紙の本
男の包容力について考えさせられた
2017/12/12 06:21
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぺるっち - この投稿者のレビュー一覧を見る
書店で帯と表紙が目に留まり購入した作品。セックスレス云々と書かれてますが、それはきっかけであって、実は夫婦の間の溝は深いものになってました。でもそうなった原因の一因はヒロインにもあって。30代の主婦が抱える閉塞感のリアルさはさすがとしか言いようがない。でもできれば10年後にこの作品を書いてほしかったなと。40代になって30代の自分自身を振り返りながら、こう言った作品を書けばもっと落ち着いたものになったんじゃないかと思いました。ヒロイン塔子の一人称です。彼女の考え方や言動の稚拙さを感じてしまうのは、私が40代だからでしょうか?そして元の恋人・鞍田(不倫相手)が塔子に接する態度や掛ける言葉が話しが進むたびに変化しているような気がしました。
二人の関係は二人の仲でちゃんと終われていなくて、そんなときに再会。そして不倫。作品紹介では鞍田と関わることでいろんな問題が見えたような書き方をされてますが、本当にそうなのかなと感じました。
塔子の言動が理解できないまま読み進め、そしてあのラスト。鞍田さんの包容力がずっと心に残ったままです。
紙の本
次々に話題作を発表されている島本理生氏の最高傑作と言われる作品です!
2020/07/19 14:15
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、『シルエット』、『リトル・バイ・リトル』、『ナラタージュ』、『大きな熊が来る前に、おやすみ』、『あなたの呼吸が止まるまで』、『クローバー』、『君が降る日』などの話題作や傑作を次々に発表しておられる若手作家・島本理生氏の作品です。同書の内容は、夫の両親と同居する塔子が主人公として展開される物語です。イケメンの夫と可愛い娘がいて姑とも仲がよく、恵まれた環境にいるはずだった塔子ですが、かつての恋人との偶然の再会によって彼女が目覚めてしまいます。彼の口から飛び出す胸を突くような問いかけに、仕舞い込んでいた不満や疑問がひとつ、またひとつと姿を現していきます。そして、徐々に快楽の世界へと引き寄せられていきます。「上手くいかないのは、セックスだけだったのに」と過去を振り返る塔子ですが、もう後戻りはできません。塔子は一体、どうなっていくのでしょうか?島本氏の最高傑作と呼ばれる作品です!
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不倫は辛そうだ。子供がいたら尚更。
終わる時が特に辛そうだ。
私は結婚して7年経ちますが、夫以外に、本当に好きな人が出来てしまったらどうしよう。と何回も考えた事があります。
好きになって関係を持つまでは躊躇なく進みそうですが、その後が本当に面倒くさそう。
そして最近強く思うこと。
うちの夫はめちゃくちゃいいヤツだ。
本書を読みながら、主人公の旦那みたいな人だったら、私はもって5日くらいだろうなぁと、夫の有り難みを噛み締めました。
でもやはり、本当に好きだと思える人と出会ってしまったら、私はアッサリとその人の所へ行ってしまう気がする。
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ぐいぐい惹き込まれて読んだけど、主人公の息苦しさみたいなものが伝染して、なんだか生々しくて、読むのにパワーが要る。
女性の生き方について考えてしまうけど、それ以上に、人は皆さみしいものなのかな、と思う。
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夫の両親と同居する主人公が昔の不倫相手と再会し、女性として扱われる喜びを感じる物語。
夫も姑も世間的にはいい人。でも、無自覚な悪意で妻を傷つけてくる。たしかにそこらへんにありそうな話だ。でも男にとってはかなり身につまされた話になっている。
最後、2人がどうなったのかを語るエピローグがとてもよかった。自分が女性経験のないことを認め夫・父としての地位を維持した男、母の不倫相手を本能的に拒否した娘、そして女性ではなく母であることを重視した妻。
納得いくわけではないが、それでいい。恋愛なんてそんなもの。ましてや結婚している女性の恋愛ならなおさら。でも、大人が読む恋愛小説として人にオススメしたくなる。
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私は妻も子どももいる"夫"なんですが、えぐるような、突き刺してくるような、息ができなくなるような小説だった。
とりようによっては"官能小説"で、性描写はなかなかエグい。男として当たり前にやっている行為を女性目線で描かれるとなかなかきつい。愛のある行為と惰性でやる行為の落差が残酷だった。
「ブルー・バレンタイン」という映画で、愛が冷めた状態でのセックスのエグ〜い描写があるんだけど、映像よりもさらにきつい。妻をこういう気持ちにさせないようにしなくちゃな、と考えさせられる。
主人公や主人公が愛する人たちよりもむしろ、脇役の、主人公を"壊す"人たちのリアリティーがすごい小説だった。とくに夫。
正直、「浮気してる」「借金がある」「暴力を振るう」「ギャンブルをする」というような客観的にみて悪い人間と結婚するほうがまだ楽なんじゃないかと思えるほど、"他人からは魅力的に見える"という地獄は苦しい。
私も、結婚して子ども二人いて、家も買って、という客観的にみたら"幸せ"を絵に書いたような人生をおくっていると思いつつ、ふいになんだか焦燥感のような絶望感のような気持ちにとらわれる瞬間が無いこともない。
愚痴ったところで、それは「贅沢な悩み」なんだから誰にも言えないものだったりもするわけだ。
そんな"瞬間"が日常化した主人公の暮らしは、とんでもない地獄。
でも、私はやはり男で、このポンコツな夫側の視点に立ってしまう自分もいて。主人公に完全に共感できないことが、申し訳ないというか…。かわいそうだし理解できるんだけど、やっぱりムカついてしまうと言うか…。
