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この著者の作品は読むのが辛い題材が多いが不思議と読み進められる。今作の場合、生活保護のシステムについてしっかり書き込まれていて感情的な面とのバランスが取れてるように感じました。たまにはありがちなどんでん返しで終わることもあるんだなと思ったらやっぱりそんなことはなかったです。一気読み。
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生活保護を題材にした小説。
福祉の話はつらい話が多い。
親の介護で仕事を辞めざるおえなかった人が親の死後、
仕事に就ける保証はない、どこにもない。
いつ、何を発病するかもわからない。
いつ、どこで災害が起こるかわからない。
それは、明日の自分かもしれない。
みんな綱渡りのギリギリだ。
けれど、国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利がある。
この国はどうなるのだろうと考えてしまう作品だった。
人物の描写はお見事、その人の顔が見えるようだった。
それだけにツライ話だった。
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面白かった。今の世の中で餓死する人がいる現実に胸が痛む。途中で犯人の検討はついたが、まさかあの人と同一人物とは思わなかった。
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これは余りにも切なすぎるよ。けいさんの死、そして遺言。泣けます。
現実の行政ではこんなにヒドイ扱いは無いと思うが、それでも全く無いとも言い切れないだろう。
この本を期に自分が少しでもけいさんの遺言を実行していけるようになれれば…
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これは…ツライですね。
けいさんが最後まで「けいさん」
だったことだけが救いかな…
けいさんとカンちゃんと利根さん
3人の生活がずっと続いてほしかった。
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ミステリー,警察の犯罪捜査の小説というより,福祉行政のあり方を扱った社会派小説だ.特に餓死してしまった母親のようなけいさんの存在感が圧倒的だ.「いい子でいなさい」に込められた愛情に全てが覆われていくような読後感.この本をたくさんの人が読んで,福祉行政が少しでもいい方に流れればいいのにと思いました.
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残酷なやり方で連続する殺人事件。捜査をしていくうちに見えてくるのは生活保護と不正受給問題。ミステリー小説としての面白さはあるが、それ以上にこの社会問題の方が重たく心にのしかかってきた。生活保護を受けようとする側、不正がないかとチェックする行政側。納得する部分、納得できない部分、様々な葛藤がある。そこから生まれた殺人事件。真相は中盤でだいたい見えてくるが、重要な部分を見せていなかったのでどんでん返しがあるんだろうなと思いながら読んでいくと二転三転のスピード感。やはりミステリー小説としては楽しめる。でもやっぱり今回はフィクションとはいえ、何ともやるせなくなる社会派小説だったと思う。
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哀切極まりない社会派ミステリ。監禁されて餓死という無惨な状態で発見された被害者たち。しかしその繋がりを調べるうちに浮かび上がった、社会の歪み。なぜ声高で自分本位な者ばかりが護られ、慎ましい者が護られないのか。そして大切な人を護れなかった者の痛みもまた耐え難くて。ひどくやりきれない物語でした。
テーマとなった生活保護と不正受給の問題は、そりゃあ確かに見極めるのが難しい部分もあるのだろうな、とは思うのですが。こんな事態になってしまう前に誰かしら行動を起こすことはできなかったのだろうか、と思いました。もちろん役所の人間だって板挟みな部分はあって、一概に誰が悪人だと言うことはできないのでしょうが……。
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仙台市の福祉保健事務所課長・三雲忠勝が、手足や口の自由を奪われた状態の餓死死体で発見された。三雲は公私ともに人格者として知られ怨恨が理由とは考えにくい。一方、物盗りによる犯行の可能性も低く、捜査は暗礁に乗り上げる。三雲の死体発見から遡ること数日、一人の模範囚が出所していた。男は過去に起きたある出来事の関係者を追っている。男の目的は何か?なぜ、三雲はこんな無残な殺され方をしたのか?罪と罰、正義が交錯した先に導き出されるのは、切なすぎる真実―。
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社会の弱者=護られなかった者たちにスポットを当てた物語である。そして、同時に、護ることができなかった者たちの物語でもあるように思う。切り捨てられる人たちと、切り捨てる側の人たち。その温度差と、切実さの乖離が、読んでいて痛ましい。殺人という最悪の事件を捜査する過程で暴き出された、福祉の現場の矛盾と葛藤、その恩恵からはじき出された人たちそれぞれの生きざまと、その後の顛末が、胸を絞めつける。これまでの過程のどこでどうすればよかったのだろうか。いくら考えても答えが出ないのがやりきれない。取り返しのつかないことをしてしまった真犯人が、罪を犯したことには違いはないが、それを憎むことが、正直できずにいる。解決に向けて動き出さなければ、これからも何も変わらないのだと思い知らされた一冊でもある。
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仙台市の保健福祉事務所課長が死体で発見され、その後、県議会議員も同様に殺される。同時進行で一人の模範囚が出所しているが…。今回はミステリというより生活保護をテーマにした小説といった風。申請する方、役所の担当職員、その他多面から現状が見える。著者の言葉に「この物語の犯人はわからない」とあったが、確かにその通りだ。真面目に生きていく人が辛い目にあうなんて。どうにかならぬものか。流れは、そんな感じになるんじゃないかと思っていたけれど、最後まで波に乗って読めました。けいさんは、筋が通った方、うまく書き上げていたなあ。
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本当に護られるべき者とは誰か。どうやって護ればいいのか。自分の護るべきものを必死に護ろうとした結果が・・・切なすぎる。
「支給されなかった生活保護費も、遺体の焼却と埋葬の費用も同じ税金だ。それならどうして生きる目的のために予算を執行してくれなかったのか」
最後の最後で、カンちゃんが○○さんだったなんて!うーん、さすが中山七里さん。
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非常に重たいテーマだ。読んでいて身につまされそうになる。福祉保健事務所の現状がこの作品の通りだとすると、本当に苦しくなってくる。限られた社会保障費からすると、全ての生活困窮者を救う事はできないだろうし。それでも最低限の生活の保障は、必要だと思う。一方で年金より生活保護手当の方が高いという矛盾も発生している。なかなか難しい。
話は変わるが、今回の作品のどんでん返しは、中ほどから簡単に予測できた。
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護られなかった者たちへ
中山七里さん。
生活保護。不正受給。
ケアワーカー。
公的な保護がなければ
その日の生活にも事欠く者たちがいる。
生活保護費の削減を命じられた公務員がいる。
どちらの立場も、
辛すぎる。
護られなかった大切な人。
泣けました。
私にできること。
何かあるかなぁ。と、
考えさせられました。
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表紙がとても気持ち悪い。adam wartinakisさんの3Dアート。本の内容は、生活保護を扱った社会派小説。生活保護費の不正受給を防ぐために支給の審査を厳しくしたら、本当に必要な人が保護されなくなってしまう。それはそのままその人の生死に直結する。申請を審査するのは本当に難しい仕事だと思う。お金に余裕のある市で申請しないと通るものも通らない気がした。けいさんが、利根がヤクザになろうとするのを体を張って止めてくれるシーンが好き。
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日本の福祉、特に生活保護のありようを考えさせられる一作。救ってくれるはずの制度を必要な人が利用できないことに矛盾を感じるけど…不正受給とかの方ばっかりがクローズアップされがちな気がする。弱者に目を向けること自体が少なくなってるのは、なんでなんだろうか。