紙の本
型にはまってしまっている
2018/04/16 13:08
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投稿者:るう - この投稿者のレビュー一覧を見る
どうも作者さんの作品が小さくまとまってきているようで物足りなく感じています。
登場人物の皆を「立派」という型にはめ込んでしまったせいかあまり面白いとは思えなかった。
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小日向水道町にある、いちょうの大樹が看板の『銀杏堂』は、嶋村夫婦が二十五年に亘って切り盛りしてきた手習指南所。子を生せず、その家に出戻ることになった一人娘の萌は、隠居を決め込む父・承仙の跡を継ぎ、母・美津の手助けを得ながら筆子たちに読み書き算盤を教えることに。だが、親たちは女師匠と侮り、子供たちは反抗を繰り返す。彼らのことを思って為すことも、願い通りに届かない。そんなある日、手習所の前に捨てられていた赤ん坊をその胸に抱いた時、萌はその子を引き取る決心を固めるが……。子供たちに一対一で向き合い、寄り添う若き手習師匠の格闘の日々を、濃やかな筆致で鮮やかに描き出す珠玉の時代小説!
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三年子をなせず、婚家から出された萌は、父の手習指南所を任されたが、心の痛みから、なかなか一心に打ち込むことができずにいた。だが、ひとりひとりの筆子の事情や、懸命に生きている彼らに近しく接するうちに、次第に自らも力を得ることができ、子どもたちと真正面から向き合うようになっていく。それには、我が子として育てることにした、自分と同じ境遇の捨て子・美弥の存在がことのほか大きいようである。初めは胡散臭く思っていた師匠仲間の椎葉たちとの会話の中からヒントを得て、子どもたちの抱える問題を解決に向かわせる様子も、機転と知恵と思いやりの気持ちが伝わってきて好ましい。心温まる一冊である。
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初出 2016〜17年「小説NON」
江戸は小日向水道町にある手習い所「銀杏堂」の女師匠島村萌の連続7話の物語。けっこう涙腺を刺激され一気に読了。
萌はかつて銀杏堂の前に捨てられた捨て子で、銀杏堂で教える父母に慈しみ育てられ、御家人の家に嫁いだものの子が生まれず離縁されて実家に戻り、隠居した父に代わって悪童たちに手こずりながら師匠を務めていた。
ある朝、銀杏堂の前に捨て子があり、萌は決意して借金して乳母を雇い娘として育て始め、かつて自分を育てた母の思いを改めて感じる。
父と親交のある近所の手習い所の師匠で酒吞みの椎葉が他の手習い所で落ちこぼれた(発達障害と思わせる)子たちの人より優れた才能を伸ばす教育や、大奥で右筆まで勤めた女師匠の「教え子に好かれようと、優しいだけの芯のない教えは駄菓子と同じ」という厳しい指摘に、考えさせられながら前向きに教え子たちに愛情を注ぐ。
悪性の風邪の流行で父親を亡くし、染めの型紙職人への夢を捨て手習いを辞めて働こうとする子には、文盲の職人の元で働きながら修行できるように力を尽くす。
子供たちだけで元大名屋敷だった森の中に薬草を探しに行って帰り道に迷い、木の上で野犬から身を守って夜を過ごす冒険譚もある。
最後は捨て子だった娘が誘拐され、同じ日にその生母が現れるという驚きの展開となる。
萌が師匠として、人間として悩み成長していく姿はすがすがしい。『金春屋ゴメス』という異色のデビュー作で驚かされ、『涅槃の雪』で深い哀切を味わわせてくれた作者の円熟を感じるいい作品。
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出戻り先生の小さな塾。
百姓の子も商人の子も侍の子もいる。学問がその子の将来に僅かでも役立つ様にという思いで情深く指導にあたる。
捨て子も育てる事になり、血よりも情の思いを強くする。
子供への思いが温かい。
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子供ができず離縁された萌は実家に帰って手習いの先生となる.女先生と侮られながらも少しずつ子供たちの信頼を得て,お互い成長していく涙あり笑いありの物語.捨て子を拾って子育てするのも自分が捨て子だったことと重なって,現代に通じる子育てを考えさせられた.