そんな自分の罪悪感にも悩まされてしまった。
そんな苦しい小説の中で、最後の最後、ポンコツ夫の手紙がなんだかグッと来た。
結婚して家族になったとは言え、最初は恋人同士だったわけで。その時に張った見栄とか、引いた線とか。結婚した今でもそのカスは残っているのかもしれない。そんな風に強がってしまった自分と向き合うって、結婚を継続していくうえではすごく大事なことなのかもしれない。
このポンコツ夫のようにそれを奥さんに言っちゃうのが最善かはわからないけど、「自分はこの人と恋人になりたくてカッコつけたんだった」ということを思い出すということは、やらなきゃいけないことかもしれないな。
と、そんなことを考えさせられた。
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専業主婦の塔子は、2歳の愛娘と優しい夫、理解のある義父母と同居生活を送っている。
かつてアルバイトをしていた時代に不倫関係をもった鞍田との出会いから、生活が一変する話。
性描写が結構リアルだったが、それ以上に夫婦間や嫁姑間の描写が非常に繊細に描かれていました。
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子どもがいなかったら……
結婚して2歳の子どもが居る塔子。10年前に体を重ねていた鞍田と友人の結婚式でばったり会う。久しぶりに会ってバーで飲みトイレに行った時後ろから鞍田に抱きしめられ無理やり挿入される。嫌ではなかった。無理やりで少し痛みが残ったがその痛みも塔子の胸の中にはじわじわ染み込んでくる。
夫は優しい。同居している姑も優しい。しかし塔子は自分の存在意義に疑問を持ち次第に鞍田に心も惹かれていく。鞍田の会社に務める事になり忙しくなり子どもの面倒で夫とも意見が食い違っていく。もう夫とは一緒に暮らしてはいけない。家を出ようと決意し荷物を詰め子どもを残し家を出る。
鞍田は癌が再発し入院する事になる。鞍田と塔子、お互いが好きなのにどうやっても結ばれる事はない。
傍目には良さそうな姑との関係。夫の妻をいたわっているような一言一言の違和感が次第に大きくなり夫婦の関係は冷え切って別れに向かっていく。
不倫相手とは夫と知り合う前からの付き合いでお互い好き同士でも2人は一緒になる事はない。
簡単に離婚して不倫相手と一緒になればいい事とは思うがやはり「子ども」がいるといないとでは大違いですね。このような身を削るような恋愛をした方って少なからず居ると思うので共感できるんではないでしょうか。妻夫木聡さんと夏帆さんで映画化が決まっているので楽しみです。
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ナラタージュを読んだので、島本理生さんの新刊本をと手に取りました。女性の気持ちがわからない夫への不満が物語の根底に流れています…多分世の中の女性から多くの共感を得るのではないでしょうか。でも主人公の行動もそれはないんではない?と男性側からは思います。不倫小説、読んでどう感じるかはその人次第!
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読了。飛ばし読みであるが、最後まで読んだ。官能箇所はしっかり読んだ。妻が不倫する話である。2,3ヶ月前に、見つけたが、購入する気まで起きなかった。今回、また平積みされていた。今回は購入できた。不倫した女性の主人公の視点のまま、読み進めていけた。その女性の気持ちになれて良かった。
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官能的な部分もちょっぴりあり、大人のための恋のお話というところか。
一人の女性で、母であり妻であり主婦でもあり。
仕事も持ちながら夫の実家で暮らし、彼女の気持ちを理解してくれないイマイチな夫には不満が常にある。そんな状態の彼女の周りには気になる男性もいるわけで。
まあ自然な流れでいろいろと気持ちが動く。夫かもっとしっかりしていれば良いわけだけれど。どこにでもありそうな一人の女性のお話かな。
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子持ちの主婦が昔の恋人に再会した話。
この旦那でこの暮らしだったら嫌だな。
だからといって不倫がいいとは言わないけども。
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「ナラタージュ」のときもそうだったように、不倫相手の男の魅力がさっぱり。話の主軸はそこではないとしても、いかなるものか…。
ダメな夫に不満を抱く気持ちは理解できた。
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あんまり小説は読まないけど
新聞の広告を見て
図書館に予約した。
予約順4番目くらいだった
『三年間もセックスレスじゃなかったら
ー大人の恋愛と官能の世界。
妻、母を生きる女が一線を越えるとき、
そこにはどんな世界が待っているのか―』
っていうセリフと
表紙の写真に目と心を奪われた。
ブラのホックを留める後ろ姿。
細い背中…、ブラがセクシー
さらに、何だろう、
前に読んだ人がつけたのかな
甘い香水が…
ちょっと妖しい香りで…
マッチしすぎ(・・;)
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P42
「自己肯定できない感じがする」
「自分自身に愛着ない感じがする」
P143
「僕は腹黒いからですよ。
外側だけでも清潔に見せないと、
女の子寄ってこないでしょう」
とっさに声を出して笑ってしまった。
だめだ、と思った。勝てない
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主人公の塔子が無防備すぎる気がする。
元愛人の会社に勤めたり、
ホテルに行くこと受け容れたり。
昔付き合っていたから?
