紙の本
際立つ小泉純一郎の凄さ
2018/09/24 23:05
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投稿者:K2 - この投稿者のレビュー一覧を見る
首相主導をキーワードに、平成の政局を解説。小選挙区制の持つ重い意味がわかった。政策の功罪は措くとして、小泉純一郎の凄さが際立つ。平成を代表する宰相であるのは間違いない。新聞記者特有の文体と、やや格調を欠く表現が気になったが、平成の政局を振り返るには最適であろう。平成が30年も経ったかと思うと感慨深い。
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平成を中央政治の観点で振り返るとこうなるのか。
既に退場した人たちの名前がたくさん出て来るが、今の安倍政権と小泉政権を除けば、小沢一郎に振り回された印象が強い。
当事者の思いに関わらず、小選挙区導入によって衆院選が政党選択選挙となり、一旦は民主党に政権が移ったものの、内閣主導政治にうまく対応した自民党が政権を独占する結果になった。
少数分割している限り、野党にできることは与党の揚げ足取りしかなく、今の不毛な政治状況は当分続くのだろう。
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新聞記者+政治学の蓄積がうまい具合に合わさっている感。近年に関しては著者が現場から離れたからか、まだ歴史になってないからか、荒い印象。
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タイトル通りの内容だが実に重厚。冷戦終結/バブル崩壊→政治改革(選挙改革)→行政改革→官邸機能強化という太い平成デモクラシーの政治過程におけるかなり細部までを語った力作。この30年間の日本の政治を流れで掴むにはうってつけの本かと思う。読んで思うのは、平成の政治を形作った主役の一人は間違いなく小沢一郎であったということ。彼が構想し、実現し、そしてぶっ壊し続けたのが平成の政治。そしてその中で数々の人間ドラマが繰り広げ荒れるわけだが、最終的に残るのは人ではなく制度であるところが面白い。(そして、小沢一郎が天下を取った訳でもない)
選挙制度を変えると、これほど政治のガバナンスそのものが生き物のように変化するのは驚きであり、つとめて人は環境の申し子であることが分かる。
平成は今年で終わるわけだが、また時代の要請によって選挙制度を変えて政治の流れを変えるのか、あるいはその前提である憲法や二院制というもっと根本を換えて国の有り様を変えていくのか、ポスト平成の政治家のセンスが問われるとこだと思う。ポスト平成の小沢一郎は誰になるのか?楽しみでならない。
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衆院小選挙区制が導入されて以来の、首相の「政治力」を巡る政局の推移(小泉から民主党、そして安倍)を、徹底してジャーナリスティックな手法で記した労作。日本の政治の中枢がどのような力学で廻っていったのか、後世の資料となることを狙っているのかな。
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衆議院選挙に小選挙区比例代表並立制を導入した政治改革をはじめとする統治構造改革がもたらした「政権交代」と「首相主導」をキーワードとする「平成デモクラシー」という枠組みに立脚して平成の日本政治史を叙述。
平成の統治構造改革が日本政治に大きな変容をもたらしたことを、小沢一郎が主導した政治改革の始まりから橋本行革、小泉「革命」、民主党政権の実験と失敗を経て、現在の「安倍一強」の状況までを振り返ることで示している。そして、現在の「安倍一強」状態の安倍政権は、政権選択を実質的に封じ込める狙いで解散権を行使しており、政権選択と首相主導という「平成デモクラシー」の両輪のバランスを揺るがしていると指摘している。
本書を読んで、「平成デモクラシー」という概念のもと、平成の日本政治史を構造的に理解することができた。「ゲームのルール」としての「制度」の重要性を感じた。著者は歴戦のジャーナリストだけあって、文章自体も読ませるもので、非常に読み応えがあった。
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丸山真男が、日本のジャーナリズムには、政局報道はあって、政治報道はないと喝破されているが、
新聞によっては、どの政治家とどの政治家が、会食して、どーのこーのと批評、評論をベースにしない、実につまらない記事に遭遇する事がある。
最後まで読むと、著者は、新聞記者であったようだ。
新書ではあるが、アカデミックや学問的とは少し違った、読み物として面白い本となっている。
官僚主導から政治家による政治主導の政治へのチャレンジを基調に、統一感がある感じで、政治家の肉声を交え、つまらない政局報道とは画した形で、平成の権力を巡る人間ドラマが、読みやすい形で提供されている。