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銀杏のある家で手習所を母と開いている萌。
こどもたちはきょうも賑やか。
連作。
子供の数だけいろいろあるんだな。和んだ。
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【収録作品】銀杏手ならい/捨てる神拾う神/呑んべ師匠/春の声/五十の手習い/目白坂の難/親ふたり
一人一人に目を配り、その必要に応えるという教育の原点を見る。何のための勉強か、教える者も学ぶ者もそれを自覚することの大切さが語られている。この先も彼らを見ていきたいと思わされる連作。続編あるかな。
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小日向水道町にある、いちょうの大樹が看板の『銀杏堂』は、嶋村夫婦が二十五年に亘って切り盛りしてきた手習指南所。子を生せず、その家に出戻ることになった一人娘の萌は、隠居を決め込む父・承仙の跡を継ぎ、母・美津の手助けを得ながら筆子たちに読み書き算盤を教えることに。だが、親たちは女師匠と侮り、子供たちは反抗を繰り返す。彼らのことを思って為すことも、願い通りに届かない。そんなある日、手習所の前に捨てられていた赤ん坊をその胸に抱いた時、萌はその子を引き取る決心を固めるが……。子供たちに一対一で向き合い、寄り添う若き手習師匠の格闘の日々を、濃やかな筆致で鮮やかに描き出す珠玉の時代小説!
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人に教えることによって自分自身も成長していくのだなぁと思った一冊。
子が出来なかったことで離縁され出戻りとなった萌。実家の手習所“銀杏堂”で教えることになりましたが、聞き分けの良い子ばかりではなく、子ども達のいたずらに手を焼いたり、家の事情で働かなければならなくなった子がいたりと翻弄される日々。捨て子だった自分を育ててくれた両親と同じように萌もまた捨てられた子を育てたてと願いますが…。
もやもやとした思いを抱えたままだった萌が、一つ一つの出来事を通して覚悟と思いを深くしていく様子は爽やかに感じられました。
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手習い所「銀杏堂」の師匠である萌。女師匠であることの引け目を感じつつ、頑張っている。そんな萌の暮らしや子供達とのやり取りを描いた作品。実は捨て子だった萌が、同じく門前に捨てられた子を我が子として育てようとするなど、様々な出来事が起きるが、持ち前の聡さで乗り越えて行く。爽やかな作品。
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少し前に読んだ梶よう子さんの『墨の香』と似た設定(出戻り、手習い所の師匠)だが、こちらは新米師匠としての葛藤や成長、そして子を成せないヒロインが捨て子を得て母になっていく姿という、絞ったテーマのおかげで読みやすかった。
筆子(生徒)たちのキャラクターも良かったし、個性的な師匠や厳しい師匠、厳しくも温かい母などの脇役も良かった。
出来ればヒロイン萌のプライベートの充実も知りたかったし、子供たちのその後や、他の子供たちの事情も知りたかった。
何となく物足りない感じの終わりかただったようにも感じるので、続編を期待したくなる。
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20180310
子供ができない故に嫁ぎ先で離縁され実家に戻って 父承仙の開いた手習い所 銀杏堂で母 美津と共に教えることになった萌先生とその教え子たち。家の前に捨てられ自分の子として育てることを決意。さまざまな葛藤や事件を乗り越える。
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旅に出た父親の跡を継ぎ、萌は手習所の先生を始める。教え子たちにはびっくりするくらい舐められ、学級崩壊状態だったが、少しずつ子どもたちにも認められていく。桃助の薬草探しの章が良かった。増之助と角太郎が子どもながらに年下の子どもたちを守ろうとするのがかっこいい!大人ぶった気っ風のいい喋り方も好き!いろんな手習所で落ちこぼれた子どもたちの長所を見つけ、自分を信じられるようにしてあげている呑んべ先生も好き!
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子供が出来ぬために、婚家から出戻った萌。
銀杏の大樹がある手習い所「銀杏堂」が、実家である。隠居を決め込んだ父に代わって、萌は跡を継いで、武家のたしなみのある母 美津に教えてもらいながら、女師匠となる。
7話からなっているのだが、どれも、子供との関わりで、萌も成長していく過程が、女師匠としての頑張りがわかる。
何でも、反抗する子供たちにも、理由があること。
そして、萌自体、捨て子であった事等、、、、
今の親に感謝しながら、銀杏堂の目に捨てられていた赤ん坊を引き取ることに、、、
子供を大きくしていくには、どれほどの愛情が必要か?、、、又、この時代、自分の家の家業を継ぐには、何を学んで、どのように活かしていかなければならないか?、、、
最後の言葉の「当たり前の日々が、何よりも尊く有難い」と、、、、日々感謝して生活したいと思う一文であった。
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萌は、子ができず離縁され、両親が開く手習所「銀杏堂」を引き継いだ。
<手習いは板切れに過ぎない>
それでも、真冬の海(世間)を泳ぐには、
板切れがあるかないかでは大きく違う。
手習所に通える子どもたちは、まだ幸せだ。
多くは、生きることに精一杯の毎日。
萌には、子どもたちを救えなかった後悔もある。
女師匠して教えているつもりが教えられ。
厳しくも人情味溢れる江戸時代の庶民の暮らしは楽しいだろうか。
できることなら、のぞいて見たい気もする。
西條奈加さんの時代小説を思う存分堪能した。
おもしろかった。