筆者はオンリーワンの地下アイドルでしょう
2017/12/06 22:45
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投稿者:melon - この投稿者のレビュー一覧を見る
地下アイドルというと、一般的にはなんだか暗い印象を与える言葉に思えます。しかし筆者は地下アイドルやそのファンへのアンケートと一般人とのアンケートを比較して、地下アイドルの実態は、家族からの愛情を受けたものの、社会から十分な愛情を得られていないと感じている若い女性が、最近のSNSの発達などによって誰でもアイドルになれる環境が整ったことから、活動を始めるというものであることを明らかにしています。そして自己肯定感が低いものの、満足感は得られている傾向にあり、また明確に悩みを抱いている存在のようです。そしてファンは幸福度が高く、一般的な印象とは乖離している実態を明らかにしています。
さて、本書の中にあるように、マスメディアは結論ありきで取材を行い、強引に自分に都合の良いコメントを引き出そうとし、また編集によって都合の良いような報道の仕方をするものです。私の知人も取材を受け、マスコミでの編集の仕方に憤りを感じて愚痴っていた人がいます。マスコミは扇動されやすい大衆を相手に情報を発信していて、都合の良い世論を形成する力を有しています。そもそも大衆は愚かな面があるため、仕方のないことではありますが、できれば市民1人1人が高い教養を身につけ、メディアに踊らされないようになってもらいたいところです。
さて筆者は、地下アイドルとして活動し始めた頃は、一般的な地下アイドルの真似事をしていて、その中で埋没しながらストレスを溜め込んでいたようです。しかし現在では、他のアイドルにはない物書きとしての特徴を得ていて、オンリーワンのアイドルとなっているでしょう。そういった人にない特徴というのが現在のアイドル戦国時代には必要だと思います。
地下アイドルとは?
2017/09/18 10:56
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投稿者:まっとくん - この投稿者のレビュー一覧を見る
僕はAKB48メンバーのファンです。地下アイドルとは地上アイドルと何が違うのかという事に興味があって本書を入手しました。自分自身を客観的に見つめて表現できる著者は立派だと思います。僕は推しメンと重ね合わせながら本書を読みました。読後感は「やっぱりそりゃそうだよな」というもので、これから安心して推しメンを応援していきます。
知らないことばかり
2017/12/26 08:40
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投稿者:kaz_p206 - この投稿者のレビュー一覧を見る
承認欲求と認知、居場所、深度...。有名アイドルグループの方も地下の方と同じような悩みをよく訴えているが、強い肩書がある分、自己肯定感は強いのか?程度の違いはあれ、人が集まるとどんな世界でも同じようなことが起こるんだなと思った。
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ここまでアイドルが自分の正直な気持ちを吐露してよいものかと逆に心配してしまうが、切実な思いがビシビシと伝わってきて、胸を打たれる。
ただのアイドル本ではない。
アイドルとアイドルを取り巻く環境、ファンをできる限り数字を示すことによって、客観的に見つめるところが、この作品の特筆すべき点だ。
地下アイドルという言葉にアンダーグラウンドな空気を感じて、実はそこに惹かれて本書を手に取ったのだが、結局、地下アイドルでさえ幻想なのかと今では思う。
地上・地下といった概念はAKB以降のものなのだ。
いや、AKB以降にさらに混沌としている。
地上波テレビがかつての勢いを失った現在では、もう地上すら怪しいのでは?とすら感じてしまう。
アイドルがこんなに頑張っていて、読者たる自分が頑張らない理由はない。この本は力強い。
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地下アイドルである著者が、自身の経験とアイドルとオタクにとった大量のアンケートから論じる地下アイドルについての考察。
基本的に宣伝文にあるような煽情的な内容はほとんどなく、
アンケート結果の読み取りを中心にした極めて地道で誠実な内容。
「アンケート結果が一般の人は~%で、アイドルは~%だから、アイドルは~です。」みたいな論じ方が多くて、
そんなに単純に結論付けられるものなのかなって思う点も多々あったけど、
著者の実体験をもとにした部分等は流石の説得力だったし、
論じ方の端々から著者自身のアイドル・オタク像や
それらに対する愛情が見え隠れするのはなんか良いなと思いました。
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地下アイドルはどんなことを考えているのかを知りたければ、著者の文章を読むのが近道でしょう。ところで、アイドルさんからすると特典会に来ない人は、見えない透明人間なのですね。まったく言及がない。興味深いです。
