紙の本
終盤が残念。
2019/02/05 20:48
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:satonoaki - この投稿者のレビュー一覧を見る
表紙の絵と『風かおる』というタイトルから、すがすがしい若さをイメージしました。
実際に若者たちが中心になって描かれてはいますが、一つ上の世代の男女の、愛情が
ありながら結ばれなかったことから始まる苦悩が、命を奪うことにまで発展していたのでした。
終盤になって、すべて解き明かされますが、駆け足で終わった感じも拭えません。
もう少し丁寧に描かれ、余韻もあれば秀逸な作品だったかと思います。
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妻敵討ちの旅から帰ってきた佐十郎は、余命幾ばくもない身で、真の敵に決闘を挑もうとする。若き優秀な4人に若者たちが、どうして不幸な運命に巻き込まれてしまったのか。
妬み、イジメが、もたらすもの。ほんのすこしの勇気、きっかけ、新たな風が吹けば、運命は変わったのかもしれない。
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楊梅というのが誰なのかはかなり前から薄々わかったものの、ミスリードさせるための言い回しがサスペンスものとしては稚拙だったかな。亮がまるでスーパーマンのように現れてちょっと笑えたけど、こういった演出嫌いじゃない。核となる部分があまりにも陰湿で辟易したけど、最後は明るく終わって良かった。
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若き日の出世を争う怨念と、女性を巡る嫉妬とに、絡めとられながらの人生は、悲劇に終わる。
そんな哀しい人々を描いた時代小説。
それらの人たちと対置する人物を配することによって、著者はこの物語を叙情性あふれる終わり方にさせた。
「何だかよい風が吹くような気がしたのだ。・・・悲しい出来事をわたしたちが吹き飛ばした方がいいと思う」
「風がかおるように生きなければ」
題名にもなっている『風かおる』、この言葉によって爽やかな読後感となっている。
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黒田藩での複雑な人間関係
その中でもがく人々
様々な伏線もありすいすい読みました
ちょっと物足りない感は残りますが
≪ かおる風 悲しみの中 友想う ≫
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面白かった
ミステリー仕立ての物語。
暗いテーマながらも、主人公たちの軽い掛け合いでそれをカバーしています。
「潮騒はるか」の前編です。
誠之助、千沙、菜摘が長崎に移り住む前の物語。
ストーリとしては、
鍼灸医の菜摘のもとに10数年ぶりに現れた養父佐十郎。
佐十郎は妻敵討ちの旅にから戻ってくるも、戻ってきたのは、妻敵討ちをそそのかした人物との果し合いのため。
しかしながら、佐十郎は病に侵され、余命いくばくもない状態。
そんな中、果し合いなどできるのか?
菜摘の弟の誠之助
菜摘を姉のように慕う、男装をしている千沙
3人は、果し合いの相手を探るとともに、それをやめさせようと東奔西走します。
佐十郎が身を寄せている多佳との関係は?
そして出てくる黒幕の楊梅(やまもも)
そもそもの事件の真相は?
楊梅とは誰なのか?
果し合いの相手は?
とミステリー要素満載の物語です。
さらにさらに、菜摘の夫の亮が探偵役となってさらりと解決していきます。ミステリありがちな設定(笑)
そんなミステリー要素の物語ながらも、ここで語られる内容は、どろどろっとした人間の黒い感情。
出世争い、嫉妬、悪意、復讐
この結末は必定だったのかもしれません。
「なにかひとつよい風さえ吹けば..」
といったセリフが、刺さります。
しかし、そんな重い話なのに、誠之助、千沙、菜摘は軽すぎないか(笑)
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将来を嘱望された藩士たちの出世争いが絡む話かと思っていたら、男女間の嫉妬が起点となった何とも姑息な所業による禍いによるものだったとは。おまけに身勝手な友情もどきの隠蔽を本人たちは正当化しているところが醜い。
物語の中心となっている若者たちが真っ直ぐなだけに、対比によって少し後味が悪い作品で、葉室氏らしくないかも。