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かなり好きだったなぁ。
由井が羨ましい。桐原も他の男性たちもいい人なのは、女性作家特有な気がして、現実味がないことは分かっているけど、小説なんだし理想を書いて何が悪い!という気持ち。書いてくれてありがとう。
不幸が由井を好ましく育てたということもあるだろう。悲しいことだけど、失礼だけどそれすらも羨ましく思える。私が今こうしているのは、周りの不幸とか幸福とか関係ないけど、責任転嫁してしまう。
人との別れは唐突にやってくる。もし再会できることがあったならば、そのとき笑顔で「会いたかった」と言ってもらえるような人になりたい。
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2018ベスト。書店で椎名林檎の帯含めて気になってから、期待以上の作品だった。私がもしその世界に携わっていたら、映画化したくなってしまっただろう。
自分が実際に体験したように、もしくは今朝夢で見たかのように、瑞々しく美しく苦しい学生時代。桐山に惹かれもっとエピソードが欲しくて、1話目の終わりにはがっかりしたが、本全体を読み終わると一定の人物に対する物足りなさは消えて、がっつり感動していた。
と言っても、泣ける、切ない、と言い易い小説は好きではない。ハッピーエンドやバッドエンドと言い切れる作品もあまり好きではない。所々の伏線を回収しながら、それぞれの人物の人生を少しずつ掴んでいくのもたのしかった。
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一ミリの後悔もない、はずがない。
いや、むしろ後悔しないはずがない。
いいことなんてなにもなかった人生に、自分が生まれてよかったと初めて思わせてくれた人と会えなくなって、後悔のない人なんていないだろう。
涙が出るほど美しい青春の恋愛の思い出。中学生という子どもから大人へ成長する過程の時期の恋愛だが、大人のそれを見ているような感覚に陥る。きっと二人が強い意志を持った目をして、けっして流されることなく、生きているからだろう。
信じることができない大人はたくさんいた。しかし目の前の桐原はその大人に面と向かって対抗し、大切な由井を守る。
二人が出会い、お互いを愛し合うのは必然だと思う。だからこそ、二人が突然離れ離れになってしまうことは、耐えられないほど切なく感じてしまう。私たち読者は、二人が突然の別れ以来、二度と会えていないことを知っている。あれ以来会えてないとわかっているのに、もう一度二人が出会う場面を探してしまう。どうか二人が再会できることを願って。
由井はいつから、あのチョーカーを身に付けなくなったのだろう。
離れ離れになった後も桐原が由井との再会を願って、由井との将来のために努力していたことを、最後の最後に由井は知ることになる。
しかし、既に結婚して子どももいる由井にとっては、もうどうしようもないこと。その手紙自体、高校生のときに書かれたもので、桐原が今どこで何をしているかもわからない。
切なさは倍増する。もちろん夫は大切な存在だ。しかし、細胞レベルで愛し合った人が、あんな手紙をくれていたことを思うと、胸が張り裂けそうになる。思い出だけで生きていくなんて綺麗な言葉で片付けられるほど単純ではない。もし桐原が今も由井だけを想ってずっと探していたとしても、仮に出会えたとしても、もうどうしようもないのに。
私は思う。本気で会いたいと願えば、ミカや金井、妹の友人をつたってでも、由井は桐原に連絡を取ることができたのではないか。(桐原から由井に連絡を取ることは困難だろうけど。)会う気があれば、死んでなければ、また会える。容易に会える距離にいたとしても、会う気がなければ会うことはないし、逆に地球の裏側にいたって、会う気があれば会いに行ける。会いたい人を本気で探せば、またきっと出会うことができる。
もし二人が大学生時代にお互いを探せていれば、二人にとってまた違った物語があっただろう。
しかし、物語はこんな側面も示唆する。ミカが憧れていたかっこいい高山先輩が、大人になって人が変わったようにだらしなくなっていたこと。
結局は、桐原が今どうしているかなんて誰にもわからない。良い方に考えれば桐原が由井をずっと想い続け、昔と変わらずにいるけれど、悪い方に考えれば高山のように落ちぶれているかもしれない。現実は夢で見るようには美しくはないかもしれない。
それでもやはり私は変わらない桐原でいてほしいと願う。
最後に、由井の娘である河子が手紙を読む。母の恋愛を娘が知りたいと思うのは、女心としてわかる気がする。こうして母から娘へと受��継いで、河子も、今はつらい状況に置かれているかもしれないけれど、いつかまた、由井にとっての桐原のような存在に出会い、自分が生まれてよかったと思えるようになればいい、それが幸せな結末を迎えればいいと思う。
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読了感は優しい小説。
ストーリーは結構暗い話が多く、借金や夜逃げ、不倫等なのに主人公たちの気持ちが淡々として優しいので、引きずられて落ち込む事は無い。
ストーリーそのものに目新しさはないものの気軽に読めて優しい気持ちになれる小説でした。
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最初と最後でぐわっと気持ちを掴まれる。桐原…!
