投稿元:
レビューを見る
家族とは、宗教とは、友人とは、信じることとは、と様々なことを考えさせられる本であり、自分のことのように感情移入して読むことができた。ラストは予想よりあっさりしたものだったが、それもまたリアリティがあって良いかもしれない。
投稿元:
レビューを見る
独自の世界観に没頭し周りを振り回し続ける姉、家族よりも自分美を探究する母、寡黙で空気のような存在になってしまった父。そんな家族を持つことで、自然と空気を読むことに長けた美青年に成長した「あゆむ」。そんな人との距離感を図り保つことで、自分自身の立ち位置を定めることが得意なあゆむが、とある事件をきっかけに、順調だったはずの人生が崩れていく。その先に見つける人生の真理とは・・・?
個性豊かな人間たちが織り成す話の展開が面白く、ついつい一気読みしてしまいました。「人生に正解は無い。信じることを自分で見つけるしかない。自分で軸を定めてこその人生。あなたの軸はなんですか?」という極めてシンプルな問いかけについては、よくよく考えたいなーと思うのでした。みんな違ってみんな良い!
投稿元:
レビューを見る
ちょっと気になっていた直木賞受賞作品「サラバ!」文庫本になったので早速読んでみた。
なんで気になっていたのかは、もう忘れてしまったが、多分、タイトルかな、「サラバ!」(^_^;)
どんな話なのか、全く知らず読み始めた。
「僕」が生まれたところから始まる、一人称の語り。読み終われば、僕は37歳になっていた。
長い。
僕の37年間を表現するには、このボリュームが必要なのはわからないでもないが、正直、中巻あたりは少し飽きた。
あまり「僕」に感情移入できなくて、共感するところもなくはないけど、それで一人称はちょっとつらい。
育ってきた時代の違いでしょうか(^_^;)
投稿元:
レビューを見る
読み終わり、とても衝撃を受けました。上・中では作者が何を伝えたいのかわからぬまま、ただその文章に引き込まれ、美少年の話だとホクホクしながら読んでいましたが、読了した今となってはそんな自分が恥ずかしい。
信じられるものを見つけること。自分自身を信じること。これを家族、恋愛、宗教、社会問題など様々な事象を絡めて、しかしとてもわかりやすく伝えてくれる小説でした。私は自分を信じて生きることができているか、これまでも、これからも、自分に問い続けようと思わせてくれました。読んでよかったです。
投稿元:
レビューを見る
姉の変貌そして姉貴子を受け入れる母の変わりように歩は怒りや困惑を覚える。それは以前の貴子の様にも見えました。
姉に不満をぶつける歩。姉を恐れていたとは思えない描写だったけど、やっと普通の姉と弟に戻れてのかなと感じました。貴子の「自分の信じるものを他人に決めさせてはいけない」の言葉は、何かを他人のせいにしてきた自分の思いと重なったり。
1980年代から3.11の震災まで宗教や信じてきた当たり前の世界が壊れてきたけど、最後に残るのは人と人の関係なんですね。そしてヤコブとの再会。肩書きや外見が変わっても、サラバの言葉ひとつであの時に戻れてしまう。リセットされた歩のその後が気になりますね。
投稿元:
レビューを見る
物語後半の、解説の又吉さんの言葉を借りるならば、それまでの立場を保てなくなった歩を見るのはつらかった。両親の離婚理由も。幸せになりたかった母と、幸せになることをやめた父。自分の、自分による、自分のための人生。サラバとは、何か。
投稿元:
レビューを見る
上巻で徐々に過去の忌々しい思い出が蘇って、全て私の胸に突き刺さり逃げ出したくなった。中巻の最後では遂に心を揺り動かされた。下巻ではお父さんとの会話の途中で歩は家族から完全に取り残された。その後の展開が巧みだ。図書館へ通うだけの静けさの中で、小説ばかり読んでいる歩は自分と物語以外のところで何かが起こっていることを知る。3.11の恐怖、そしてエジプトへ。最後に物語は今まさにあなたの生き方として問われる。私の信じるものは何か、私の信じるものは何か、何度も自分に問う。私は自分の時間の化け物を洗いざらい書き出そうと思う。そして「私の信じるものは何か」を見つけたい。
投稿元:
レビューを見る
すごいものを読んでしまった…と読後に茫然とした。
ひとりの男の生まれてから青年までの自叙伝的物語。
黒い感情もそのままに赤裸々に語られる。
そこに物語的な甘さはなく、むしろ苦いくらい。
でもだからこそ強烈に惹きつけられた。
投稿元:
レビューを見る
最後は一気読み。読むのが辛くなる部分もあった。
