紙の本
被害者から保険屋まで
2020/07/23 16:56
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
1件の保険金殺人を取り巻く、多くの人間模様を掘り下げています。心の隙間に忍び込むような、犯人の狡猾な手口にビックリです。
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結局、誰も幸せにはなれない。こんな世界なのに、何で、生きてるの?
誰もが自分よりも強い人間を怖れる。そして自分より弱い人間を傷付ける。誰かを支配し、思い通りに動かし、そして自分の存在を高める。いや、高まっていると確認するために誰かをそばに置こうとするのか。
弱い者がさらに弱い者を叩く、という歌がある。そうなのか。この世界はそれでしか回らないのか。この救いのない世界で、私たちは何で生きているのか。強い者に踏みつけられ、存在を否定され、下を向いて生きていく、そんな世界で生きる意味はあるのか。カトゲンの問が頭を揺らし続ける。お前は何で生きているのか。生きる意味はあるのか。読み終わった後もずっと考えている。
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表紙に目を引かれて。
孤独なオヤジを釣り上げる保険金殺人。首謀者の男から逃れられずに手を貸すことになった女。目立たない男がこうなった理由をさまざまな証言から起こすわけですが、「王」とまでいうのはどうだか。現実にもはや珍しくもない事件なので、『消された一家 北九州・連続監禁殺人事件』のようなノンフィクションを読んだ後では弱い。けれど、弱い分、嫌悪感に駆られることもなく、さらさらと読めます。
中学生にとっては1年後も10年後もどうでもいい、重要なのは現在という一文は印象に残る。「おれを裏切るな」という言葉は「好きだ」とはちがうのに、男に縋りたい女にはそう聞こえてしまうもの。
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平等であるはずの生命の重さに差は生じる。最後まで救われなかった安西俊貴は、社会や家庭環境が生んだ怪物でもあり、自己の弱さを映す鏡であった。なんだか哲学っぽかったよ。俊貴…。
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いいね、一気に読めた。被害者の章に全てが書かれていた様な気がする。いい話だった。勝利者はただただ浅はかで傲慢。
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安西俊貴が保険金詐欺で小金を稼ぐ商売に、北條和美を巻き込んできた事件を縷々と述べた物語だが、安西と北條の生い立ちから詳しく記載し、事件の概要も個々に解説しているが、全体的に締まりのない話になっている.安西の年上の女性や職のない男性をたぶらかす能力は、どこから出てきたのかと考えてみたが、母親瑞枝の影響が大だ.兄の一輝ばかりに目をかけ、俊貴をないがしろにしてきた結果だろう.