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つい先日、中島京子著『ゴースト』を読んだところ。その中島京子が「推薦!!」と帯にあり、つい手に取ってしまった(笑)
お手軽なイラストエッセイと思い読み始める。「おしゃれなおじさん」「アートなおじさん」。フムフム、なるほどパリっぽい。
”選おじさん眼”に自信の著者が選んだだけあって、一家言を持ったおじさんが並ぶ。
「白と黒は補完し合う関係だ」と黒人系のピアニストは語る。 「2分考えればすむことを、みんな大袈裟に考えすぎ」とMUJIブランドを愛するシンプルを信条とするシャレ者や、ピカソを「嫌な奴だった」と述懐するアーティストは、芸術は経済に蹂躙されたと嘆息する。
たった二週間で取材したとは思えない含蓄に富んだオジサンたちの人生訓が陳列されていく。
やがて、「あそぶおじさん」の章で人生の真髄に迫り、「はたらくおじさん」「今を生きるおじさん」と進むにつれ、宗教や難民問題、昨今のテロや人種差別など、フランスという国家が抱える諸問題へと話が深まっていく。。。
昨年(2016)見たフランス映画『奇跡の教室』で、ひとクラスに29もの民族がいるというかの国の実態に驚いたが、本書に登場する67人のおじさんも人種、国籍、経歴、職業、宗教が実にバラエティに富んでいるのだった。
たまたま絵になる、フランスはパリのおじさんをモチーフに選んだのかもしれないが、今この渾沌とした世界の縮図とも言えるパリで敢行されたこの試みが、実に時宜を得て成功している気がする。
2015年に起きたパリ同時多発テロの現場となったカフェにも足を運ぶ。女主人(ここだけは、おじさんじゃないのだけど)は、一旦は取材を拒否するが、やがてこう語る。
「わたしたちは、生きることに決めたの。前を向くことに決めたの。そのためには忘れる時間が必要なの」
ここ数年の間、2度足を運んだパリだが、また見る目が変わった気がする。人種、民族、文化、宗教・・・あらゆるものが百花繚乱。花の都の愛称は伊達じゃあない。
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植民地政策の生々しい現実と、身の回りにいるキャラクターの強い人たちの話にぐいぐいと引き込まれました。
とても楽しい読書体験でした。
人は話してみないとわからないことが多いが、たくさんの人とたちのこだわりを聞くたびにその思いを強くした。
あまり意識していないけれども、似たようなキャラクターの濃い人たちが周りにいるかもしれない。そーゆー目でいろんな人たちと話をしてみるのもいいかもしれない。
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読む前はファッション関係の本かと思っていたが、そうではなく、パリに住む様々な背景があるおじさまたちの生き方やルーツなどがインタビューしてあり、フランスの歴史を少し知れて面白かった。
パリの地下通路の話、面白かったな。
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取材後記に書かれている「この旅は、人間というもの、生きるということの破片を集める旅だった」というまとめにしびれた読後感。
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カフェのオーナー、NPOの職員、市役所職員、先生、弁護士さんなど、パリで道ゆくおじさんたちに声をかけ、人生を語ってもらったことをまとめた本。含蓄あるセリフが多く、なんだかみんなおしゃれに見える。こういうおじさん目指そうかな。いろいろな名言も飛び出すが、気に入ったのは「料理人はテクニックを見せてはいけない。テクニックは食べられない」というセリフ。このほか「2分考えればすむことを、みんな大げさに考えすぎ」「はつらつとしていられることが一番大事。そのためには自分を知らないと」「機械を使えば二時間で出来ることを、僕は手で100時間かけてやりたい」「大事なことを後回しにするな。人生を学んでいるうちにすぐ歳を取ってしまう」「ほとんどの問題は他者を尊重しないことから起こる」などなど、みんな一家言持っているんだなあと感心。
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著者の金井真紀(1974年~)は作家・イラストレーター。
