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電子書籍
『雲の一族』の歴史
2019/12/15 09:26
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投稿者:H2A - この投稿者のレビュー一覧を見る
歴史に見え隠れする捉えがたい『雲の一族』のたどった足跡をたどる。戦時中、周囲に忌み嫌われ迫害された一族の闇の歴史が明るみになる。戦争協力させられた親から引き離され子供たちを集め隔離監視するための学校に着任した新任の女教師の目線で、子供たちとの学校性格と、周囲の村人たちのいわれのない差別、偏見と憎悪。はしかの流行さえ子供たちのせいだと風評が広がり教師は子供たちを連れて逃避行に出る。この一篇だけでも読み応え充分。現代の一族は過去の苦い経験から身を潜めていたり、その能力をひた隠しにしているので、その子供たちには能力への自覚さえも乏しくなっている。「眠り姫」や「雲のアーチスト」として世に出るかすみ、微気候を操る建築家。みな個性的というよりむしろ没個性的で夜から隠れるように生きている。そうしたばらばらの存在が後半で次々につながって、一族としてのアインデンティティに到達する。この一族の物語をもっと読んでみたいと思ったのだが、書き込まずにあっさりしすぎているのがこの作者の欠点であり長所。他の作家なら、恋愛に発展したり内面に立ち入って行くのだろうが、川端裕人はそうした方向に行こうとしない。ただ、彼らの異能もおそらく科学の進歩とともに「無害」なものになり、一族は拡散して一般人の中に埋もれていくように予感されている。
これは良かった。
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