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香港警察といえば、『インファナルアフェア』とか『コールド・ウォー』とか展開早い香港映画を思い浮かべてしまう。
小説だとちょっととっつきにくいかと思いながらも、評判の良さにつられ読んでみることに。
結果、見事にはまってしまった。
先を読み進めたいがために睡眠時間を削られたほど。
最初の章を読んで「なるほど、こういう意外性を持ってくるのか」と構えた上で次の章以降は読んでいるのに、毎回毎回驚きに包まれた。
特に最後は、「これがあれに繋がるのか」と衝撃。
もう一度読み返すと、登場人物の心、行動の背景をより深く理解できて、新たな発見がありそう。
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「天眼」クワン警視の生涯を逆行しながら、短編が進行していく。推理小説としても面白かったが、読んでいくと、前の短編の人物との以前の関わりが少しずつ描かれていて面白かった。最終話もうまい。「世界を売った男」は今ひとつだったが、今作は面白かった。クワン警視は亡くなってしまったが、生前の別の話などの続刊に期待。
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あ〜面白かった。香港を舞台に、ある一人の警官の人生と香港の逆年代記。時代を遡り、社会の変化を感じつつ、一つ一つの章は本格ミステリ。トリック、心理、社会背景、どれも素晴らしく、読み終わって(読み疲れたときあったのだけれど)、読んで良かったと思えた、とても満足。傑作。映画も是非みてみたい。
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うーん、上手いなぁ。
バッターボックスに立ち、見せかけのボール球を楽々見逃し。その後に来る変化球をこれだ!と思いフルスイングするも見事に空振り。そして、思いもよらないところから飛んでくる球を呆然と見逃してしまう。
この小説は、6編から成り、1人の警察官の人生を遡りながら、香港の歴史をなぞっていく。私には香港の歴史のことはよくわからないが、それでも、単にミステリに留まることなく、本書に深みを与える役割を果たしている。
この壮大な物語を読んで、まず思ったことは、なぜ短編集なのかということ。長編だったらどれだけ面白いのかと興味を持った。しかし、この構成は長編を読むよりも価値があることかもしれない。それだけ見事だ。
そして、翻訳モノが嫌いなミステリ好きな方にも是非読んでいただきたい。損はしない一冊だ。
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内容紹介
華文(中国語)ミステリーの到達点を示す記念碑的傑作が、ついに日本上陸!現在(2013年)から1967年へ、1人の名刑事の警察人生を遡りながら、香港社会の変化(アイデンティティ、生活・風景、警察=権力)をたどる逆年代記(リバース・クロノロジー)形式の本格ミステリー。どの作品も結末に意外性があり、犯人との論戦やアクションもスピーディで迫力満点。本格ミステリーとしても傑作だが、雨傘革命(14年)を経た今、67年の左派勢力(中国側)による反英暴動から中国返還など、香港社会の節目ごとに物語を配する構成により、市民と権力のあいだで揺れ動く香港警察のアイデェンティティを問う社会派ミステリーとしても読み応え十分。2015年の台北国際ブックフェア賞など複数の文学賞を受賞。世界12カ国から翻訳オファーを受け、各国で刊行中。映画化件はウォン・カーウァイが取得した。著者は第2回島田荘司推理小説賞を受賞。本書は島田荘司賞受賞第1作でもある。
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普段なら読まなさそうなミステリに手を出す。著者の意図通りに転がされ楽しめたが、返還前後の香港の話もまた好きなジャンルっぽい。
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香港警察の〈名探偵〉〈天眼〉とまで言われたクワン警視の輝かしい警察人生。
第一話から存在感あり過ぎる名探偵の登場にワクワクして
逆向きの時系列で描かれる師弟関係や
数々の切れ者犯人とのヒリヒリする対決
そして想像を絶した因果に圧倒された。
とても濃度の高い感嘆のため息が...。
各話の繋がりと時の流れを感じさせる伏線がとにかく粋で...。
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一編一編レベルが高い連作短編集。香港の歴史を逆にたどりながら、時代に翻弄された人生を浮かび出しています。主人公は魅力的ですが、あまりに名探偵(神のごとき)すぎるかも。
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タイトルの意味は、2013→1967。香港警察のクワン警部が手がけた事件を遡っていく。過去へと遡っていくとこで、人の繋がりもここでこの人はこんな事をしていたのか!と後から知るのも新鮮だし、因縁もより深くみえてくる。クワン警部の名推理は素晴らしい。最後まで遡ったとき、クワン警部の主義、信念が形作られることになった原点を知る。返還前の香港の様子も面白い。
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あーもー、びっくりした。
クワン。
6つの中編。
お話が進むにつれて時代は逆行して行くのだけれど、
進めば進むほど手に汗握る展開。
良い読書だった。
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どんでん返しを含むトリックも見事だが、何よりスピーディーなストーリー展開がいい。
現在から過去への逆進行の短編構成もよく練られている。
拍手。
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初めての華文ミステリー。しかし、香港ノワールでさんざん見て来た雰囲気です。拳銃ぶっ放しの場面なんて、まさにそのもの。短編が綴られたこの構成、見事の一言でのめり込めました。主人公はほぼクワン。彼の明晰な頭脳が光りますが、最初からそうではなかった。その真相が意外すぎてうますぎて、うなりっぱなしです。
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読み応えたっぷりでめちゃ面白かった香港ミステリー。しかし読んでる最中はとにかく中華が食べたくなっちゃって困ったな。
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香港を舞台にした連作短編集。1人の刑事を主人公に2013年から1967年に遡る形。最初の一遍から設定に意外性があって引き込まれた。著者も書いている通りミクロで見れば本格派ミステリ、マクロに見れば香港の歴史や社会にも焦点を当てた社会派ミステリと言える。香港に行ったことがあれば登場する地名にも馴染みがあってより楽しめたかも。
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予備知識のない段階では、漠然と「流」(東山彰良著)のような壮大な長編かな…と勝手に想像していたが、これほどモダンで読み易いミステリー連作だとは、少し驚いた。
まさかの展開でいささか読者を煙に巻く、アームチェアディテクティヴものの小話でまずはしっかりとツカみ、そこから時代を遡っていく形で徐々に事情を明らかにしていく構成。
著者もあとがきで述べているが、香港の歴史に疎い私のような読み手にとっては、エンターテインメントでありながらその勉強にもなる。
全編通してプロットは複雑で込み入った部類に入り、ラストの物語の主人公はコイツかよ! という少し”やり過ぎ”のところもあるような気はするが、冒頭作の他、ダイナミックなアクションを絡めたり誘拐ミステリーに仕上げたりとヴァリエーション広く、また訳文も違和感を抱かせず、楽しんで読了することができた。