本書は、パリ在住40年のフリージャーナリスト広岡裕児(1954年~)と組んで、二人の共通の商売道具である好奇心と、金井氏の選おじさん眼と、広岡氏が自在に操るフランス語の3つを武器に、パリの街を2週間歩き回り、捉まえた67人のおじさんを“陳列”したものである。それぞれのおじさんについて、話に加えて、著者の描いたすてきな似顔絵が添えられている。
67人のおじさんは、ルーツ・民族・宗教・職業・年齢・・・実にバラエティに富んでいる。カリブ海諸国からの移民を両親に持つ絵描き(50歳)、世界中を旅するスペイン人のギター作り職人(76歳)、チュニジア移民二世の老舗クスクス屋の店主(50歳)、休日にサッカーに興じるアルジェリア移民二世のベルベル人(45歳)、人気サッカーチームのパリ・サンジェルマンのファンが集まるバーの店主(53歳)、毎日競馬場に通う引退したアルジェリア移民(92歳)、西アフリカ・マリからの出稼ぎのスーツが似合うコンシェルジュ(56歳)、フランス系ユダヤ人とチュニジア系ユダヤ人を両親に持つチュニジア生まれのお菓子屋(72歳)、中国浙江省生まれの小さな出版社を経営する中国人(50歳)、ホロコーストで両親と3人の弟妹をなくしたポーランド系フランス人(87歳)、在仏クルド人自治区領事館に勤めるイラクから逃げてきたクルド人(29歳)、キュリー研究所で長年ガンの研究をしてきたベトナム人(76歳)、等々。
私は知命を過ぎた、まさに著者のメインターゲットとなるおじさんで、「“すてきなおじさん”になるためのヒントが得られるといいな~」くらいの気持ちで本書を手に取ったのだが、登場するのは期待に違わぬ味のあるおじさんばかりであった。
しかし、それにも増して印象に残ったのは、たった2週間の滞在でこれほど多彩なおじさんに出会う、パリという街の奥深さであった。パリはやはり、様々な歴史・地理的要因を背景にした人種のるつぼであり、ある意味、世界の縮図なのだ。(東京で同じことをやろうとしても絶対にできない)
すてきなおじさん達の話を聞きながら、世界の多様性を感じることができる良書である。
(2018年2月了)
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フランスのおじさんにインタビューをして、似顔絵とともにその人の半生やポリシーを紹介する。20人超くらい?
とても素敵な発想だなと思いましたが、あまり入り込めず、後半はちょっと飽きてしまいました。
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パリ在住のおじさんの人生模様を無作為なリレー形式で語りつつ、いろんな問題提起をしていて興味深く読めた。
日本にも闇というか改善ポイントいっぱいあるけど、フランスもそれなりに抱えてる。
ただその問題をどう受け止めるかという姿勢とか考え方はフランス人の方が一歩も二歩も先だなと。
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友人の紹介で読んだが、1つ1つの話がテンポがよく非常に読みやすい。
フランス在住のおじさん、広岡さんの視点やコラムもいい。
そして絵もすてき。
そしておじさん毎の章のタイトルが、そのおじさんの言いたいことを物語っている。
それぞれの生きたあかし、人生を語っている。
もう15年以上、パリには行ってないけど、ただ、ここまでフランスに人種が入り混じっているのは正直驚いた。
フランスの複雑な社会構造も勉強になった。
繰り返し読む本になりそう。
広岡さんみたいなパートナーがいないと難しいかもだけど、同じ移民大国イギリスやアメリカでもやってほしい。
あと、ネイティブ・アメリカンやアボリジニの話なんかも。
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パリ在住の素敵なおじさんたちをインタビュー。パリといえばまずは華やかなイメージを思い浮かべるけれど、歴史、難民、テロ、華やかでない面もあり、インタビューされた方の心に影を落としていた。それをうまく引き出して書いている。素敵な絵とともに、目の前で話を聞いているようで、時にはああたたかく、時にはじんわり、時には寂しさが伝わってくる。移民の国でもあり、おじさんたちは、宗教もバラバラで、インタビューされたのはごくごく一握りの人だけれど、一人一人がパリを作っているんだなあと。ユダヤ人のお話しなど、歴史を語るところもあり、一面ではあるが、ガイド本とは違うパリを知れる本ではないかな。また、哲学的なセリフもあるので、心がブルーな時に読んでも。それにしても素敵なおじさん集めてきたね。
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おじさん大好きの著者がパリで出会ったおじさんにインタビューして、イラストを添えて、といった感じの本。