非常に大分であるが、スラスラ読めます。
この本を読んで理解した事は、小選挙区制による選挙制度は、もはや不可避であるということと。
比例区と小選挙区との配分も、概ね正しいということだ。
そして、僕は、一点張りでの政策選択選挙は支持しないのだが、覚悟の決め方、やると言ったら、どうやってもやる意思の強さ、時に見せる非情さ、小泉純一郎元首相は、立派な政治家のプロだという事が、よく理解できる。
三浦 瑠麗(国際政治学者・東京大講師)の2018年の3冊。
平成の政治改革をドライブした権力闘争のダイナミズムが示される。
やはり、政権交代があると、政治のダイナニズムを感じる。
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【この時代を画するキーワードは「政権交代」と「首相主導」である】(文中より引用)
55年体制の崩壊に加え、2度の政権交代も実現した平成時代の日本政治。膨大な証言や記録を紐解きながら、政治組織体や統治機構がどのような変化をたどったかを考察した作品です。著者は、日本経済新聞の記者として派閥の取材にも当たった清水真人。
多くの党や人物が表紙を飾った平成期の政治を振り返る上で大変参考になる作品。権力の在り処とそれをめぐるゲームのルールがどのように変化を重ねたかがよくわかる一冊です。ジャーナリスティックな記述もあり、読んでいて飽きがこないような書きぶりになっている点も高評価。
ハードカバーにしても良かったんじゃないかと思わせる充実ぶり☆5つ
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「平成デモクラシー史」清水真人
政治ドキュメント。オーク。
政治とは制度の上で繰り広げられる駆け引きである、という視点から、平成の政治史を大きな転換期ごとに描いたドキュメント。
80年代後半生まれの僕にとって、平成の政治とは、派閥争いであり、権力と汚職であり、演出された劇場だった。
中学校の公民の授業で習う、議院内閣制や三権分立の理念と、日々ニュースで流れてくる『政治屋』の人々の言動に、つながるところを感じないまま大学生になり、社会人になり…、会社の組織の構造に馴染んでもなお、社会と政治の構造には疎いままだった。
ようやく30代(!)にして、この国の(少なくとも骨組みは)どうやって決まっていっているのかを見、その骨組みの全体像を知るために手を取った一冊。
政治家の自著は数多あれど(『私は闘う』『老兵は死なず』(野中広務)と『美しい国』(安倍晋三)だけ読んだ)、社会の動きに紐づいて、政治の舞台とその流れを緻密に書き起こしており、教科書で習った政治制度と現実世界の政治動静をつなげる良書。
なお、デモクラシーであり、政治ドキュメントでありながら、密接不可分に語られているのが、「官」の世界だ。
まさに制度の代名詞としての官僚構造と、それを現実に動かしている個々の官僚と政治家の蠢きには、報道には出てこない生々しさを感じる。
出版は2017年12月。このあとに、森友問題とそれを巡る財務省と文書管理を揺るがす国会論争、立憲民主と国民民主の完全分離路線、そして安倍晋三の3選と、政官とも大きな動きが起きた。改版での追補にも期待。(5)
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平成を駆け抜けた政治のダイナミズムを臨場感たっぷりに楽しむことができた。
「事実は小説より奇なり」とはいうものだが、まさにこの30年間の政権を巡る争いは、非常に興味深く、そこには確かな必然性を帯びたストーリーがあった。
改革に向けて、制度が変わり、個性的なプレーヤーが入れ替わっていく。いまの自民党政治体制に至るまでなにがあったのかよく理解できた。
そしてなりより小泉純一郎のリーダーシップに強く惹かれる。しがらみや前例にとらわれず、自分の信念に従って、時に犠牲を払いながらも、突き進む姿は、自民党のみならず、族議員が跋扈した前時代の「政治家」をすべてぶっ壊したのかもしれない。
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英国流の議院内閣制からいえばインフォーマル?な、この本で言うところの政党・官僚内閣制から、議院内閣制への一元化、政治主導の確立への道のりを平成デモクラシーとして描写する。
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小泉政権を挟むものの旧態依然のシステムに頼り、徐々に瓦解していく自民党政権▶政権奪取したものの、理想に走り実を伴わず内部闘争に明け暮れた民主党政権▶二度と政権を譲らない覚悟で清濁併せ呑む安倍政権
大まかに言うとこういう流れがよく分かります。
つくづく思うのは小選挙区制である以上対抗できる野党が日本には必要だということでした。