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グローバル化とアイデンティティーの物語
2020/05/21 07:21
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投稿者:amisha - この投稿者のレビュー一覧を見る
友人知人であっても、国籍や個人のプライバシーについては、面と向かって質問しにくい。歴史に明るくない場合は、敢えて口に出すことも憚られる。先方が何かのきっかけで語ってくれることが無い限り、これらの情報は知るよしも無い。
気になりながらも知る術がなかった数々の物語を、この本で知った。日本で馴染みのある著名人らの側面が、ありのままにレポートしてある。先祖、生まれ育った環境、国や国境とは何なのか。それぞれの想いは様々のようである。作家として活躍する人々の関連著書にも興味を持ったので、追っていくつか読みたい。
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タイワニーズその人となりに着目されており、とても興味深く読んだ。その生き方、歩んできた道、考え方はとても興味がひかれるし、読んでいて元気が出るようだった。まだまだわたしには難しい。また、もっと一人一人を知りたいとも感じたので、参考文献を読んで、より理解を深めたい。
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現代の台湾を日本との関わりで理解するために、わかりやすくかつ親しみやすい話題から入っていける、好適な一冊です。
普通の日本人には実感の薄い、国籍、国家、民族、母語、などのテーマを考えるキッカケにもなると思います。
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題材が興味深い内容ということもあり、筆者の記者としての取材力もあり、それなりの分量ではありますが、非常に面白くて一気に読んでしまいました。日本で活躍している綺羅星のごときタイワニーズたちのファミリーストーリーを語りつつ、国家と民族の関係を深く考えさせられる著書となっています。
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とにかく面白い本。色々な台湾と日本に関係がある人々タイワニーズについてまとめた本。この本がそのまま中国や台湾で翻訳出版されると面白いのだが。
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日本にゆかりの深い、また日本で成功し、著名になった台湾出身者やその2世、3世の人生を描きながら、日本と台湾との歴史を紐解いている。
台湾の人たちは日本人に対して友好的な気持ちを持っている人が多いと、私は感じてきた。確かに第2次大戦までの長期にわたる日本における植民地状態が続いたが、その中でお互い経済的、文化的な面で多々享受しあってきた。また戦後の国民党の支配や政治的な弾圧などがあり、それと対比して日本に対して好感を持ってもらったという面もあるのだろう。
しかしそれだけではない、同じ台湾の人でも元々台湾に住んでいた人、中国本土からやってきた人、戦後、共産主義を恐れて台湾にやってきたい人等、色々な立場の人たちが台湾に生活しており、それぞれが複雑な感情を持っていることもわかる。
身近な国であり、日本に住む人も多く、日本に帰化した人も多いがその詳しい歴史は知らないことをこの本を読んで痛感した。
この機会に台湾の歴史等を調べてみたくなった。
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連坊の回から始まりやや違和感を覚えたが、彼女の祖母を含め選ばれた人物やそのエピソードはどれも興味深く、主に客家である日台両方にルーツを持つ人々が両国を結び付けるよすがとなっていると強く感じる。
一方で、日本ー中華民国ー台湾と外力によって帰属を変えさせられた歴史を持つ人々がコスモポリタンとなる必然性も思わされる。
東洋のユダヤというべきか。
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「日本は二度台湾を捨てた」この言葉は日本の敗戦と、その後の台湾との断交〜中国との国交正常化について書籍や映画などでよく出てくる言葉だ。日本にとっては苦渋の選択だったかもしれないが、それ以上に台湾という国と、そこから巣立って日本に来て活躍した多くの政治家や文化人、作家などにも多くの影響を及ぼした。
日本と台湾の文化的な距離は非常に密接になっているなかで、日本に住んでいるタイワニーズの存在がぽっかりと空いているのをこの本を読み終わって改めて痛感した。
台湾への興味や関心の次のステップとして歴史と政治、そして二重国籍問題なども含む人間のアイデンティティーについて考えを巡らすことが出来る良作。
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また嘉義や台南に行きたくなったな。◆ジュディオングの項は面白かった。◆◆邱永漢の食へのこだわり、残す人にはもうご馳走しないというようなことは良くわかる。
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登場する一人一人のタイワニーズのエピソードが大変興味深い。陳舜臣の著作は手広く読んでみたいと思った。
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【大日本帝国から戦後へと続く日本,分断された中国,そして出身地の台湾という東アジアの境界を行き来しながら,失われてしまった自分の帰属すべき祖国・故郷を探し求めてきた人々がタイワニーズなのである】(文中より引用)
国際情勢の荒波に揉まれながらも,日本・中国・台湾という国家の国境をひらりと越えて自らの思うところに従った,台湾と関係を持つ「タイワニーズ」たちの半生を記した作品。著者は,『ラスト・バタリオン 蒋介石と日本軍人たち』等の台湾をテーマとした作品でも知られる野嶋剛。
国際社会の荒波をもろに被り続けてきた人々の一人ひとりのエピソードが中心となっているため,非常に読みやすいというのがまず高評価に値するかと。著者の丹念な取材活動を基に記録されていますので,それぞれの章が抜群に読み物として興味深い点にも驚かされました。
ジュディ・オングのエピソードが特に印象に残ります☆5つ
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読破。
哈日族という単語がもてはやされていた2000年初頭から台湾人と関わるようになり、当時の20〜30代が付き合ってきた台湾人の中心層であった自分にとっての台湾人らしさを持ち合わせていないと何となく感じられていた台湾ルーツの人々も取り上げられており、その歴史の紐を解いていっていて興味深い。その辺りは外省人ルーツで台湾より大陸により強い想いを持つ家系なのかなと思っていたが、必ずしもそうではないらしい。
また国連が中国大陸を正式な中国として認めていく過程において、日本なりに台湾のことを気にかけ、国連残留を画策した人々の話が少しあり、結果的にうまくいかなかったとはいえ、何だか少しほっとした。
何より著者が一人一人の取材相手に対して非常に敬意を払っている感じが伺えたので読んでいてなんだか気持ちよかった。
P.30
台湾にはあちこちに外省人の軍人とその家族が暮らす地域「眷村」がある。日本人が暮らしていた住宅を改築したところも多い。陸軍や海軍の大きな基地がある高雄にはとりわけ大型の眷村が目立つ。
眷村の中や近くには、美味しい料理店が多いというのが台湾通の間では常識だ。「小籠包」や「牛肉麺」などの名物料理は基本的に眷村の外省人たちが作っていた料理から発展したものだ。豆乳料理の「豆漿」の店もたいてい眷村の近くにある。
P.52
辜寛敏は、当時の駐日英国大使ジョン・ピルチャーと顔見知りであった。(中略)ピルチャーに会ってみると、こんな話を聞かされた。
「この秋の国連総会で台湾が国連に残れる可能性はないが、英国政府は台湾が国連の一会員として残留することを望んでいる。しかし、英国政府は最初に中華人民共和国を承認した(西側の)国であり、蒋介石政権との関係は最悪だ。そこで相談がある。日本は蒋介石との関係は良好だ。英国政府は、日本サイドから、国連に残るよう蒋介石を説得して欲しいと思っている。台湾の将来に関わることなので、このメッセージを台湾に伝えてもらえないだろうか」