紙の本
歴史が大きく動きはじめた今こそ読むべき一冊
2018/04/30 12:09
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投稿者:spring41 - この投稿者のレビュー一覧を見る
映画監督ヤン ヨンヒがどんな小説を描くのか興味津々だったがこの物語は紡がれることが宿命づけられていたかのような感覚になった。映画作品同様に相変わらずの覚悟、宣誓に圧倒される。歴史が大きく動きはじめた今こそ読むべき一冊。装幀もいいです。
紙の本
あっさり読めるが小説の力を感じる作品
2019/01/12 21:59
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投稿者:せきた - この投稿者のレビュー一覧を見る
私小説であるが、身近なことを切り取って、愛や自由といった普遍的なテーマに流れていく。物語る内容が想像力・共感力を湧き立たせ、小説の力を感じた。
日本社会が、もっとマイノリティーに関心をもつことで、多様な価値観を尊重する社会に変わっていけることを夢想し、読後に爽快感が残った。
紙の本
おもしろい
2018/05/28 18:54
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投稿者:なつめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
東京の実在するすべてに厳しい全寮制の学校を舞台に展開する作者の体験を基にした小説で、おもしろかったです。
紙の本
よくはわからなかったけど
2018/11/10 06:07
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投稿者:***** - この投稿者のレビュー一覧を見る
全寮制で毎日「総括」のある朝鮮大学校。
東京でないと観れない芝居や映画が観たい、と入学して学校や指導教員と厳しく対立する主人公。朝鮮学校出身でお父さんは総連幹部、お姉さんは祖国にいるのに予備知識なしに入学したのは不思議なぐらい。お母さんが入学式用に「大阪風短いチマ」を作ったのも「そうなっちゃうのかな」としか読めない私。
こういう世界もあるんだ、ということを垣間見た、という意味では面白かったです。
文章は読みやすい。
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http://dokushojin.com/article.html?i=3180&p=4
武蔵野美大のお隣に、朝鮮大学校があったんだ。
https://www.korea-u.ac.jp/
博物館も併設されている。行ってみたい。
無自覚なマジョリティの暴力性について考える。
いわゆる先祖代々日本人、のアイヌでも琉球人でもない和人である私たちは、自分がこの社会のマジョリティであることに気付いた時、その特権的な地位にいる自分がどのように生きたらいいのか、どのようにふるまうべきなのかに思い悩まなければならない。
とりあえず、今度ヘイトスピーチのカウンターに行ってみようかな。
あの人たち頭おかしすぎるから近づきたくない。けれど、ヘイトスピーチに直面せずに済む選択の自由を持っているからこそ、行かなくちゃいけないと思う。
シスジェンダーヘテロセクシャル同士の恋愛って、こんなにとんとん拍子に行くものなの?ちょっとびっくりした。
近代史を学ばないと。
同じ在日コリアン、と日本人は一緒くたにしちゃうけど、韓国籍と朝鮮籍では全然違う状況に置かれるんだ。
で、そうなる原因を作ったのは日本で、その上在日コリアンを差別しているのも日本人…。日本人が何とかしないと、まずは差別扇動行為から。ひとつひとつ。平等な社会がいい。
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1980年代の空気感が想像できた。
朝鮮大学校という特殊な寮生活の中で
北朝鮮の独裁的思想に反発しながらも
生きていくためや自分のルーツとしての
民族性に悩むところは
北朝鮮だからや日本だからということは関係ない。
三章で唐突に祖国訪問旅行の話になるが
そこで語られるお土産のクラシックのCDに対しても検閲が厳しかったり、わざわざ合わせないように家族を地方都市に島流しにしていたり、そのくせ監視官としてつけてる人の弁当は貧相だったり。
苦しい実情が語られている
それでも私は北朝鮮を否定できないというよりは
なぜこんなにも苦しんで生きなければいけないんだという方が強い。
家族が苦しんでいる中で私は日本で演劇や男性と乳繰り合ってていいんだろうか?という悩みを対比させる為なんだろうけど突然なのでうーーんとなる。
安◯成美が劇団の先輩としてでてきてたり
自身のモデルとしての反自伝的作品だろうから
知らない実情を垣間見れた。
これを見れただけで終わらせないで
繋げなければいけないなぁと思う。
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小説の体をとっているけど実体験まじりなんだろう。朝鮮大学校に入学したミヨンの大学校生活を1年ごとに4つのエピソードでまとめている。30年前とはいえ朝鮮大学校のナンセンスぶりは好奇心を満たす意味では面白く他愛のないようなことにしゃにむに真面目になっている滑稽さのような感じさえする。
こういう表現をするのはもう何と思ったらいいのかわからないからだろうか。想像を超えているというか……。朝鮮大学校のなかもだし、外の世界の風当たりも厳しい。加えて、北朝鮮のありさまとか。当時であれば40年くらい、現在にしたって70年程度の歴史しかないもののために、国家という実体のないもののために人々が翻弄されている。
ミヨンの姉も北朝鮮にいるんだけど、帰還事業などで一家が日本と北朝鮮に離れ離れになっている人たちもいる。拉致問題だけがクローズアップされる昨今だけど、不安定な非公式ルートでやりとりしないといけないのも国交がないからだよね。この人たちも再会できる関係性ができるといいのに。
一方、ほんわかといいムードに思ったのが、ミヨンと黒木裕との関係。小説にしては甘いようだけど、若さゆえな感じがいい。
