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著者2作目。
最初に読んだ「BUTTER」がかなり期待外れだったので、今作もそれほど期待しないで読み始めた。
大学時代に付き合った恋人に一度だけ撮らせたヌード写真が、6年を経て、ネットに流出していることを知った菫。
その事実に向き合う菫の葛藤を現実と大学時代の回想を交互に描く。
携帯で簡単に撮影が出来て、ネットにプライベートが簡単に出回る時代。プライベートなヌード写真が流出することが決して物語の中だけの話とは思えずに読み進めた。
終始、正しい人間として描かれる菫とは対照的に、写真を流出させた元恋人の光晴は欠陥のある人間として描かれる。私には菫より、光晴の気持ちがとてもよく分かってしまった。
いろいろな感想はあると思うが、私の中では光晴の一生に一度の恋愛の物語であった。
物語のベースにある東京都内に流れるたくさんの見えない川の話は私は夢があって、好き。
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リベンジポルノと暗渠をモチーフにしているせいか、前半は薄暗く、柚木麻子さんというより島本理生さんを思わせるような雰囲気で、読みながら少し混乱した。
光晴が出てきたとき、最初は言い訳がましく、嫌な気持ちになったが、菫に対する憧れと想いが描かれた半ばは、この若く幼い男女を応援したい気持ちになったが、この2人がリベンジポルノの被害者と加害者であることを思い出し、そんな未来が永劫来ないと気付いて悲しくなった。
後半の勢いはまさに柚木麻子さんの文章で、暗闇から光に向かうのを感じた。菫が日常を取り戻そうと少し前向きになった時に、同僚とのエピソードを持ってくるのが上手い。
菫のためのお話であると思っていたが、これは光晴のための物語であるかもしれない。
誰もが自分の中に強いものと弱いものを持っている。その強さを自覚して光の方へ進もうとする菫。その弱さを自覚して、闇から抜け出そうとする光晴の生き様が瑞々しいと感じるくらい鮮やかに描かれている素敵なお話。
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久々の読書、そして柚木作品。前回のBUTTERは途中で挫折してしまったけど、今回は最後まで読めた。
菫はひょんなことから自分のヌード写真がネットに出回っていることを知る。その写真は学生時代の恋人・光晴が撮ったもの。別れてから6年も経った今更、なぜ。
思っていたよりもドロドロした内容じゃなかった。菫の家族や親友の百合がしっかり支えてくれる人たちでよかった。
菫の会社の先輩が事実を知ったときに非難したり、「被害者なら(ネイルなんてして楽しんだりせずに)落ち込んでろ」みたいな態度に出たときにかなりムッとした。なんであなたの被害者像にずっと押し込められなきゃいけないんだ、と思う。
ちょっとずつでも前向きに今まで通りの生活をしようとする菫はよく頑張った。自分が辛い時には周囲に甘えていいんだということが改めてわかった。
光晴の境遇もかわいそうではあるけど…ある意味酒乱だよなぁ。いい歳こいていつまでも周りに迷惑かけるなよ。菫との交際は、コンプレックスを感じながらも長続きして、でも破局して…どんなに惹かれあっても分かり合えない組み合わせってあるんだなと切なかった。
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とても爽やかな読後。作品の内容は流出した自分の裸の画像を巡るもの。1度出てしまえば完全削除は不可能な、本当に厄介な問題。光晴がまだマシな性質で良かった。そして菫が家族にも友達にも恵まれていて良かった。再生の過程は物語ならでは、で普通にはなかなか無い環境だろうけど、それでも取り戻していく様子は読んでいて清々しささえ感じました。本人の質も高かった。リベンジポルノの問題は決して常に被害者に同情的ではない、からこそ、1つにまとめて語ることの無いように…そう思います。
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19歳の時、付き合っていた恋人に乞われ携帯で撮らせたヌード写真、それが9年も経つ今、何故ネットに流れているのか。別れてからも6年経つのに・・・・
28歳の菫とかつての恋人光晴、それぞれの心の深みにはなにがあったのか。
暗渠になぞらえた、誰もが抱える心の内の暗い流れ。多くの矛盾を抱えた心。蓋をして見ないふりをしてきた光晴と、勇気をもって直視し前進する菫。どんな時も明るいほうにしか進まない、そんな自分を許す強さが潔い。
リベンジポルノに対して当たり前にある、「そんなもの撮らせたあなたも悪い」という被害者を再び傷つける容赦ない言葉は、自分も持っていなかったか・・・
ーー日本社会全体がそうなのだ。
頑張れ、でも暑苦しいのはだめ。魅力的であれ、でも性的にだらしないことは許されない。厳しい時代を生き抜け、でも、絶対に周囲を驚かすようなことはするな。つまり、女が何かきらめく部分を持っているからには、必ずエクスキューズや、人の気持ちを逆なでしない要素を用意してすぐにでも差し出せるようにしておかないと許されないーー
生きづらいよね。。。
それでも、前を向いて進んでいく菫の強さには励まされ、何度か目頭が熱くなったし、清々しく本を閉じることができた。