変わった行動をとり続ける姉だったが、悩み苦しんだ結果、信じるものを見つけて安定を得る。そして、その姉に指摘されることで、語り手である主人公も同様の悩みを抱えていることに気づかされる。
また、両親も。
家族を描く小説だったが、下巻に来て、それ以前の生きることの意味を問う壮大な物語であることに気付かされた。
投稿元:
レビューを見る
読んでいてひたすら苦しかった下巻。持ち前の容姿によって得をすることを恥ずかしく思っていた歩だったが、実際にその容姿を失うと途端に自信を失い今までの自分を保つことができなくなった。あらすじに「ある出来事」をきっかけに変わっていく歩とあったが、まさか禿げることだとは思わなかった。ただなにか大事件が起こったわけではなく誰にでもありえることだからこそ、リアリティーがあり読むのが辛かった。
下巻の歩は一言で言うとクズだ。肩書きも若きイケメンで新進気鋭のフリーライターから、ひどい言い方をすれば37歳の無職、禿げ、デブに変わってしまう。何をするにも人任せで、ひたすら自分は悪くないと思い、人を自分より下に見ることで安心を得る。それでも読んでしまうのは、そのクズな歩とどこか重なるところを誰しもが必ず持っているからだと思う。西加奈子は本当に人の醜い感情を描くのが上手い。読んで楽しい本ではないかもしれないが、いま読むことができてよかった。
投稿元:
レビューを見る
私的、西加奈子史上一番刺さる本で、一番好き。
両親の話で泣きそうになった。
自分の歩んできた人生を信じる事。一人で立つ事。
皆に一人ひとりの人生があり、他者を尊重する事。
弱った時に読み返したい。
投稿元:
レビューを見る
読み手によって、感銘を受ける箇所が様々だろうなぁと思う。
通して読み終わり、この小説が歩の自叙伝的なものだと分かった。
不可解な行動をとる姉、優しい父、美しい母と幸せな日々を送るが、ある日を境に何かが少しずつ変わっていく。
母似で美しく生まれ、順風満帆な青春時代を謳歌していた歩にも悲劇が。。。
自己の評価ではなく、周囲の評価に流されてしまう歩は、どこか自分と似ているところがあるなと感じた。
本の感想とは少し離れるかも知れないが、、、
自分は何を信じるのか?
自分が信じたものを信じてあげないとだよなぁ。。。
自分が感じた通り、自分に素直に生きるのって素敵だなぁと思った。
色々考えさせられるところが多かった。
投稿元:
レビューを見る
なんと! 上巻を読み始めた時に 「サラバ」で泣くことになると 予想していなかったです。 6章の63はなみだで読みずらかった…
途中、お姉さんと歩が逆転して えー?と思ったけど、生きるために お父さんお母さん、お姉さんとおばあちゃんやおばさんたちそして歩 みんな闘っていたんですね。
いま、誰かに おすすめしたくてたまらない!
投稿元:
レビューを見る
上巻、中巻と読み、これは一体なんの話なんだろうと、ずっと考えていた。上巻から中巻と小説としてのおもしろさはどんどん増していくのだが、何が主題なのか、よくわからないまま下巻まできた。そして先ほど最後のページを読み終えた。これは誕生の物語だった。こんなに苦しく、そして光がある小説を私は知らない。左足から生まれた歩が左足で一歩踏み出すための長い小説。「あなたが信じるものを、誰かに決めさせてはいけないわ」。何か信じるものを見つけたときにその人の生きるという以外の人生が始まる。傍観者ではいけない。信じるものをしっかりと見つめて、手放してはいけない。そしていつか動かなければいけない。すくいぬしはどこかにいる。
この本に出会えてよかった。歩とちょうど同じ年齢になった今このときに読めてよかった。信じるものと出会えた人は強い。そして美しい。体感としてそう感じる事が最近あった。今の自分が、なんであの人たちの目をみることができないのか、この本を読んでよくわかった。これは自分自身の物語であったのかもしれない。
投稿元:
レビューを見る
下巻、一気に読み終えた。
これはまさしく自分自身が描かれている物語のようだった。
これほどまでに痛く、そして突き刺さる物語は初体験。
わかる、自分が何者でもない評価に値しない人間だということが、
ページを捲る度に、ノックアウト寸前まで殴り続けられるかのように。
圷(今橋)歩という人間は紛れもなく
今ここにいる自分自身であり、そしてあなた自身なのである。
そして、何もない自分がどうすべきかと言う道標を
しっかりと提示して終わっていく。
これほどまでに清々しい物語があったであろうか。
読み終わった今、まだこの渦の中に踠いている自分に気づく。