紙の本
世界の怪奇話を92編収録した興味深く、楽しめる一冊です!
2020/05/15 11:03
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、夢や迷宮、無限と循環、架空の書物や作家、宗教・神などをモチーフとする幻想的な短編作品によって知られているアルゼンチン出身の作家、ホルヘ・ルイス・ボルヘスによって著された怪奇譚集です。彼の評価は、1960年代の世界的なラテンアメリカ文学ブームによって確立され、その作品は20世紀後半のポストモダン文学に大きな影響を与えたとも言われる人物です。同書には、「死の宣告」、「魔法による創造」、「死者と生者の邂逅」、「予測しえない悲劇「」、「夢の中の処刑」、「王の約束」、「不滅の種族」といった古代ローマ、中国、インドの故事をはじめ、「千夜一夜物語」、それにカフカやポオといった作品などが92編収録されており、非常に楽しめる一冊となっています。
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解説に『安眠したいひとはこの本を手に取らない方がいい』という一文があったので、敢えて夜中に読んでみたw 何か面白い夢が見られるといいのだが。
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「汽車」という4ページの作品がある。「死者の百科事典」を読んだ時と同じものを感じた。完璧だと思う。でも、サンチャゴダボベとは誰だろう。それから、須賀敦子の本棚というチラシが入っていた。読みたいけれど、高くて買えない。
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ボルヘスとヒゴオイ=カサーレスの二人が、古今東西の書物から短い物語(やその一部)を抜き出したアンソロジー。必ずしも怪奇という感じではないが、広い意味での幻想文学集になっている。古典も多いため、文体の関係で、短いくせに読み肉いものもあるが、全体としてはなかなか面白かった。それ自体を完成された文学として味わうというより、現代の様々な物語の原型を楽しむべき作品。
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こんな話あったけ?とか、で、その続きは??ってなってしまうような逸話やらを並べられてしまった。。。
『古今東西の書物から選びぬいた…』とかあれば、元書が気になるし、自分の記憶も気になったりするが、最後に解説を読んで…Σ(゚д゚lll)ガーン
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いやー私これダメだわー。全然刺さらない。多分ボルヘスどハマりしてた時は違ったんだろうな。残念。いまはふつうに物語のぜんぶが読みたいんだろな。
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ボルヘスが世界中から集めた92の掌編・短編が収録されている。怪奇というより幻想小説っぽいのが多いが、どれもとても面白い。とくに「汽車」か物語としても構成・文体としてもすごくよかった。
ちなみに、各話に典拠となる書名とその作者が明記されているが、それらがすべて本当かどうかは疑わしいらしい。どんなに調べても書名や作者名がここ以外で見つからないものがるそうで、もしかしたらボルヘス自身が書いたオリジナルかもしれないと。世界中から掌編・短編をあつめた、というそのこと自体がフィクションかもしれないわけで、いかにもボルヘスらしい感じがする。
なお、北村薫の短編「水に眠る」の元ネタと思しき短編をこの本で見つけた(エドガー・アラン・ポーの「水の島」)。水の層にナイフを入れるて分離する、というイメージが偶然似通うことはなさそうなので、まず間違い無いと思う’。調べた限り両者の関連について言及しているものは見当たらなかったが、実際どうなんだろう。
55
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ボルヘスとビオイ=カサーレスが選りすぐった
古今東西の奇妙な断章、92編。
表題に「怪奇譚」とあるが、読んでみると怪奇色は薄い。
むしろ小さく笑ってしまうシュールで滑稽な情景が並ぶ。
次々にページを繰って短い物語に触れ続けると、
まるで夢の入れ子に囚われたような感覚に陥る。
以前どこかで読んだはずの断章もあるのだが、
詳細を思い出せずモヤモヤしながら、
敢えて確認せずに「心地いい居心地の悪さ」を愉しんで
ムズムズするのも一興かと。
英語版からの重訳で、日本語訳は柳瀬尚紀先生。
ちなみに、解説によると、
世界中から掻き集めたお話の中に、
ちゃっかり偽書=ボルヘスの創作が紛れ込んでいるとか。
