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八月十五日は終戦記念の日の意味ではありません。
生命より大切なものはない。
願うだけでは叶わない、奇跡は待っていても起きない、全ての最善を尽くしてこそ奇跡は起きるもの。
その2点をキスカ島5200人救出劇という史実からのノンフィクションで本書は訴えていると思う。
日本人や欧米人の死生観は見方や考え方によって違うだろう。
そういうところを妙に美化してみたり思想に利用したりせずに描いているからよかった。
最後の解説は残念、本文とは関係なくてもすべてシラけた感じ。
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戦争の話はあまり読みたくないなぁという気持ちと、実際何があったのか知りたいという気持ちがあった。
国中が軍に洗脳されていたような狂気の時代に、人命を尊び力を尽くした人が居た。
読んでよかった。
時代は変わっても危険な思想の人はいる。
罪もない人の命が失われることのない時代が
ずっと続くことを祈る。
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大平洋戦争の話といえば悲惨でぐろくて怖いから読めたものじゃないというイメージがあった。『天皇陛下万歳!』の思想も今となっては同じ国民だったとは全く思えないくらい理解できないし。ただ、この小説は、そんなイメージに染まった時代にも命を大切にしよう、人道を一番に考えようと思って動いた人たちがいたことを伝えてくれる。ああ、みんなちゃんと自分と同じ人間だったんだなぁと思える。とくに登場人物にけっこう自分の同世代の24.5歳とかがでてきて。本当は戦争のないところで生きたかっただろうなぁ、と感情移入してしまう。
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登場人物を死なせることで読者を泣かせる小説が多い中、
これは「生かす」ことで、読者の胸を熱くさせる作品です。
陸軍海軍の有り様や階級などに予備知識がないと
戸惑う部分もあるかもしれませんが、
太平洋戦争に興味のある方にはぜひご一読いただきたいです。
最後まで読んだあとに、第2節、第3節に戻ってみるとことさら感慨深くなります。
欲を言えば、アメリカが日本人に対する考えを
大きく覆すところをもっと丁寧に描いてもらいたかったです。
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この話(キスカ島の救出劇)って、一般的にはさほど知られてないと思うんだけど、なぜなんだろう。
アッツ島の玉砕は私も知ってました。でもそのすぐそばの島で、こんなことが行われてたなんてこれを読むまで知りませんでした……。
今まで色んな本を読んで、当時の軍のお偉方はろくなのいないよなあと憤っていましたが、まだこんな人もいたんだ!と感動しました。
ドナルドさん、じゃなかったこの本ではロナルドさんが書いた報告書が、本当に占領政策を変えさせたのか、その辺が私調べではよくわかりませんでしたけど、確かにバンザイ突撃とか神風とか玉砕とかやってる国だもの、一般市民もかなりやばい、と思われてても仕方ないよなあ。
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松岡圭祐さんの本は2冊目です。
初めて読んだのが『特等添乗員αの難事件』でした。
この本は☆3つを付けました。
シリーズ化されていますが、それ以上手を出そうとは思わず…
【八月十五日の風に吹かれて】はブクログでも評判が良く、読んでみたいと思っていました。
文庫初版は2017年8月なのに、先日、紀伊国屋の新刊コーナーで見つけました。
エムクォーティエの紀伊国屋さんは、新刊コーナーに置かれている本以外は、かなり探しにくいです。
なので、新刊コーナーに並べられている本を購入することが多いです。
八月十五日というタイトルから想像できるように、太平洋戦争に関するものです。
本を開いてまず目に飛び込んでくるのは
この小説は史実に基づく
登場人物は全員実在する(一部仮名を含む)
読む前から、覚悟して読め!
そう言われているようでした。
太平洋戦争終結は1945年。
私が生まれた頃は、まだ戦後20年ぐらいなのに、私は一度たりとも戦争を自分自身のこととして実感したことはありません。
戦争は歴史の中の出来事でした。
その歴史でさえも、私の知ることは何とも薄っぺらなことばかりで。
この年になっても、知らない(と言うよりも知る努力をしてこなかった)ことの多いこと…
この本に書かれている「キスカ島撤退作戦」のことも全く知りませんでした。
キスカ島撤退作戦は、1943年7月27日~29日にアリューシャン列島にある鳴神島(キスカ島)から守備隊5千2百名全員を無傷で撤収させた作戦。
キスカ島に上陸しようとするアメリカ軍の攻撃が激化している中でのことで、「奇跡の作戦」と言われています。
太平洋戦争における日本人の戦い方、非戦闘員である民間人ですら自死を厭わない姿。
それは、諸外国に人命を軽んじる野蛮な日本人として映っていました。
その日本人観を変えたのがこの「キスカ島撤退作戦」であると、この本には書かれています。
随所で胸が詰まる…
そんな本でした。
8月15日は終戦記念日。
ですが…
1945年8月15日に戦争が終わったわけではないのです。
それ以降も、北の島では侵攻してきたソ連軍と闘っていた人々がいるのです。
浅田次郎さんの『終わらざる夏』を思い出しました。
普段、考えることもない戦争のこと。
でも、日本人として知っておかねばならないことがまだまだある…
しみじみとそう思いました。
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このところ多忙につき、読感を書いている時間がない。
とりあえず、読みましたということで、読了日と評価のみ記載。