表紙が、もうこの表紙しかないってぐらい適切。喉まで見ちゃう。
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過去への未練と満たされない現状への逃避。主人公以外はそんな描かれ方で、そりゃ1ミリどころの後悔ではない。
最後の手紙を読んで揺さぶられる主人公は、過去の恋人に思いを馳せるだけとどまるか、いや、そんなことはないというのがタイトルと伏線の意味なんでしょう。
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連作短編集。
由井の大人になるまでの人生は
とても厳しい環境だった。
ちゃんと大人になった、エライ。
出会った人々も様々だった。
きちんといい人、いい友にも出会った。
出会う人は数じゃない、
深さだ。
短い期間でもその深さは本物だっただろう。
「うしなった人間に対して一ミリの後悔もないということが、
ありうるだろうか」
そうだろう、ほとんどの人がそうだろう。
しかし、こう言ったのは中学生の桐原君だ。
随分と達観した中学生だ。
彼の13・4年の人生でそう思うことがあったのだろうか。
その話はここにはなかったけれど、
何故彼がそう思っているのか興味ある。
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予備知識なく西国分寺の本屋さんで購入し、読み始めてすぐに西国分寺が舞台の本だと気付きビックリ。
こういうプチ偶然は嬉しい。
どの編もひりつく。
こんな初恋を体験してしまったら、当分恋なんて出来なくなりそうだ。
最後の最後で一気に心を持っていかれた。
これからも楽しみな作家さんです。
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19)「おれも親のはしくれだからね、おまえのうちでいろいろあって大変なのは理解できるよ」担任はときおり、わたしを懐柔するような甘い声を出した。こういう発言がはじまるたびに脱力した。大人がこんな風に話しだすとき、あとに何か意味のある内容が続くことはまずない。
「わかるけどね、この世に生まれただけでありがたいと思いなさいよ」ほらね。わたしは担任を見ながら見ないで心を無にして聞き流す。
「おまえ、勉強だってできるじゃないか。こんなことで内申落としたらもったいないだろう」この人はいったい何を言っているのだろう?話にならない。けれど自分の意見を言うことはしなかった。無駄だから。
22)「あんたが生まれたときあたし、本当にうれしかったの」まただ。頭の中でアラームが鳴り始める。大人がきれいなことを言い出したら危険。
「あんたが生まれなければ兄さんはアメリカに留学して研究を続けられたわけ」叔母はわたしの罪悪感を刺激するのが最高にうまい。プロだ。
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タイトル、そして何よりも椎名林檎さんの帯に惹かれて購入。
うーん、これはもうがっつり帯に騙されたかなぁ…m(_ _)m
正直期待ハズレだった。
まあ、帯に惹かれてこんな感じで買うと大体失敗するパターン多いんだけど…
純粋な恋愛ものって、どうも苦手かも。
ひょっとしたら、女性は共感できる作品なのかな…?
