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夢破れ故郷に戻った女子の1年間の帰郷青春人情小説。
直前に読んだ作品が重松作品の中で自分の嫌いな設定だったので、口直し的にもガッツリ読めました。
特に「エラジンさん」の章は、重松さんの真骨頂で泣けます。
不器用で、要領が悪く、ただただ一生懸命で、真剣な人を描いたら、さすがです。
主人公のレイコさんも、家族も友人もみんないい人で、やっぱり故郷はいいなと思いました。
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東京での受験に失敗し、田舎の故郷に戻った主人公レイコ。すべてを包み込むような暖かさはあるものの、結構面倒くさい人間関係が残る過疎の町に自分の将来を重ねる覚悟ができない。「人間は元気で健康がいちばん。それだけよ、ばあちゃんが願ごうとるのは」と言う言葉もやっぱりピンと来ないのでしょうね。 それで良いよね、若いんだから。最後「紅郷紅白歌合戦」の終わり方は小説でなく演劇。弟が店長となったカラオケボックスもアクセントとはなっていますが、ストーリー性、人物描写もいわゆる良くある話、以上でも以下でもない。
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東大を目指して3浪の末、帰郷 するレイコさんを迎えてくれたのは温かい田舎の家族や人々や ふるさとの四季。
都会に出た事 はないけれど、どんな人にも優 しく受け入れてくれるのは、ふるさとなんだなあ~としみじみ 思わせてくれる重松氏の優し さ。
キミ婆さんの強さやふるさとの歌を口にされた時は、じー んと心熱い気持ちにさせられた。
苦労されてきた方は人一 倍、優しくなれるのですね!
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ひさしぶりに重松さんの本をよみました。
重松さんの文章の特徴は、倒置法。
○○なんだよ、●●は。
みたいな書き方がたくさん。
これを見つけると、重松さんだな、って思う。
このお話は、東大合格を目指していた主人公レイコが、夢破れて田舎に帰ってきて、生きる目標を見つけるお話。
重松さんは、田舎の良さを上手に表現してくれるから、
いつも田舎っていいなあって思う。
田舎に住んでたから特に。
内容は、ありきたりな感じだな。
そして重松さんには、やっぱり中年男性を描いて欲しいので、
星三つ。
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東大をめざすも4回の受験にことごとく失敗した3浪生のレイコさんが夢破れて岡山片田舎の実家に帰ってくるとこから始まる物語
地方生活の大変さや田舎ぐらいのめんどくささを通じて家族とは何かを考えさせられる小説。テーマとしては良くあるもので、重松が取り組めば良い小説になるように思ったのだけど
うーん、かなりチグハグやな。レイコさんはじめ登場人物のキャラクターが重松にしては薄いのか、物語になじめない。家族の話も田舎暮らしの話もコイナバもすべて中途半端に放置されているのが散らかりっぱなしの部屋みたいで落ち着かないというか…
高3の長男がカラオケボックスの店長してるとか。友人のイネちゃんの話にしても、本屋のカッちゃんにしても、なんかちょっとずつ歯車外してる違和感があって
最後の、24時間テレビみたいな大団円でその違和感が頂点に達してしまう。正直な感想は「残念」
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ふふ、っと笑う。レイコさんのほうを見て、「いいこと教えてあげよっか」とつづけ、人差し指を口の前で立てた。
「田んぼのカエルの声、よーく聞いてて」
聞こえた。いつも変わらない、ごくあたりまえのケロケロ、ケロケロ。
だが、イネちゃんは「この雨、もうすぐあがるんだよ」と言った。
「そうなの?」
「うん。雨の日にカエルがこういう鳴き方をするときは、いまはどんなに天気が悪くても、明日は晴れなんだって。おじいちゃんが教えてくれたの。よーく聞いたらわかるから」
カエルが仲間を呼んでいるように聞こえるかどうかがポイントだという。
「雨が降っていると地面に出ても水がたっぷりあるから、田んぼから外に出て遊びにゆくわけよ、お調子者のカエルは。でも、ちゃーんとわかっているやつは、田んぼに残っているわけ。で、お調子者の仲間に教えてあげるの。おーい、そろそろ帰って来いよぉ、雨が上がると干からびちゃうぞぉ、おまえのふるさとはここの田んぼなんだぞぉ‥‥カエル、帰れ、カエル、帰れ、カエルカエレカエルカエレ‥‥って感じで聞こえない?おじいちゃんは、そんなふうに鳴くカエルのこと、フルサトガエルって呼んでた」(155p)
中国地方の「田舎」の中核市鶴山市の沿革町梅郷町に東大への夢破れてレイコさんが帰郷した。他県のモンにはわからんかもしれんが、岡山県人にはすぐピンと来る。人口減少が続いている10万人都市鶴山市は県北最大の津山市、梅郷町は重松清の実家のある真庭市、そして県内最大の都市山陽市は岡山市であることを。だから、とってもイメージ豊かに読む事が出来た。