でも二人は、裕が「僕、ミヨンが在日だとか朝鮮人だとか、そういうこと気にしてないから」という言葉にミヨンが引っかかって壊れてしまう。ミヨンが言うとおり、それなりの仲になるならそういうことを気にしてほしいというのもわかる。だけど、裕が「気にしてない」というのは、気にしているからこそ意思的に気にしないようにしようということだと思う。いかにも若気の至りって感じがして小説として読むぶんにはいいもんだけど、そんなことで二人の間が結ばれることなく会わない時間が長ーくたってしまったのは残念だなあ。
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在日朝鮮人の実態を知ったのかもしれない。 朝鮮大学校ってこんな感じなのかな? ミヨンは言っていた。「気にしてほしいの」 「私が在日だってこと、朝鮮人だってこと、気にしてほしいの!」と。 そうか、ありのままに接して良いのだなと思った。
北朝鮮を中国との国境から見たことがある。あの川を超えたところから、北朝鮮なんだと思うと不思議な感じがした。本書の中には北朝鮮の風景描写や市民の様子が描かれており、実際そこで暮らす人々はどのような生活をしているのかとても気になった。 2018.7.4
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気にしてほしいの、という言葉がずしっときた。良かれと思って「気にしないし」とか言うてまうその、上から目線、マジョリティ目線、は、意識してないとホンマに気付かずに、相手を傷つけてるんやなと思い知らされる。
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姉を訪ねた場面に号泣。著者のヤンヨンヒさん、親と同じ在日二世、著者の生き方が自分の親の生き方に重なった。そして自分の環境のありがたさに気づく。この世代の人たちはつらい経験をしているからこそ、明確な目的を持った生き方をしていたのかもしれないな、と思った。
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今読んでます。
栞が二本付いているのはなぜかしら。赤と青。
231ページでそんなに厚い本でもないのに。
日本と朝鮮?北と南?
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30年以上前の朝鮮大学校の在校生ミヨンの4年間。
朝鮮大学校に対する認識は皆無、とても興味深ったです。
Wikiで見ると、日本における朝鮮学校の最高教育機関に位置づけられているとのこと。
修学旅行で祖国を訪れた時の待遇の良さにそれが現れていたのかもと思いました。
日本で暮らしてはいるものの、大学の中は日本ではないという現実に違和感を感じ続けるミヨン。
自由でいたいけれど、でも自分が朝鮮人であることを忘れて欲しくない、その気持ちの行き違いで黒木との関係が終わってしまったことが残念で仕方がなかったです。
ミヨン姉の「朝鮮で生きるのもキツけど、この国を背負わされて日本で生きるのもの大変やと思う」という言葉が切実。
まだまだ知らないことばかり。
当時と今の違いも沢山あるとは思います。
今回、この本に出会えて良かった。
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本当に「気にしてほしいの」の一言だけでも、読んだ価値がある。
ただ、この時期に、メジャーな出版社から出たことに、不思議さもある。
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すぐ隣の敷地内の大学は、日本であって日本ではない。
抗日思想教育ギンギンのリトル北朝鮮。その実態を知ると恐ろしい。私たちはかくも憎まれているのだ。
隣人は、もしかしたらそんな教育を受けている人かもしれない。
内容は、先の「兄 かぞくのくに」をたたき台にして小説化したもの。
主人公に比べ、自分はなんとテキトーな学生時代を送ってしまったことか。恵まれすぎるのも考え物である。
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2019年10月読了。
朝鮮大学校という「日本の中にある北朝鮮」の学生•ミヨンが、学校という組織の中で軋轢を起こしながらも自分を押し通す様子が非常に痛快だった。いや、「押し通す」程の強さはなく、むしろ傷付きながらも成長していくという感じかもしれない。
話の軸としては朝大のミヨンとその隣の武蔵美の黒木裕の関係性の動いていく様と、北朝鮮への帰国団を抜け駆けして新義州に住む姉に会いに行くシーンを中心に、学校内の統制のキツさに絡め取られる様子も描かれていて、ちょっと風変わりな学園ものテイストを感じられて一気に読んだ。
印象的なシーンをいくつか備忘的に留めておく。
48ページ
「(前略)朝高時代、国士舘相手に相当暴れていたらしいから。」
→さもありなんな2校の関係性。リアリティを感じる。
101ページ
「俺たちは国籍とかこだわらないさ、パクさんがナニジンだろうが気にしないし。(中略)」ミヨンも笑う。笑いながら、腑に落ちないものがある。(中略)温かい心地良さの中にある小さな居心地の悪さのような感覚。
→この作品ではミヨンは徹底的に自分が所属する学校とそれの大本である北朝鮮という国に対して徹底的に考えが合わないのだが、だからといってこうやって自分の国籍を他人に見ないように扱われることには非常に違和感を感じるように描かれている。
135ページ
「僕、ミヨンが在日だとか朝鮮人だとか、そういうこと気にしてないから」聞きたくなかった言葉が優しく投げつけられる。大した怪我ではないが、棘は刺さった。(中略)「そうじゃなくて」(中略)「気にしてほしいの」「え?」「私が在日だってこと、朝鮮人だってこと、きにしてほしいの!」
→意識せざるを得ない国籍の問題を、さも問題がないかのように「気にしない」という言葉で片付けることは、それ自体何か嘘くさいし、言われる側の当事者からすれば、「それこそが自分が抱えるある種の悩みの種であるのに、何か大切なことを無視された」ように思うのだろう。