ちょっと本質とは逸れるかもしれないが、「小さき者へ」の一節が自分と全く同じ考え方だったので、少し驚いた。
この文章に出会えたということで、まあ良しとするか(笑)
<印象に残った言葉>
・うしなった人間に対して一ミリの後悔もないということが、ありうるだろうか。(P36 由井)
・私はお前たちを愛した。そして永遠に愛する。それはお前たちから親としての報酬を受けるためにいうのではない。お前たちを愛する事を教えてくれたお前たちに私の要求するものは、ただ私の感謝を受取って貰いたいという事だけだ。お前たちが一人前に育ち上った時、私は死んでいるかも知れない。一生懸命に働いているかも知れない。老衰して物の役に立たないようになっているかもしれない。然し何れの場合にしろ、お前たちの助けなければならないものは私ではない。力強く勇ましく私を振り捨てて人生に乗り出して行くがいい。行け。勇んで。小さき者よ。(P208)
<内容(「Amazon」より)>
椎名林檎さん絶賛!! 「私が50分の円盤や90分の舞台で描きたかった全てが入っている。」
ネクストブレイクはこの作家! 心揺さぶる恋を描く鮮烈なデビュー作。
「俺いま、すごくやましい気持ち……」わたしが好きになったのは、背が高く喉仏の美しい桐原。
あの日々があったから、そのあと人に言えないような絶望があっても、わたしは生きてこられた――。
ひりひりと肌を刺す恋の記憶。出口の見えない家族関係。人生の切実なひと筋の光を描く究極の恋愛小説。
第15回女による女のためのR-18文学賞読者賞受賞作。
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西国疾走少女
由井、桐原、金井、ミカ、仲良し4人組のグループ。
由井と桐原が付き合う事になるまでの話。
由井って苗字なの??名前なの???
ドライブスルーに行きたい
ミカのその後の話。あんなにあこがれていた高山先輩との出会いは意外な場所だった。そして、高山先輩は当時とは変わっているところといないところがあった。
それでも当時の憧れだった車でドライブスルーによる夢は叶ったね。
潮時
桐原の事が好きだったミカの友達、加奈子のその後の生活と、由井の結婚相手との話が交錯しているお話。
なんかつながりあるの???って思ってたけど、うっすーい繋がりだった。
穴底の部屋
高山先輩の日常をうかがい知れる話。高山に惹かれた主婦が高山だけに合うときだけは自分が自由になれた。高山もそんな泉が好きだったんだな~~と思えるお話。
千波万波
由井と由井の子供河子の話。友達がいなくて学校に行きたくない河子が父親の出張について行ってから、母親の由井と一緒に旅するロードムービー的なお話。
そこから由井のそれから(高校1年以降)の話が明らかになる。そして桐原との関係も。常楽のお母さんは本当に優しい人。
みんなその時を必死に生きていて、後悔はないのだろうけど、やはり振り返ってみると後悔がないはずはないよな~。『あの時こうしていれば』というのはあると思うのだけれど、戻れないから必死に生きるのだろうし、一ミリも後悔はない!と言い張りたいのだろうな。
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由井という女性とその周囲の人達の連作短編集。
思春期の話を読む時は、いつも親目線でしたが、今回は自分のあの頃を懐かしく思い出しながらの読書でした。
それぞれのストーリーのどこかに自分がいる様な、そんな気がしていました。
由井と桐島の話が切なくて好き。
中2にしては大人びているかな。
私の時代では高校生ぐらいかと思いましたが、東京の中学生はあんなでしょうか?
みんなどこかで後悔している。
でも、由井だけは後悔することなく、諦めて生きてきたのでしょう。
桐島はどうしているんだろう。
雄一と河子のためにも、諦めて生きてきた由井が、この後桐島を探してしまうことがないことを祈ります。
西国疾走少女
ドライブスルーに行きたい
潮時
穴底の部屋
千波万波
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たまにエロい
でもそこが良い。
「一木けい」さんが書く他の本も読んでみたいと思った
由井、と由井を取り囲む人間たちもそれぞれの視点で
それぞれの人生を生きている。
いろいろ話がとっちらかっている気がしたが、
全部由井の周りの人間たちの話で
最後には全て繋がる。
「うしなった人間に対して1ミリの後悔もない
ということが、ありうるだろうか」
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強い真っ直ぐな気持ちって強いんだな。
ヒトのせいにしてばかりいても、それはダメなんだね。分かっちゃいるけどやめられない。ってかな。
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年表と人物相関図を作りながら読もうかと思ったが、無粋かと思ってやめた。
場面の転換が唐突なのに、心地よかった。
嫌いな親戚の描写が僕好み。