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投稿者:とりのひよこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
魂の遺言
生前の遺言とは違い、亡くなってもなお、故人がやりたかった事を
伝え、執行する、遺言執行人。
実際あれば依頼したいですね。
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D・キッサン先生の最新作
こういう言い方は失礼かもしれないが、D・キッサン先生の作品って、不思議と躊躇なく買えちゃう
他の作品も面白いから、ってのもあるんだが、作品ごとに様々な顔を見せてくれるんだよな、D・キッサン先生って
この『告別にはまだ早い~遺言執行人リリー~』でも、今までになかった顔を見せてくれている
カメレオンや百面相って表現に届くほどではないにしろ、少なくとも、読み手を飽きさせないだけの数は持っている
作品の内容を上手く説明できない悔しさを味合わせてくれるのも、D・キッサン先生の作品らしさで、この作品にもある
シンプルに言えば、ジャンルはオカルトなんだけど、怖さやおぞましさはなく、むしろ、心が温まる系の不可思議さ
人の縁を描くのが上手い、と唸らされるのは毎度だが、この『告別にはまだ早い』は生きている者と死んでいった者の間にあった、小さくも深い所まで刺さっているトゲを抜き、絆を強く結び直してくれるストーリーなので、余計に、そう感じたのは私だけじゃあるまい
あくまで、私個人の印象によるお勧めだが、三三先生の『獣の形の女の子』や、逢坂八代先生の『瑠璃宮夢幻古物店』のストーリーが好きな人は、この味にも良い刺激を感じられるんじゃないだろうか
どの作品も心に響くが、やはり、掴みとしてバッチリな第一話である「完璧な遺言」はグッと来る
一話目にして、読み手の心を揺さぶれるのは、D・キッサン先生に実力がある証拠だ
周囲が望み、先祖に恥じぬよう、完璧な生き方をしてきた人間が、唯一、完璧な自分でいなくていい場所と恩人のために、遺したい、受け取って貰いたい、そんな望みを運ぶ、実に素敵なことだ
この台詞を引用に選んだのは、一理あるな、と思ったので
体を大切にする、それ自体は良い事だ。しかし、大事にし過ぎて、挑戦せず、変化も求めないと、心は錆び、魂は朽ちる
自暴自棄はダメだが、ちょっとくらいはギリギリを攻めた方が、人生は楽しい
それに、何事にもチャレンジできる高齢者ってのは、何気にカッコいいよな
ある意味、次を信じるジィさん、バァさんの方が、若者より輝いてる
そういう年の取り方をした人間になりたい。そんで、リリーとエーヴに遺言を託さずに済むような、心残りのない人生を締めくくりたいが、難しいかなぁ