紙の本
あの福士投手が在籍していた三美スーパースターズのファンのお話
2021/09/14 23:07
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投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
三美スーパースターズと聞いて、一番最初に思い出すのが広島に在籍していた福士投手(韓国名・張明夫)、小説の中でも熱く語られているように弱小チーム・三美を83年に30勝して優勝寸前まで押しあげた。この凄まじい記録の裏には、シーズン前、球団社長が「30勝をすれば、1億ウォンだす」という言質があった。社長もまさか30勝するとは思わなかったのだろうが、この発言について知らないふりをしたため、福士はやる気をなくしたということは何かの読み物で私も読んだことがあった。このころの三美は90年代(92年を除く)の阪神の惨状と重なるものがあり、親近感がある。あのころの阪神ファンにもヤクルトに寝返った輩が確かにいた、それも三美の惨状とかぶってしまう。私はプロ野球ファン必読の書だと明言する
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たぶん野球じゃなくとも応援するチームがクソ弱いとこんな気分になるよなあ・・・
という子供時代から青春、そしておじさんへ。
いやあ沁みるけどすげえ笑った。
とにもかくにも。
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野球を題材にしているだけで個人的には楽しいんですが、主題は野球そのものではなくて、社会に翻弄されながら自分の生き方を見つけていく、気持ちの良い読み物でした。韓国の世相を垣間みられたのも良かった。
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野球、青春、社会問題、ぜーんぶひっくるめて面白くしました、という感じで最高でした。
時は韓国プロ野球元年の1982年。仁川に創設された三美スーパースターズの少年ファンクラブに入った少年たち。あまりにも弱すぎる三美、チームの解体、そして少年たちは青年、中年になっていく。酒と女に溺れる大学時代、激務とIMF危機、ファンクラブ再結成など、読みどころたくさん。ドラマチックな彼女との出会い(黄河)や友人ソンフンの畳み掛けるおとぎ話(笑)が好き。怪しすぎる店長もたまらん。
そして『プロ』という呪縛…。自分も囚われているし、人に強いているなあ、と反省。『打ちにくいボールは打たない、捕りにくいボールは捕らない』、目からウロコでした。そして『進塁』していくのだなあ。応援していた弱小チームが強くなったときの寂しさはここにあるのか、と思ったり。いい本でした。
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これが社会に合わせた生き方だろ!っと明るく自分に言い聞かせながら歩んでいく主人公が、徐々に自分の人生を歩き出す過程が痛くもあるけど爽やか。韓国社会の中での話だけど、普通に生きることの困難さ、厳しさの親和性は世界的。
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著者のデビュー作。『ピンポン』が奇想天外なストーリーで面白かったのでデビュー作を読んでみたくて手に取りました。面白かったですが、冗長な面も。晶文社の「韓国文学のオクリモノ」シリーズ(6冊)では、チョン・ミョングァンの『鯨』に次いで2冊目です。
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同作家の短編小説集「カステラ」があまりに面白く、またポップな装丁とタイトルに惹かれたこともあり読書。
とにかく着想と比喩表現の巧みさ。
史上最弱の球団とそれを応援するファンの少年二人。贔屓球団の勝敗に一喜一憂する少年時代を経て、主人公は次第にプロとは何なのか?所属するとは?社会の仕組みとは?と自分の人生を重ね考えていく。そして、最終的に人生をどう捉えて生きていくかまで発想を発展させて物語を展開していく手腕は見事。
作家は常にめっちゃ考えてる。
で、その考えをわかりやすく人に伝える手段として、別の事柄と別の事柄の共通点を見つけてビビビッとコネクトさせちゃうセンスが秀でている。
何も難しいこと書いてないのに、深く考えさせられていたく感動した。