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誰もいない島に向かって、日本人を警戒するあまりに艦砲射撃を続けるアメリカ軍。そして、上陸したときのアメリカ軍の様子が滑稽で、日本人としては「してやったり」と爽快感を感じた。救いに行く側も、救われた側もお互いの息を合わせての脱出、見事。
玉砕しかないと想像していたアメリカ軍にとって、生きて島から脱出するなんてことは考えもしなかっただろう。ここまで慎重にそして、真剣に兵士たちの命を考えた木村。尊敬する上司である。
自分たちが日本軍に撒いた「お気の毒様」のチラシをだれもいなかった島に上陸した自分たちが読む。この皮肉も愉快だった。
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キスカ島からの脱出を描いた一冊。
戦争下にあって人命を重んじ、奇跡を手繰り寄せていく姿には胸を打たれます。
歴史ものが少し苦手なので読むのに苦労しましたが、良い勉強にもなりました。
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1943年7月29日、アリューシャン列島のキスカ島守備隊5200名を救うためにアメリカ軍の包囲網の中を奇跡的に潜り抜け、見事に全員を救出した史実があります。当時、アメリカ軍は日本人の国民性を「玉砕・特攻を厭わず、人命に執着しない危険な民族」とみなし、それが市街地への空襲や原爆投下を認める根拠ともなりました。そして終戦後は強硬な占領政策を敷く目論見でした。
海軍上層部にキスカ島における日本の勇敢な救出作戦について進言し、GHQの占領政策を強硬な方向から180度転換させるきっかけとなったのは当時通訳官として従軍しキスカ島での救出劇の一部始終をアメリカ側から目にしていたていたドナルド・キーン氏です。キーン氏が目にしたキスカ島での救出劇を日本側、アメリカ側の双方を舞台に描いています。アメリカ軍上層部の日本人への偏見を当時から日本への造詣が深かったキーン氏が取り払おうと直訴された日が1943年8月15日だったのです。
不可能と思える救出作戦を理詰めで遂行する救出部隊指揮官の冷静な判断や思慮深さ、部下の命を慮る人間性がよく伝わってきます。
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この物語は、一般にはあまり知られていないが、終戦を迎える二年前に実際にあった史実だそうだ(読み手もこの小説で初めて知った)。
当時は、特別攻撃隊あるいは生きて虜囚の辱めを受けず、などの日本兵の行動から、人命軽視が日本人の民族性ではないかとみられていた。そんな戦時下に、人道を貫き、北の最果てのキスカ島で五千二百人の兵員を救出した。この救出劇があったため、日本人は決して野蛮な民族ではないと、戦後の米軍の占領政策が転換されたとか。
救出を図る木村少将を中心とした救出側及びキスカ島で救出を待つ日本兵たちと、キスカ島奪還を目指す米軍側とを、交互に描きながら、小説は救出劇のクライマックスへと続く。
米軍の警戒網を見事にかわし、救出作戦が成功した個所では、作中人物たちとともに、思わず万歳!と叫びたくなる。
登場人物の名前も実名で(アメリカ側の日本語通訳官ドナルド・キーンさんはロナルド・リーンとしてあるが)登場し、スペクタクルで良質のエンターテイメントになっている。
それにしても、えげつないのは、玉音放送があり降伏を決めた日本に、国際規約を破って侵攻を企てたソ連。
ややもすると、北海道全域がソ連の手に落ち分割統治を招く危機があった。それを食い止めたのが、徹底抗戦した樋口司令官率いる北方軍。彼らの奮闘がなければ、日本はどうなっていたか。
北辺での戦いは、浅田次郎著『終わらざる夏』にも詳しい。
やはりこれらの小説は、解説者が説くように「毎年、八月十五日が来るたびに新しい読者に読み継がれていってもらいたい」。
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多分に脚色は多いものの、戦時中の史実であり、この事実を残し広く紹介するということで、とても意味のある作品だと思う。
しかしながら、先の戦争を過分に美化し、肯定するものではありませぬ。
戦争ダメ!ゼッタイ!!
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「茫然」という単語の頻出が大。ガーンという演出を狙ってのことだろうが、あまりに出過ぎると白けてしまう。
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日本中の皆さんにお勧めしたい。戦時中の日本で、キスカからの脱出みたいな奇跡的なこと(霧を味方につけて脱出できたことも奇跡だし、キスカの5000人を見殺しにせずに助けに行こうという動きがあったことも奇跡)があったということは、なんだか後世の日本人として救われる思い。
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生々しい戦争の描写から目を背けたくなる。それでも読み進める手が止まらないのは、キスカ島から見事5千2百人を撤収させた司令官の、その人柄にとにかく惹かれてしまうからだった。出来ることなら会ってみたい、そんな気持ちに駆られる。
なので司令官のその後についてももう少し描いて欲しかった、と思うのが個人的なところ。だけどこういう終わり方も、らしさだとも思える。
撤収作戦成功後、敵人がキスカ島に上陸するシーンで、アメリカ人をちょっとだけ揶揄うような描写があるので、もしアメリカ人がこれを読んだら少し嫌な気持ちになるのかもしれないと思い、余計な心配をしてしまった。日本側からの視点で書いたものなので、仕方ないのだけれど。
戦争の歴史について、改めて勉強し直したいと思わされる。そして、八月十五日への思いの馳せ方を見直すきっかけになる本。