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そして最後に下巻を買ったのだが『こちら上中下なのですけど、下だけで宜しかったですか?』と聞かれた。
『下で宜しいですか?』と『下だけで宜しかったですか?』は似ているようで、聞かれた方としてはニュアンスが異なる。
前者は念のための確認という感じなので、「しっかりしてるな、店員さん」と思ったが、後者は3巻で一揃いなのに表紙が似ていて分からずに下だけ間違えて買ってませんか、と聞かれた感じ。
最後に残念だったぞ、紀伊国屋の店員さん。
ともあれ、残り1/3に突入。
上昇志向の嫌らしさ、ネットで匿名の人から叩かれること、「すくいぬし」、自意識過剰の男の憐れ、外見で人を判断する男の哀れ、禿げたらあかんのかい、遺産で暮らす気楽な人生、お金がなくても豊かな人生、自分より下の人を見つけて安心している人生、いつまでそうやっているつもりなの?、「アラブの春」が残したもの、東日本大震災が残したもの、信仰について、悠久に流れる時間について、奇跡のような出会いはあるか…。
歩のキャラクターが、特に頭が薄くなってきてから落ち込んでいく姿が好きになれず、父と母が別れた理由が明らかになり、姉や自分の名前の由来が明らかになるが、だけども、最早どうでもいいような…。
物語のテンポは凄く良く、エネルギッシュにサクサクと、倦まずにどんどん読み進められたものの、ラストには何とはなしに座りの悪さを感じたところ。
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星は4.5ぐらい。
ここまでが長い。
でも、その長さがあってのこの巻。
強烈な母親や姉。
優しい父親。
姉の言動には共感できないが、両親の関係は、この巻でようやく理解できた。
タイトルも。
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上巻は少し退屈な部分もあったのですが、中間~下巻はとてもストーリーに引き込まれました。
本当に、西さんの魂から描かれた作品だと思います。西さんの経験がなければ描けない作品。心の痛み、罪悪感、切なさや寂しさ、自己嫌悪など、ありとあらゆる表現でリアルに描かれていて、とても感動しました。
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30代の男のクズを救えるのは西さんしかいない、っていう若林さんのコメントをテレビで観て、絶対読もうと思ってた小説。
愛らしい顔と世渡り上手な性格で20代まで絶好調な主人公、一方で不器用で突拍子も無い行動で家族からも敬遠されている姉。
話の後半では、主人公の歯車が大きく狂いはじめ、辿り着いた先は子供の頃に過ごしたカイロ。
主人公も姉も両親も何かを探して旅をしている。みんなそれぞれの方法で、不器用に遠回りもしながら、それでも何かを掴むことができてて、ボリュームがある小説だった。
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自分の信じるものが何か、自分の芯とは何か。
主人公の姉の貴子が、幼少期からもがきながら30半ばで漸く見つけたように、主人公の歩が自己嫌悪の中で姉に諭されながらエジプトで漸く見つけたように、それは簡単に見つかるものではないだろう。
それでも、「あなたが信じるものを、誰かに決めさせてはいけないわ。」という言葉通り、自分でもがきながら見つけるしかないのだと思う。
もっと書くべきことがあるのではないかと思うが、自分の語彙力が足りないです。長いけど、時間を忘れて読めました。素晴らしい物語です。圧巻です。
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自叙伝のような小説。
垰歩という男の半生が長く、細かく書かれていましたが、私は自分と重ねながら読むことができました。それくらい、心情や行動描写に一貫性があって、入り込むことができるのがすごい。そして最後まで読むと、そのどれもが無駄ではなかったことを思い知らされます。
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読みながら、じぶんの家族を重ね、じぶんの過去を振り返っていた。自然と「小説を書くこと」についても考えていた。
同じ時代を生きているからか、この物語をとてもじぶんのことのように読んでいた。
歩が小説を読んで「僕は僕をいちから作った」ようにわたしは、わたしのことをもう一度考えている。
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最後の下巻は余り明るくは無かったがいろんな意味で深かったと思う。
第5章では'歩'自身の状況が段々と悪くなっていく中で、現実を直視せず、何かに言訳を求めて逃げている様子が書かれている。この気持ちは良く分かる。人間の弱さ其の物だ。
第6章ではほんの少し希望が出てくる。それは自分を直視し自分でその状況を受け入れられる様になってくる。
「小説を書きたい」と思ってからのパートは少々しっくりとこないが、その他は気持ちが染み入る様に分かり、言葉が気持ちに溶け込んできた。
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読み切りましたね。
何かに頼らざるを得ない状況。
そこが宗教なのか、人なのか。
色々と考えさせられる内容でした。
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上中巻は、感化されない普通のお話という印象。
本巻では姉の驚愕の変化、歩の葛藤そして改心が描かれ、何か心に突き刺さるものを感じた。
この自叙伝自体の存在も明らかにされ、全てが繋がりすっきりとした終わり方でした。
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あまのじゃくな男の心情なんだけど、女性が書いたからか、少し女々しすぎる。
最後に自分の小説で最初に戻る。ありがちなんだけど…
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読み終えてしまった。もう少し読みたいけど、終わり。自分の信じるものは何だろう。なんなんだ。そのために人は生きてる。
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読み始めてすぐ感じたのが、「描写が細かい」事。登場人物から風景までが容易に想像できた。文中で発生する「何故、どうして?」が遅かれ早かれ説明されているので「ここまで親切に有難う」という気持ちに。
一貫して自分の人生を生きた貴子と、他人の生にすがりながら生きた歩の30年後の違いを見せつけられた。人生で何を信じるのか。結局この本のメッセージはこれだったのではないかと思う。それぞれの主人公が何を今信じているのかを考えながらもう一度読みたい。
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家族とは、宗教とは、友人とは、信じることとは、と様々なことを考えさせられる本であり、自分のことのように感情移入して読むことができた。ラストは予想よりあっさりしたものだったが、それもまたリアリティがあって良いかもしれない。
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独自の世界観に没頭し周りを振り回し続ける姉、家族よりも自分美を探究する母、寡黙で空気のような存在になってしまった父。そんな家族を持つことで、自然と空気を読むことに長けた美青年に成長した「あゆむ」。そんな人との距離感を図り保つことで、自分自身の立ち位置を定めることが得意なあゆむが、とある事件をきっかけに、順調だったはずの人生が崩れていく。その先に見つける人生の真理とは・・・?
個性豊かな人間たちが織り成す話の展開が面白く、ついつい一気読みしてしまいました。「人生に正解は無い。信じることを自分で見つけるしかない。自分で軸を定めてこその人生。あなたの軸はなんですか?」という極めてシンプルな問いかけについては、よくよく考えたいなーと思うのでした。みんな違ってみんな良い!