夫とうまく行ってないから?
最近不倫の話題が多いけど
いまはそんな感じなのかなあ?
簡単にセックスやキスを
しちゃうみたいな
セックスってそんなに
重いものではないのかも。
たしかに減るもんでもないしね。
風俗で働くことに抵抗少ない
女性も多いみたいだし
ちょっと違和感あるけど…
よくわかんないや
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夫と娘、義母と義伯母が熱海に行ってる時
自分は元愛人と那須湯本に不倫温泉旅行。
まだ離婚の気配もないのに
夫や子どもとの関係を壊しかねないことを
していて普通に楽しめるものなのだろうか?
P192
いったいどんな目に遭ってしまうんだろう、
と思ったら、自分でもびっくりするくらいに
強くふるえた。
↑これから二人で宿の風呂に行くところ。
考えるのはそっちなのか。
開き直ったら強いのが女性脳なのだろうか。
この時点で離婚が無意識にある
いるということか?
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P201
自分でも今はじめて知った。
これほど複雑で快感の異なる箇所が
混在していたことを
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クリスマス・イブに
グッチの腕時計貰って
深夜に眠っている子どもを残して
家の近くで夫以外の男の車に乗ってる。
で、そのあとホテルって、
おかしくない?
っていうかもう終わっている
っていうことなのか?
どうも感情移入ができない
P247
嘘ばっかりだ。
誰よりも、自分自身に対して。
格好をつけて上品ぶって。
抱きあいたい。怖い。
今すぐこの人としたい。
だけどできない。家に帰りたい
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いずれにせよ
無理に襲うのは犯罪です
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P256
もうあんなふうに抱かれることはない。
すごことだ、と思った。
あんな強い衝撃が、
頭の芯まで痺れるような快感が
��生からすっぽり消える。
もう一生、味わうことはない。
本当に死ぬまで。
それってなんて大きなことだろう
↑こんな事考えてるから分かれられない。
つくづく恋愛って脳が作り出した
妄想、幻想だなって思う。
欲望、刺激を求めることは、食事や睡眠と違って
生理的現象ではないと思う。
頭が作り出したもの。
あまり美化しない方がよいと思う
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P314
自分は寝転がって気持ち良くなるだけで、
セックスしなきゃしないでいい
というスタンスで、
精神的な理解もなければフォローすらない。
それならよそでべつの男性と関係を持って
どうして悪いのか。
結局私はそんなふうに思っていたのだ。
罪悪感はあった。
だけどそれは子どもを預けて外出していることに
対してだけで
夫に対するものじゃなかったのだ
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P325
キリストとかって旅しながら
いきなり病気の人間とか娼婦に
愛を注いで奇跡起こしたんだろ。
それって会ってすぐの、ほんの一瞬じゃん。
好きなタイプって、一目見て
気に入って盛り上がったら、
なんとなくその記憶で続くもんだし。
セックスだって、会話だって、長くいりゃあ、
かならずいつか飽きるし。
人生でほんの一瞬でも
本気になれたら、十分じゃないの
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雪で足止めくった金沢。
鞍田さんが十時間かけて東京から
向かいにきた?
ここ時系列おかしくない?
それに雪で足止めくってるのに
車で迎えに来れないでしょ。
あと隣県ならまだしも
はるばる日本海まで人妻のために
行くってちょっと常軌を逸してる気がする。
狂気の域。ちょっと気持ち悪くなった
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ラストまで読むと良質の文芸作品だとわかる。
鞍田さんの無茶な行動の理由とか
夫も同情できるとことか。
翠がお飾りの典型的な子どもではないとことか
「流転(下天)の内をくらぶれば
夢まぼろしのごとくなり」
と無理なくつながる。
恋愛が人生へとつながるとき
感動を呼ぶ
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今まで島本理生の書く小説には「何かが足りない」と思ってきた。
それがこの『Red』にはない。
そしてもう一つは、この作品を咀嚼するには私は幼すぎる。
けれど、心の奥で灯がともった感じがする。