田舎の天気予報名人の「おじいちゃん」のエピソードは、レイコさんにとって忌むべき田舎が次第と愛しいモノに変わってゆく風景の一つではある。
それでも、同じ県北の美作市で作家活動を続けているあさのあつこと違い、重松清は決して田舎に帰ろうとはしない。レイコさんも最後の決断は、重松清と同じだった。東京に行ってしまった。重松清にとって、常に岡山弁の会話は「フルサトガエル」なのである。それが若干寂しい。
最後は若干のお涙頂戴の話に持ってゆき、曖昧に終わらす。重松清に物足りないのは、そういう処なのである。
2013年9月16日読了
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やっぱり重松清さんの本には家族の愛が詰まっていると思った。
泳げ、こいのぼりでは号泣だった。
それ以外も特になにが起こるわけでもないけどのんびりと家族がお互いのことを思っているのが感じられる本でした。
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東大目指して上京するも、三浪し帰郷したレイコさん。
田舎のしがらみや、目標が見えない焦りや、不安なことから目をそらす弱さなど、共感しすぎて切なくなるほど。
「エラジンさん」に涙。
【図書館・初読・11/1読了】
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感動した!小泉元首相調で言うとそうなります。さまざまな理由で田舎を去って行く者がいるなかで、残ったものたちが人情篤く助け合うさまがとても良い。都会育ちの僕からすると、(上辺の)とっても良いところしか見えない。まさしく隣の芝生は青い、ってやつなのだろうけれど。最後の締めくくりはまるで24時間テレビみたいだったけれど、十分感動できました。
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最近、重い作品が多かったので、ちょっと遠ざかっていたけど、これは重松さんらしいら家族小説で、ほのぼのしました。
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重松清が、苦手だった。
多感な時期に読んだ言葉たちの刺激が強すぎて怖い夢を見るほどだった。
久しぶりに手にしたふるさとの物語は、やさしくてあたたかかった。
ふるさとがあるって、幸せなことだと思う。
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なにをやっても上手くいかないときに帰りたくなるのがふるさと。それを黙って迎えてくれるのがふるさと。
いろんな人に助けられ、そしていろんな人を助けていく。
そんな昔ながらの田舎コミュニティが、いまとなってはほとんど体験できなくなってしまったのが少し悲しい。
懐かしさだけではなく、不思議な力があるのがふるさとだと思います。
きっとそこには自分をつくってくれたものが多くあるから。
そして人生の場面で合わさるように存在するうたというものもある人が多いのではないでしょうか。妙に心に残っているうた。それを聞くと楽しかった頃を思い出すようなうた。
それらは自分を創っているものの一つだと思います。
ふるさとがそうであるように、うたも自分に欠かせないもの。
そういう大切なものがあるから、支えてくれるものがあるから自分の人生を歩んでいけるのかもしれません。
当たり前にあることにこそ感謝しなければいけない。とても大切なことをやわらかく心に染みこませるように伝えてくれる作品でした。
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20140416
金の話をするときは、恥ずかし顔をせえ。
自分の都合を言うときは、つらそうな顔になれ。
身内を…身内を捨てるときは……涙のひとつも流せえ……ええの、レイコ……
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久々の重松節。ふるさと、という誰しもがなにがしかの想いを抱く対象だからこそ、共感もし納得もさせられる。
全体の流れは映画化をイメージ出来てしまうくらい新鮮なものではないが、いくつかの台詞には思わずニヤリとしてしまう。
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故郷のあたたかさが胸にしみる本。
このまま東京で働いていていいのか、実家に帰ることが親のため家族のためになるのか。それとも自分の信じる道を突き進むのか、それがわからなくて探し求めるのか。
今の私にとても重なる、なんとも切なくなる物語。
もしも親に何かあった時に、わたしはすぐに地元に帰ろう!と思うことができるのか。このままなんでもある東京で暮らすのが幸せなのか。どうすることもわからない。どうしていいかもわからない。何が幸せなのかも、どうやって幸せを見つけるべきなのかもわからない。そんなもどかしい、切ない気持ちが、正に今のわたしの気持ちが詰まった本。