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地下アイドルが書いた本ということで、少し偏見もありながら読み始めてみたのだが、文章力の巧みさと語彙の豊富さに驚き、はじめはゴーストライターが書いているのかと思ったほど。
それもなるほど、多い時で20本もの連載を持っているということに納得。
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ライブアイドルの現状を、アイドル側、お客側の両方から取材やさらには社会調査で明らかにしている。体験者のエッセーのようでいながら、実は多くの問題意識をベースにした客観的な社会学文化論研究であるといえるほど充実した分析をしている。とかくあるステレオタイプでみられがちなアイドルとその現場を現実に即して捉えなおせる良書。愛され方をよく知っている女子と、自己肯定感の高いファンたちという構図は納得できる。
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自身が地下アイドルである、姫乃たまさんによる地下アイドルに対する解説本。
筆者の文章力や分析力の高さが、所謂アイドルというイメージを遥かに超えていて、まさに本物のライターレベルだと思う。地下アイドルの裾野の豊かさを感じる。
プロローグに、筆者が地下アイドルになった経緯の記載があり、この記載が一番臨場感にあふれていて生々しく面白い。
この本に書かれているように、地下アイドルは、普通の女の子が、「なんとなくなる」ことが多い。なんとなく誘われてライブハウスのステージに何の気なしに立ってみたら、ファンが付き、声援が送られる。十代のアイデンティティが確立できていない不安な時期の、承認要求から、どんどんアイドル活動にのめり込む。筆者の場合は、最終的に過重労働状況になり、うつ病になり体が動かなくなるまで地下アイドル活動をしてしまう。
SNSと同じように誰かと繋がっていたい、誰かに承認されたいという関係性のネットではないリアルな形でのかかわりなのかなと思った。
地下アイドルは、地上アイドルと異なり、ファンとの距離の近さがある意味、共同体的なチーム活動になる部分があるのが面白いなと思う。昔のいわゆるスター誕生時代の選ばれし時代はネットも発達していないし、メディアもTVからの一方的な発信によって成り立っていた。
最近はyoutubeからの発信など、TVからではなく、表現する側に色々な選択肢や可能性があり、またその発信側に、アイドルのファンも濃くかかわれる、ファン側の価値観を地下アイドルを通して表現できる。
ここにある意味クリエイティブな面白さをファンは感じるのではないか、と思った。
昔のアイドルファンとまた違った進化系の活動があるだろうな。と。
しかし、平日に地下アイドルのライブに行けてしまうとか、土日に地下アイドルのライブに行くとか、仕事や家庭との両立という意味では、相当難しいのではないかと思うが、どうやって両立しているのかな?そちら側のルポも見てみたいと感じた。
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地下アイドルとしても活躍する姫乃たまさんが色眼鏡で見られやすい地下アイドル界隈の実態を調査したお話です。アイドル戦国時代に突入して多くのアイドルが登場しては消えていく中で、地下アイドルに焦点を絞り、真面目にフィールドワークをした本はあまりないと思うので貴重だと思います。少しだけ数字マジックに遊ばれてしまっているように感じる部分もありましたが、地下アイドル側、ファン側の視点から見ることができ良かったです。まだ地下アイドルと名前が付く前に現場に通ってた事を思い出しました。まだAKB48がなかった頃だったかな。
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現役「地下アイドル」である著者の「地下アイドル」解説本のようなもの。
地下アイドルのアンケート結果と一般の若者の同種のアンケート結果を基に考察をするという手法。
さして掘り下げられていないし、新たな発見があるわけではないが、読みやすい。
しごく真面目な本だった。
(図書館)
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地下アイドルについて、知らずに誤解してた所が沢山あったなと考えた。実際に地下アイドルとして活動されている著者と、そのファンや、アイドル仲間の方からの統計はすごく信憑性があり、外から考察したものでも、好きな人が頑張って俯瞰して書いたものでもない、その円の中心にいる人のリアルが書かれていて、面白かった
地下アイドル以前に、今を強く生きるヒントをもらえたような一冊だった。