人間味が出てこそ、すてきなおじさんと思ってもらえるのかも知れない。
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『パリのすてきなおじさん』(著:金井真紀/広岡裕児)
今年に入って読了した本がたまってる・・・
付箋部分を抜粋します
・「ぼくの商売道具は好奇心」(P2)
・人生には予想外のことが起きる。そして限りがある。だからこそ、本質的なことだけに目を向けるべきだ。
考え過ぎず、シンプルに(P19)
・自分の仕事を批判する人がいない職場はつまらない。同じことを繰り返していても技量は下がっていくだけ(P52)
・人生を学んでいるあいだに手遅れになる。だから大事なことを後回しにしてはいけない。人生とはそういうものなんだと
思います(P67)
・どこの国に行っても、たとえことばが通じなくても、気持ちよくはたらいている人というのは、すぐにわかるものだ(P152)
・さびしさと自由は表裏一体だ(P157)
・「細かいことにくよくよしなくなった。いまを生きるしかないと思えるようになった」(P227)
・「人生で大切なことはなんですか」
「いま、このときを味わうこと」(P235)
・ええい、ままよ。人生は短い。準備が整ってからやりますなんて言ってたら、何もできなくなる(P248)
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いいね!
今の生きたパリに住んでいる個性的なおじさん達を取材してその生き方なんかをイラスト入れで書いているんだけれどその短いタイトルがおじさんの人生を表していてグッときます。//イラストもいいです!
ちょっと泣ける話もあったりして、なんかすごい本です。
今のパリって感じ。旅行じゃなくて住んでるパリって感じで凄いよかった!
テレビで見た一万円選書を行ってる「いわた書店」の番組を見てそのテレビの画面に映っていたのがこの本...こんな本を選ぶなんて素敵だ!ってことで「いわた書店」のサイトです
http://iwatasyoten.my.coocan.jp/index.html
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昨年度、学校図書館に購入した本。
当時話題になり、イラストも素敵で読みやすそうだったので、生徒にも先生にもいけるのでは?と思ったのだが、パラパラとめくっただけで、きちんと読んでなかった。
もっと早く読んでおけば良かった!
しかし、このタイミングで読めて良かった!
パリはオシャレなだけでなく、本当に懐の深い街なのだということが、色々なおじさんの語りから分かる。
また、金井真紀さんと広岡裕児さんのコンビが絶妙。
パリ在住40年の広岡さんの伝手でお願いしたおじさんも数人いたようだが、残りほとんどは街歩きの偶然頼み。しかし、金井さんのおじさんハント能力は目を見張る。
自称25歳から92歳までのおじさんたちのそれぞれの人生が、このフランスの歴史を断片的に語り、この国の有り様を伝えてくれる。
先の大戦、ドイツ占領下のフランスでもユダヤ人弾圧はあった。そのサバイバーである「隠れた子ども」だったロベール・フランクさんの話は、フランスでのユダヤ人たちがどんな状況にあったか詳細に伝えてくれる。学生の時ビデオで見たフランス映画「さよなら子供たち」ルイ・マル監督を思い出した。
ベトナム戦争の頃フランスに逃がれてきたレ・ディン・タイさんの話や、クルド人領事館で働くイラクから逃がれてきたレワン・ハッサンさんの話もその体験は筆舌し難い。
想像していた以上に、様々な人種と宗教を抱えるフランス。今は、新型コロナウィルスでアジア人への差別的行為が問題となっているが、共和国市民という共通の概念が、それを乗り越えていく礎にあることも、この本を読むことで分かる。2020.3.8
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パリの街であった素敵なおじさん達と話をして、そのおじさん達の生きてきた道についてエッセイとしてまとめてある。読み始めた時はフランスなので、内容がオシャレなんだろうなとの先入観があったのだけれど、これがなかなか硬派な内容だった。移民等の人種問題や、イスラム教徒の問題、第二次世界大戦のときのユダヤ教徒の話。クルド人自治区のおじさんの『人生は闘いだと思っています。今日、あなたにクルドについて話すことも私にとっては闘いです』という言葉が深く響いた。イラストも味があって素敵だし、良本だと思う。