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20世紀ラテンアメリカの作家ボルヘス(1899-1986)が編んだ、古今東西の書物から引かれた幻想的な掌編のアンソロジー。
「文学が与える数多い楽しみのひとつは、物語の楽しみである。・・・。物語の精髄は本書の小品のうちにある、とわれわれは自負する」
□
解説によると、ボルヘスの編むアンソロジーに収められた小品の中には、その典拠の存在が確認できないものもあり、実はボルヘスが創作したものを紛れ込ませている可能性があるらしい。何とも愉快なことだと思う。別の作品の中でこんなことを言っている。
「書物に署名するのはおかしなこと。剽窃の観念は存在しない。すなわち、あらゆる作品が非時間で無名の唯一の作者の作品であることが定められた」(『伝奇集』)
□
夢/現、死/生、過去/現在/未来、原因/結果、裏/表・・・無限遠の始まりから無限遠の終わりへと走る両端なき直線が、くるっと捻じ曲げられて、ウロボロスの蛇よろしくその円環を閉じ、始まりも終わりもない無限循環がただそこにいつまでも残り続ける。掌編ゆえにその前後に感じられる余白は、却ってその物語が無限の円環の一部に過ぎないことを思わせて、自分が時間的にも空間的にもすーっと遠くに高まっていく感覚に襲われる。そのとき読み手である私は、卑近な不安や不機嫌をすべてどこかへ置き去りにして、透明になる。
この奇妙な「高度の感覚」について、澁澤龍彦の次の文章を目にしたとき、なるほどと思った。
「・・・、しかしボルヘスの死には奇妙な明るさがある。かつて稲垣足穂さんが亡くなったとき、すでに生きているうちから、とっくに永遠の世界に入ってしまった感のある稲垣さんが亡くなっても、それほど悲しみの気持ちは湧かないと書いたことがあるが、八十六歳のボルヘスの死に接しても、それと似たような気持ちを私はおぼえる」(「ボルヘス追悼」)
柳瀬尚紀は訳者あとがきで本書を「《反復》のアンソロジー」と呼んでいる。
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「汽車」というストーリーがとても面白い。
ボルヘスを読むと眠れなくなるというけど、わたしは眠りに落ちやすくなる。解かれるひつようのない神秘にそのまま身を任せて、気持ち良くなって。夢を見れる。
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一通り読み終えたがほとんど何も読後感がない
初めの方の作品は夢と現実の混同 というストーリーが多くまだ理解しやすかったが段々に辻褄の合わない文字の羅列に感じられていちいち考える気持ちもなくなってきた
この本は 私にとっては 理解不能
分からなくて当然、読者を煙に巻く本と理解した
消化不良を楽しみたい人にはうってつけの本
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甘く見ていた。すぐ読み終わるかと思いきや。
ひとつひとつが短いのに、理解するのに立ち止まったりして、想像したよりも読み終わるのに時間がかかった。
中国の話が好みのものが多かった。
短いのに。短いからこそあれこれ考えながら読んでしまう本。
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「したがって本書は、ボルヘスのすべての作品と同じく、あらゆる意味において《cryptic》である。すなわち、そっけなくて、ぶっきらぼうでさえあり、それでいて簡潔で、むろん謎を秘めている。そのような話や断片は奇妙にわれわれの知的興奮をかきたてる。」(役者あとがき)
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大半が理解できないものばかり。けれどそれはわたしの読書経験値によるものだろうと早々に白旗を振り、理解せぬまま空気だけ読み取るように読んだ。もしや冬の夜にぴったりの読み物だったかもしれない。
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「書淫」ことボルヘスらが選ぶ、珠玉の超短篇92!
どれだけ長くなっても、見開き3ページほどしかありません。しかし、短いからとてすぐに読みおわるわけではないのだなぁ…。ひとつの超短編に5分以上費して考えこともざらにあります。いい意味では深奥な趣がありますが、不親切な部分があるといえなくもないです(まぁ、それが真骨頂なのですけれど)。と言うのも、抜き取りの脈絡性があまりに薄いので、パッと呼んだだけでは「ン!?」となるような場合が多い。何作か知っている作品からの抜粋もありましたが、いかんせん全然違うニュアンスの話にも見えてきて、これがまた不思議で面白い。バロウズ『裸のランチ』を思い出しました。
『罪深き目』『預言者と小鳥と網と』『学問の厳密さ』あたりがお気に入りかな。『学問の厳密さ』とかは二階堂奥歯さんの日記とかにも引用されてた気が…。