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現役「地下」アイドルが、自らの体験とアンケートに基づき、アイドルとファンたちのえがく諸相をあぶり出してくれる、現在の私にとって非常にタイムリーで、興味深い本だった。
私は同じインディーズでも、どちらかというとシンガーソングライター(SSW)ないし、歌主体のシンガーのライブを楽しんでおり、たまにアイドル系の出演者も混じるブッキングライブに行くと、アイドルのファンらしい一群による、演奏中のかけ声(コール)やら動き(オタ芸)に激しい違和感を覚えると共に、いったいどういう世界なんだろうと興味も持った。
最近大石さんとかいうアイドル系の人物が「タダでシンガーの写真を撮ろうとする」などと「SSWおじさん」を批判する発言をネットで訴えたのが話題になった。しかし演者を撮影するのに、「チェキ」などと言ってお金を取ることの方がアイドル界隈だけの特異な習慣であり、大石さんの発言は倒錯している。
また「SSWおじさん」が頼みもしないのに歌い方のアドバイスをしたがる、などと批判している。確かに頼まれもしないのにアドバイスするのはおせっかいだしマナーとして問題があり、私ならそんなことは決してしない。けれどもここにSSW系とアイドル系との価値観の違いが露出している。
SSW系の客はあくまでも「音楽を聴くこと」を目的にしているのであり、シンガーは音楽的な探究に励んでいる者として見られている。だからシンガーという人格は二次的な要素である。あくまでも音楽が一番だ。この価値観はクラシックやジャズと同じである。
対して、アイドル系の世界では、音楽は「利用されるものの一つ」に過ぎない。アイドル界での第一の価値は、アイドルの「キャラ」であり、その記号論的な価値形態である。だから、ファンたちがシャウトしたり、数名で円陣を組んだりするとき、彼らはアイドルの歌を聴いていないしダンスを見てもいない。アイドルファンのアイドルへの接し方の絶対的な「やさしさ」は、彼らがアイドルの「キャラ」を神話的価値として崇めているのだから当然だ。
興味深いのは、アイドルが歌っているときファンが円陣を組む様子が、民族音楽の古層において、音楽と共に民の儀式的な意味を持つ踊りが繰り広げられる様と似ていることだ。ここでは音楽の演奏者と音楽と民衆が、儀礼的・呪術的・宗教的な社会システムの体現として配置されている。アイドル界のアイドル-音楽-ファンの図式は、きっと人類学的・社会学的に有意なモデルとして解されるべきなのだ。
以上、いきなり私の経験にもとづく考えを書いてしまったが、そのような興味で本書を読んだ。
普通の女の子たちが何故地下アイドルになったか、何を考えているか、ファンたちとの相互依存的な関係とはどのようなものか、など次々に興味深いファクターが記述されており、非常に貴重な本である。
著者自身がおこなったアイドル、ファン各100名ほどのアンケートの分析が本書の主体となっており、公的な「若者へのアンケート」結果と比較してアイドル界の特徴を抽出しようとする。もっとも100名ほどのアンケートというのは私にはちょっと分母が小さいように思えた。なんとかして1000名くらいのアンケートをやってみてほしい。
アイドルと一般の若者との意識の違いはほとんど微細なものであり、明らかな特徴とまでは言えないような、微妙な気がした。
著者は地下アイドルの欲望の中心として承認欲求を、対してファンの欲望の認知欲求を指摘している。著者自身の経験から得られた貴重な知見であり信用できるだろう。ただし私が先にイメージとして掲げた呪術的儀式の様態は、ここからは結論できない。そのへんは今後私自身が調べ、体験し、考えていかなければならないだろう。
いずれにしても、本書は極めて貴重な資料であり、改行が多すぎるといった一般的な気がかりをこえて、再読に値するものかもしれない。
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地下アイドルが、自身の体験だけではなくアンケート結果などから地下アイドルとそれを取り巻く状況について解説した一冊。
アンンケート結果などもあったが、予想よりも学術的で、地下アイドルについて今までよりも深く知ることができた。
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標本調査としての社会調査と任意の「アンケート」を混同して単純比較するという方法上の問題はあるが、現役の(本書刊行後に結局辞めたらしいが)「地下アイドル」(インディーズアイドル)による「内側」からの「地下アイドル」論として貴重な成果ではある。特に「地下アイドル」のみならず「地下アイドル」ファンに対しても客観的な分析を行っているのが注目に値する。アイドル側(ほぼ女性ないし「女性性」)の自己肯定感の低さと承認欲求の強さに対して、ファン側(ほぼ男性)の幸福感の高さと相対的な裕福さが際立つが、これは客観的には、アイドル産業があくまでもジェンダー差別における優位者(男性)による劣位者(女性)からの「やりがい」搾取によって成立していることを示唆している。